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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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第4回パリ万博

1889年5月6日、第4回パリ万博が開幕した。

我が国は当初参加するつもりがなく、急遽参加を表明したため国としてのパビリオンは随分と規模が小さいものとなった。

まぁ無理やり参加表明して民間企業が使う場所を割り当ててもらったのだからしょうがない。

パビリオンのほかに機械館の一部を借りることができたので、そちらに模型の動力飛行機を飾ってある。

ダンマーク館は飛行機に関する展示を前面に押し出している。

グライダーの模型とTP-01と名付けられた現代型グライダーのコックピットのコピー品が置いてある。

計器類は一部省略されているが実際に座ることができるように展示されている。

このパビリオンの目玉だ。

そして、自動車などを展示している場所の一部を借りて実際にTP-02のデモフライトも予定されている。

此方はさすがに私が乗るわけではなく、私のメイドの一人が乗ることになっている。

女性でも運転できるということを強調することと、映えだとマリーナが言っていた。

今回のパビリオンの展示方法については当然大人たちがメインだがかなりマリーナが口を出していた。

人の流れだとか見せ方だとかをかなりこだわったとのこと。

図も多用しており、その図を作ることになったレーナが悲鳴を上げていたけれど…


「それにしても、連日よくこれだけ人が来ますわね」

「そりゃー空飛ぶお姫様であるテューラ様のお話を聞きたいって人が多いからですよ」

パビリオンの裏手、そびえたつエッフェル塔を眺めながらぼやく。

つい先ほどまでダンマーク王国パビリオンにて私の講演会が開かれていた。

今は休憩中である。

これもマリーナが決めたことだ。

「姫が直接語るほうがより集客できる」

で、私はさっきまでフランス語で講演していたわけだ。

何故空を目指すのか、空を飛んでどうだったかなんかを話す形。

台本もあるので話すことに困ることはないが、数が多い。

3時間に1回、フランス語、英語、ドイツ語で行う。

そして、昼にはダンマーク王国が誇るTP-02がエッフェル塔をぐるっと一周するパフォーマンスがある。

ドイツからは硬式飛行船ツェッペリン号が係留されており空もにぎやかだ。

このツェッペリン号、乗客が乗ることはできないがゆっくりと万博会場上空を遊覧している。

ドイツの国旗がでかでかと書いてありとても目立つ。

しかしこれ、フランスのシャルル・ルナールが作った電動飛行船の特許権を購入したツェッペリン伯爵がオーストリア人の技術者に依頼して作らせたものらしい。

実際、後の未来で世界を一周するグラーフ・ツェッペリンよりも小さい

TP-02は小さすぎてそれと比べるとかすむのだけど、より速い速度でぐるりと会場上空を一周して戻ってくるので飛行する時間は人々が足を止めて空を見上げている。

「人は来ますが極端な混雑や混乱もなく講演も皆様聞き入っていますから大成功と言えるかと」

一緒についてきたマリーナが声をかけてくる。

「警備が大変だと陸軍がぼやいていたわ」

「それは仕方がありません。最新技術ですから特許で抑えているとはいえコピーはできますからね。現物を持ち逃げさせるわけにはいきませんから」

全くごもっともである。

それでも来場者は常にあり警備はピリピリしているから同情もしたいところだ。

本来ならこんな業務はなかったはずだからである。

「ところでレーナは?」

「彼女は機械館で世界の最新工作機を眺めに言ってますよ。下手すると買い付けてくるんじゃないですかね?」

「まぁそれが仕事ではあるけれど…あの鉄骨も飛行機を作るには重要だって言っていたわね」

「一番いいのは一貫製鉄でしょうけど、国力を考えると難しいでしょう」

「国力はそうだと思うけれど資源だってないわよ?」

「え、そんなバカな。グリーンランドには鉄に銅、フェローには石油があるはずですよ」

「…ちょっとそんな重要な情報があるなら先に言いなさいよ」

「え、ご存じなかったんですか!?」

「私が生きていたころに見つかったなんて話聞いたことないわよ」

うちは資源輸入国だ。自国で資源なんてほとんどとれない。

採れるのは海洋資源と酪農資源だ。

「あれ、そういえばその辺のが見つかったのっていつだったっけ…フェロー諸島は海底油田で有名だけれど」

「ちょっと国に戻ったら関係省庁に動いてもらうようお父様に上申するから書面で纏めなさい」

「でもどこに何があるなんて調べてもいないのに描くわけにいかないですよ?」

「じゃあ自国領における再度の資源開発とでもするしかないわね…多少具体的な産出地の記載があってもいいでしょう」

「本国じゃないですからそれでいきましょう…しかしこの時代って物流が貧弱で困りますよね」

「どういうこと?」

「船の移動しかないのはしょうがないにしても、全部ばら積み船じゃないですか。

 辛うじてタンカーがありますけど、コンテナ船が無いのはびっくりしました」

「コンテナ船?」

「あれ、これも未来の話だったのか…ちょっとまとめます。ダンマークは世界でも有数な海運会社を持っているはずなんです」

「それ初耳だわ。

 物流を制するのは重要だと思う。早速そっちも進めましょう」

いつもよりも時間があるせいか、私とマリーナの会話は今後に向けてとても重要な内容となった。

また、今回の万博において国際会議が何個か開かれ、その中でも科学技術に関する議題ではダンマーク王国はそれなりに目立つことができたと思われる。


より世界各国から飛行機に関する技術の共有も求められた。

これは目的の1904年よりも前に各国から独立保証をもらうことができるかもしれない。


硬式飛行船の歴史が前倒しされておりますが、一部を加筆しました。

本来の硬式飛行船の初登場は1897年のツェッペリン号です。

これは、ダンマーク王国のグライダー開発から始まった飛行機開発の加速によるドイツ側の技術加速の影響で第4回パリ万博でプカプカ浮いていたりします。

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