気がつくとそこは
「うう、ここはどこだ……」
気がつくとそこは、見知らぬ壁だった。コンクリートではなく石垣のように積まれており隙間からは苔や水が垂れていた。
「取り敢えず起きなきゃ……」
ジャリン!
突然、金属が擦り合う音がこだまする。
それどころか、身体が全然動こうとしない。まるで何かに固定されるみたいだ。
「なんじゃこりゃ!?」
両腕を鎖で釣り上げられた状態で、首には左右が見れないように枷がつけられていた。
足をはなぜか、よく見る丸い球体がついた足かせだった。
一体、なぜ自分がこんな状態になっているのであろうか。
確か、映画の撮影が終わったも思い、汗がベタベタで気持ち悪いから風呂にでも入ろうかと思ってた時に……
「………っ!」
思い出そうとするだけで、頭がズキズキする。
まるで、思い出させないようにしているかのように。
微かに思い出そうにも、景色がかすれててよくわからない。更に鮮明にしようとすると、頭痛が酷くなる。
これ以上の深追いはやめることにした。
まずは、目の前の状況について整理することだ。
首に巻かれてる枷のせいで周りはよく見えないが、声の響と反射で大体は予測できる。
「………」
目を閉じ、聴力を集中させる。
(成る程、大体はわかってきたぞ)
仄暗いことからどこかに光が差し込む場所がある。
そして、それは自分の後ろにある。声が返ってこなかったり返ってきたりするから……鉄格子ようだ。
扉は……ないようだ。
「ーっ!なんだこれは!?」
何より驚いたのが、部屋全体が複雑なカラクリのようになっている事だ。そして、それらはすべて石垣で巧妙に隠されている。
リールのような装置が幾つかありワイヤーらしきものが巻かれてはいるがそれがなんなのかはわからない。
ピタゴラスイッチでは無さそうだな。
一瞬、両腕を引きちぎる拷問器具かと思ったが、鎖は釘で打ち付けて抜けないようにされているだけだった。
では、なんなんだここは。
考えてもアレだな。取り敢えずこれを抜けかないとな。
金属アレルギーではないが、擦れて痛いし、思いっきりはまってるから手が麻痺してきた。
「スゥー、」
深呼吸をして、落ち着かせる。
全身の筋肉に酸素を大量に送り込み、血流をあげる事によって、力を蓄える。
「はぁぁぁあ!!!!」
そして、一気にそれを解き放…………とうとしたその瞬間
部屋全体が突然揺れだした。
「おおっと!?」
違う、動いてるんだ。部屋全体が動き始めている。ワイヤーが巻かれる音と、装置が擦り合う音。
気づくと、地面がちょっとずつ盛り上がっている。
いや、上に向かって動いてるのか!
もしかして、さっきの装置はエレベータのようなものなのか。
なら、俺はどこに向かっているんだ。
そして、さっきからただよらぬ気配が上の方から伝わってくる。それも、一人ではなく数人……いや、数十人はいる。
一体、この天井の上には何がまっているだ……
徐々に上がっていく部屋。
天井まで数メートルの距離になると、ゆっくりと天井が開き始める。
仄暗買った部屋が突然、光に包まれた。
目を開けるとそこには……
「では、これより審判を始める。」
「「「「神王のおうせのままに!」」」」
いかつい体をしたおっさんがを中心に、豪華絢爛服装ををした少年少女達が斎賀を囲む形で座っていた。




