暴露しないでください…!
「うふふ、お相手はね〜
ヴィンゼン伯爵閣下、アイラード様よ〜!
あのアレイシオ辺境伯様の弟君様の!」
「まあ! お姉様が、身分差の恋を!?
お姉様ったら、面白い………じゃなくって!
素晴らしいわ!詳しく聞かせて、頂戴!」
「えっ!? お母様…!?
まだ、暴露しないでください…!」
「あらあら、家族相手よ?
良いじゃない!」
いつも勘の鋭いカトロン様とお茶目なお母様によって、恋バナが大好きで、好奇心旺盛すぎるサーラシュカにバレてしまいました。
ああ、まだ、内緒にするつもりだったのに…
カトロン様は、噂が苦手な人だから、あえて、私から、先に聞き出そうとしているみたい。
「その伯爵様って、かなり年上のはずじゃ… ?
既婚者なのでは…?」
「うふふ、だいぶ年上ね、32歳だそうよ。
8歳の嫡男様がいらっしゃるようだけど、今は離縁されて、シングルファザーなのよ。」
「まああ!?年の差かつ、訳ありな伯爵様と?
それは、大丈夫なんですの?お母様?」
「義姉上に相応しい相手なら反対はしませんが、それは、大丈夫なのですか、義母上?」
「あらあら、人を見る目があるリュネちゃんが、信用が出来る方だから、大丈夫よ!」
「確かに!お姉様の周りの男友達って、とっても誠実そうなお方ばかりなのよね〜!」
「うん、確かに、義姉上の周りのご友人は、男性であれ、女性であれ、人として、信用できる者ばかり集まっていますね。類は友を呼ぶという感じですから、大丈夫でしょう。」
「サーラシュカ……… カトロン様………」
そこまで、家族から、信頼を得ているとは…
リュネシュカは、アイラード様を信じてみても良いのかもしれない、そう思えた。
彼の、恋愛対象になりうるのか、謎のままだ。
年の近い女性が好みであれば、彼にとっては、歳の離れた友人の一人という感じだろうから。
その場合は、失恋してしまうけれど…
それは、それで、良いのではないかと思う。
世間は、私が思う以上に、広いものだ。
私は、まだ20歳だから、別の異性に巡り合う可能性だって、あり得るのだから。
「ねえ、リュネシュカお姉様
そのアイラード様に会うことは出来ますか?」
「次の秋の夜会で、一緒に参加する予定だから、そちらで、お会いできると思うわよ?」
「まああ!?夜会に、一緒に出るの!?」
「ええ、女避けのためだと思いますけれど…
夜会のパートナーに誘って下さったのよ。」
「まああ!パートナーに!?素敵じゃない!」
「へぇ、なら、脈はあるんじゃないですか?」
「うーん………
それは、どうなのかしら?」




