美しい青なのですよ
「なんて美しい…」
「王都だと、白亜の神殿なのですが、こちらの、アレイシオ神殿は美しい青なのですよ。」
「ふふふ、とても綺麗で、素敵ね。」
夏休暇は、あと2週間ほど、あります。
私は、メアリー様に案内されて、国宝の遺産となっているアレイシオ神殿にやって来ました。
このセジュレイ王国の国教は、人々や動植物を創造された創造主、造物主への信仰です。
深い慈悲と愛の想いがあったからこそ、我々は生かされているのだという事を忘れないよう、日々、神様に対して、感謝いたしましょう。
神様や他者への感謝を忘れて生きますと、慢心して驕ってしまうからです。王族であっても、偉い立場であっても、慢心せずに、一歩ずつ、コツコツとした日々の努力が必要であると。
一人、一人が、どんな人種であっても、動植物であっても、神様の愛し子。
憎しみを捨てて、愛し合いましょう。
という教えが主流ですね。
そのため、家庭問題は、たまに起こりますが、割と平和な王国なのです。
「創造主なる神様、いつも見守ってくださって、ありがとうございます。これからも、少しずつ頑張って参ります。宜しくお願い致します。」
「創造主なる神様、私からも有難うございます。
様々な出会いを与えて下さったことに感謝を。
これからも、宜しくお願い致します。」
お祈りした後は、椅子に座って、静かに瞑想のように、静寂の時間を楽しみます。
アレイシオ神殿にて、参拝いたしまして、平静心を心掛けて、穏やかな気持ちになれたら…
これから、メアリー様とお出掛けです。
「リュネシュカさん
こちらがオススメの喫茶店ですよ。」
「まあ!可愛いらしくて素敵な場所ですね!」
クロワーヌ男爵家のご近所様に、メアリー様がよく行っているという小さな喫茶店が。
喫茶店《木漏れ日》は、メアリー様の従兄弟、セナさんのお兄さんとその奥様が経営しているところなのだそうです。
「おお? メアリーちゃん!
お久しぶり! いらっしゃいませ!」
「はい、お久しぶりですね、ラモさん。今回も、セナの護衛で、こちらに来れましたよ。」
「おお? セナが帰省しているのか、そうか!
弟が、いつも、お世話になっています!」
「はい、今日は、宜しくお願い致します。」
「では、お客様、こちらへどうぞ!」
セナさんと似たような風貌の青年が、ニコニコ穏やかに笑いながら、出迎えて下さいました。
セナさんのお兄様である彼もまた、珍しい緑の短髪のようです。瞳は、薄い黄色っぽいので、違いますが、確かに、木漏れ日のようなお方。
そのラモさんは、喫茶店のお庭に、木漏れ日が美しいテラス席にご案内してくださいました。




