こちらは、いかがですか?
「あ、あの!
ご挨拶を申し上げます!
お初にお目にかかります!私は、王都から来ました、アステリノ男爵家の長女にあたります、リュネシュカと申します!」
「改めて、初めまして、リュネシュカお嬢様!
私は、ダイヤー商会長を務めていますサンセと申します。宜しくお願い致します。」
「私は、サンセの妻、リーリアと申します。
宜しくお願い致します。」
「はい、宜しくお願い致します!」
少し無理矢理ではありますが………
空気を切り替えさせていただきました。
男爵令嬢が、こちらの次期商会長夫人として、押し掛け女房になりましたが、こちらには合わなかったということでしょう。
サイディー伯爵領の商会は、皆様、裕福でありますから、次期商会長夫人となりますと、受付やら事務やらはしなさそうですし…。
イメージと違ったのでしょうね。
「リュネシュカお嬢様、家庭の事情に巻き込んでしまいまして、申し訳ありませんでした!」
「いえいえ、いろいろとありますよね。」
「いやはや、空気を切り替えてくださいまして、誠に、ありがとうございます。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
「では、気持ちを切り替えまして!
こちらに様々な色彩のドレスがございますが、今回、何故、必要とされていますか?」
「実は、ヴィンゼン伯爵閣下アイラード様から、お茶会にご招待して下さいまして。」
「おやおやおや、珍しいですなぁ。
あの方が、お茶会をお開きになるとは!」
「あら、珍しいのですね。」
「今のところ、あまり聞きませんな。」
「セナとメイディさんの新婚祝いだそうです。」
「ほほ!セナ坊ちゃんの、なるほどですな!」
「こちらの王都から来られたリュネシュカさんのドレスをご用意したくて。」
「なるほど、ヴィンゼン伯爵閣下の………
青、黒、銀以外ということになりますね?」
「はい、そのように、お願い致します。」
青、黒、銀のドレスが片付けられました。
残ったのは、水色、白色、黄色、橙、赤、紫、緑、黄緑、金色など、様々ですね。
「そうですね………
リュネシュカお嬢様は、薄紫の髪色に青目ですから、赤系は目立ちすぎますね。」
「そうね………そうだわ!濃い紫から、薄紫へのグラデーションのものはいかがですか?」
「ふんわりとしたドレスが似合いそうですな!」
「お嬢様、こちらは、いかがですか?」
「とても可愛いらしいです!」
リーリア夫人が用意して下さったのは、濃い紫から、薄紫までのグラデーションの、ふんわりとした可愛いらしいドレスでした。
お上品な感じで、シンプルなものですからね、あまり目立たなくて良いかもしれません。
今回は、セナさんとメイディさんが、メインのお茶会ですからね。




