尊い生命そのものだ
「ターナの件なのですが…」
「まだ、何か、ありましたでしょうか?」
「家族会議を致します。このまま、酷くなるようでしたら、離縁する事もあり得ます。」
「………えっ!? 離縁ですか!?」
「はい、そうでございます。」
この王国の大手の商会は、離婚や婚約破棄は、信用を落としてしまうために、わざわざ不仲であっても、離縁する人は少ない。
思い切りの良さは凄いと思うが、なぜに、今になって、離縁となるのでしょうか?
「エリダとターナの間には、0歳児の、産まれたばかりの、可愛い孫息子がいます。」
「まあ! 産まれたばかりの…!」
「ターナは、可愛い孫息子に対し、八つ当たりが凄いんですよ?証拠集めしている所です。」
「えっ!?まだ、赤ん坊なのに?」
赤ちゃんに対して、八つ当たりは……
どんな事情があれ、だめなものは、だめだ。
一人、一人、人間は、神様から与えられた尊い生命そのものだ。
その尊くて可愛いらしい生命に対して、御生母からの虐待になりそうな感じなのだという…
それは、教育的にも離縁しても良いような感じでございますね?
「ですから、お二人は気に病まないで下さい。
この辺境伯領には、ヴィンゼン伯爵様のような前例もありますから、気にしないですよ。」
「そうですか、分かりました。気になりますが、なるべく気にしないでおきますね。赤ちゃんの尊い生命が守られますようお祈り致します。」
「はい! ありがとうございます!」
その後のことでございます。
メアリー様から、詳しく聞きましたが…
ダイヤー次期商会長エリダ殿は、ターナ夫人と離縁をされたようです。息子を守るためにも。
相手が男爵令嬢なので大変だったようですが、クロワーヌ男爵夫妻が、アイラード様にご相談した結果、すんなりと離縁出来たそう。
のちに、エリダ殿の一人息子、キースくんは、アイラード様の一人息子の支援もありまして、無事に、アレイシオ辺境伯家の御用達のお店として、経済が発展繁栄いたしました。
ちなみに、その件が落ち着いた頃に、ダイヤー商会長様は、アステリノ商会に訪ねて下さり、取り引き契約を結んだようです。
アレイシオ辺境伯領内や関わりある領地内での特産品や、ダイヤー商会のドレス等を、実家のアステリノ商会で売り出しましたところ、発展繁栄いたしまして………
それならば、と恩返しに、王都から辺境伯領へ商品が届きやすいように工夫しましたところ、強固な商会同士の同盟が築かれました。
両親も、妹も、妹の婚約者も、商会の従業員も大変喜んでおりましたよ。
本当に、ありがとうございます。




