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彼らは歌う自分のために  作者: 高月水都


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4/5

一人称。

リューステイン=自分

セッテアール=セッテ

ユゼル=俺

だったりする。

「それはあれデス。ユゼルくんに全力出してもらえないから拗ねてるデス」

「拗ねてない」

 セッテアールに相談したのは間違いだった。


「違うデスか? リューステインくん。だから不機嫌デス。セッテは思うデス」

「…………だから違う」

 なんでそうなるんだと苛立ったように告げるとセッテアールは怯えたように少し離れたところに隠れてしまう。


「……………でも」

 まだ怖いのか怯えているのに顔だけ出して、

「セッテはリューステインくんやユゼルくんよりも年下で、【使い魔】になったのは最近デス。だから、上手く言葉出来ないデス。でも、思うデス。リューステインくんはユゼルくんに本気出してもらえないのが悔しいデス。庇護下扱いされている気がするデス。だから、イライラするデス」

「だから違うと………」

 否定しようとするが、否定しようとすればするほど、否定できる内容が無かったのでそれ以上言葉が出なかった。


「デモ、【完璧な人間】になるのにライバルが居なくなった方がいいデス。なんで、そこで怒るデス。ユゼルくんが目指していないのならいいのではないデスか? 分からないデス」

「自分も分からない。なんであいつは本気を出さない。自分を馬鹿にしているのか」

 冗談じゃない。


「難しいデス。あと、この気持ちは【完璧な人間】デスか?」

「………………………いや、違う」

 完璧な人間だったらこんな感情持たないだろう。これは不完全な感情であって、たぶん……。


「【使い魔】になる前の自分の感情だろう」

 情けない。


 セッテアールに背を向けて出ていこうとする。

「どこ行くデスか?」

「頭を冷やしてくる。こんなみっともないのは【完璧な人間】ではないからな」

 とドアを開けた瞬間だった。


「これはチャンスだ!!」

 開けた瞬間入ってくるのは主君。


「主君……」

「どうしたデス?」

「いい話を聞いたんだっ!! 群青が作っていた【完璧な人間】が行方不明のなったと!! あいつにはいつも辛酸を味合わされてきたからな!! あいつの【完璧な人間】の製作は大幅に遅れるだろう。その隙にこちらが作り上げてしまえばいい!!」

 よほど嬉しいのだろう興奮したように告げて賛同を求めている。


「ああ。リューステイン。今度の満月の時に魔術師の集会があるから途中経過を見せようと思っている。付いて来てくれるよね」

 問われて当然だと了承する。


 ………………………途中経過だけど他の魔術師に見せる。それは主君に一番【完璧な人間】だと認められたことであり、誇らしくもあり、勝ったと思ったのだ。


 自分の中にあったユゼルに対する劣等感。ユゼルの【おまけ】で【使い魔】になったという立ち位置から解放されたような誇らしさ。選ばれたのだという自負。


(あいつも愚かだ。真面目にやっていれば、主君に認められたものなのに)

 手を抜くから悪い。


 もはや手を抜かれたことも自分が選ばれた時点で些細なことに思える。まともに勝負をしてもらいたいとか、馬鹿にされているのではないかと思っていたが、あいつの行いの方が愚かで幼稚で……馬鹿のすることだ。


 自分はあいつと違う。それを見せる絶好の機会だとその日に備えることにだけ意識を向ける。


「………………………どんな理由でもご主人様が認めてしまえば正義なんデスね。ユゼルくんの考えはもういいデスか?」

 セッテアールの呟きが聞こえたが、主君の言葉の前では無意味に等しかった。

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