隣に座っても良いかな?
「リュネシュカ嬢
隣に座っても良いかな?」
「は、はい、アイラード様、どうぞ!」
お茶会の途中で、メアリー様がメイディさんと話すために、隣の席を立ちましたら、今度は、隣に、アイラード様がやって来ました。
あら?小さな妖精さんがいないと思って周りを見渡すと、小さな妖精さん、アストゥロ様は、セナさんと話して、盛り上がっていました。
「ああ、アストゥロのことかな?
セナの冒険者としての活躍話に興味津々だよ。
どうやら、セナは息子に懐かれたようだね。」
「ふふふ、男の子は、冒険話がお好きですね。
私の母方の従兄は、幼い頃から、冒険者になりたい!って言っていましたよ。」
「その従兄は、冒険者になれたのかい?」
「いえ、残念ながら、男爵家の嫡男でしたから、なれませんでした。けれど、次期男爵として、クリス兄様は、騎士団に所属しましたよ。」
「そうなのか、確かに、騎士団ならば、獣相手に討伐に出ることもあるから、冒険者みたいに、自由ではないが、活躍の場はあるだろうね。」
「ええ、楽しそうでございましたよ。」
母方の従兄、ステファーニ男爵家の一人息子、クリス兄様は、3つ年上のお兄さんです。
私の母や妹のように美しい伯母様に似て美貌の従兄は、騎士になった現在、かなりモテます。
それゆえに、クイック子爵令嬢のケイト様から気に入られて、婚約者となりました。
なんだかんだ、婚約者同士で仲が良いですが、少し不満があると、なぜか、従兄は、私に話を聞いて欲しいと言って、訪ねて来ます。
ケイト様から、睨まれるので、訪ねて来ないで欲しいのですが…。
「もしかして、貴女の婚約者かな?」
「いえ、違いますよ!
私には、婚約者がいませんから!」
「そうなのか?」
「はい、ちなみに、その従兄の兄様には、とてもお綺麗な子爵令嬢の婚約者がいます。」
「その組み合わせは、珍しいな」
「クリス兄様は、美貌の持ち主な上に、騎士様として、お強いので、モテるのですよ。」
「ふむ? なるほど、そういうことか。」
「アイラード様のような、妖精のような、美形の持ち主は、初めて、お会いしましたよ。」
「そ、そうか…? ありがとう…!」
「照れておられるのですか…?
アイラード様なら、いろんな方から、美形だと褒められそうなのですが…」
「うーん… 確かに、褒められはするが……
お世辞が含んでいるようだ。リュネシュカ嬢のように純粋な褒められ方は、初めてだよ。」
「まあ! そうなのですか………?」
「ああ、嬉しいよ、ありがとう」




