気が早いですよ?
「うふふ、リュネちゃん!
たくさん持って来たわよ〜!」
「はい、お母様!
ありがとうございます…!」
お母様は、商会の店舗から、アクセサリー類をたくさん持って来られました。
煌びやかに光るものからシンプルなものまで、種類は、様々です。
「アクセサリーについては、ハンナに任せる事にしようか。私は、そろそろ仕事に戻るよ。夕方から、お客様の予約が入っているんだ。」
「はい、お父様!
ありがとうございます…!」
資料を手にとって鞄にしまって、商会の店舗の方へと戻って行きました。お父様は、商会長様として、お仕事がたくさんありますからね。
お母様は、私が気になりそうなアクセサリーの小箱を、3種類ほど出して、並べました。
「まずは、こちらよ〜!」
「ブルーローズの髪飾りですね?
神秘的な青い薔薇の髪飾りは、可愛いらしくて気になりますが………」
「伯爵様は、青髪銀目なのでしょう?」
「はい、そうですよ。」
「彼の色彩を纏えば、夜会のパートナーとして、女避けにもなると思うわ…!」
「えっ?私達は、婚約している訳ではないので…
それは、難しいのではないかと…」
「あら、それもそうね?」
婚約していれば、アイラード様の髪色や瞳色に合わせたアクセサリーでも構いませんが…
婚約していないため、青にしたら、微妙な顔をされてしまうのではないですか?
お母様、なんだか、気が早いですよ?
「なら、こちらの、鈴蘭が付いたラベンダーは、どうかしら?可愛いらしいでしょう?」
「まあ!これは、可愛いらしいですね!」
真っ白な可愛いらしい鈴蘭の上に
濃い紫色のラベンダーが重なるように…
私の薄紫色の髪に、真っ白な鈴蘭が重なって、濃い紫のラベンダーが目立つようになります。
こちらが、一番気になりますね!
「ふふ、伯爵様は、リュネちゃんをラベンダーの妖精さんって言ってくれたのでしょう?」
「はい!こちらなら、良いかもしれません!」
「うふふ、こちらにしましょうね!」
やっぱり、お母様は、センスがあるのだわ。
お母様は、ステファーニ男爵令嬢として、誕生しましたが、貴婦人になるか、平民として針子見習いになるか、悩んでいたそうです。
先代男爵のお祖父様に頼んで、学生時代から、針子見習いに。針子見習いとして頑張っている最中に、視察に来ていたお父様に出会いまして政略結婚前提婚約者となられました。
だからこそ、このお母様が、商会長夫人として選ばれたのでしょう。それは、サーラシュカに受け継がれている技術ですからね。
ちなみに、私は、どちらにも似なくて、侍女をやっていた、父方の祖母に似ましたよ。




