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逮捕!?

「止まりなさい。」


ひときは大きな鎧を装着し、羽を数十枚生やした人物からの警告。


声からして女性だろうか。


恐らく槍を放ったは、あいつで間違いなさそうだ。


「両手を挙げて、膝をつきなさい!」


鎧越しからでも、凛とした声がはっきりと聞こえ、完全に俺を犯人と確信し、拘束しようとしているようだ。


先ほどまで、地面に刺さっていた光の矢もいつの間にか消え、気づけば彼女の槍に握られていた。


それに続く感じで、他の隊員らしき人たちもそれぞれの武器を召喚していく。


「いや、俺は……」


シュッ!!


決して怪しいものじゃないと言いかけたその時、何かが右頬を通過した音が聞こえた。


地面には煙を立てながら数センチの穴が空いていた。


よく見ると、銃のような物ををこちらに向けて構えている奴がいた。多分、モデルガンだと思うが……


もしかして、言う通りにしなかったから威嚇射撃をしたのだろうか。


それにしても、リアルな作りだな〜あの銃。見たことない種類だが、細かい装飾が施されてて、美しい。


見とれていると、流石に違和感を感じたのか、一歩後ろに下がっていた。


「アニス隊長、どうしますか?」


「うむ、降参しそうにもなさそうだ。」


「殺しますか?」


なにやら、物騒な話を始めている。降参しようにも、元々疲れてて戦う気がない。というか、早く風呂に入って汗を流したい。ベタベタで気持ち悪いんだ。


そんな斎賀の想いとは裏腹に、ヴァルキリー達は話を進めていく。


「いや、見たところ戦う気もなさそうだ。それどころか、神力を感じないな。」


「確かに、そうですね。エリスの話では暴走して手がつけられない……と聞いていましたが。」


目の前にいる、少年からは暴走どころか神力をこれっぽっちも感じない。


「暴走による無理な強化で神力を使い果たして、枯渇したのでは?」


「いや、それなら普通は気絶していてもおかしくはないとは思うが……」


神力を使い果たすと、気絶し回復するまで膨大な時間を要する。


目の前の少年は、気絶どころかけろっとしているではないか。


人間界の森をこんなにもめちゃくちゃにして、さらには恩師に重傷を負わせたというのに、まだ、暴れたりないのだろうか。


「もしかして……」


アニスには心当たりがあった。


アニスをはじめとした、隊長クラスの警察官(ヴァルキリー)にしか、伝えられていない極秘情報。


その中の、これと似たような事件がいくつもあった。


事件の加害者の大半が学生。それも満足に神力を扱うことができず、クラスメイトから蔑まされてい、落ちこぼれ達。


神力によって、価値観が変わる世界において彼らはゴミ同然の扱いを受けている。


それ故、犯罪に走るケースも少なくない。


つい最近にも、これと似たような事件が起き、少なくとも人間界では数百人の死者が出た。


人間に恐怖を与え、自らの神力を高めようとした、挙句、体が耐えきれずに暴走してしまった。


それ以来、人間界に行くのは我々、警察官それに、幾多の神々も厳しく規制されるようになった。


それのせいで、仲間達と計画していた箱根温泉旅行もダメになってしまった。


許しがたい!!


「午後8時35分25秒。君を逮捕する!!」


「え!? 」


刹那


足元に電撃が走った、足裏から体全体にハリが突き刺さるような痛みが伝わる。


一体、どこからこんな強力な電気が……


地面をみると、先ほど銃で空いた穴から電気が流れていた。


もしかして、最初からこの目的で……


「拘束しろ、光輪鎖(チェーンクロニクル)!!」


斎賀の体が光輝く鎖によって拘束される。


「くぅ、なんだか急にだるく……」


そのまま、気絶してしまった。


光輪鎖は対象者を拘束するだけでなく、相手の体力を奪い尽くすまで離さない絶対に壊すことのできない鎖なのだ。


「よし、このまま連れて行きますよ」


斎賀は、全身にくまなく鎖を巻かれた後量でと首に手錠をかけられた。


さらに、目覚めて暴れないために特殊な結界の中、厳戒態勢で運ばれていく。


まるで、何かから奪われないように。


******************


「うぅぅ………ここは」


ヴァルキリー達が斎賀を拘束し、連行していく中、運良く残されたブレンダは正気に戻っていた。


神力を解放したあたりから記憶がない。


かろうじて覚えているのは、エリクサーの必死の説得を無視したこと。


そして、一人と少年。


「なんだこれは……」


目の前の光景にブレンダは驚きを隠せなかった。


破壊された森、いくつものクレーター。焼きただれた木々


「全部、俺がやったのか……」


先生やあの少年が影も形もない。


本当に俺がやったのか……


だとしたらもう……


「いやー、素晴らしもの見せてもらったよ。」


ブレンダが放心状態の中、どこからともなく現れた一人の青年。


最高のショーを見たかのように微笑みを浮かべ、ブランドに近づいていく。


「お、お前は……!!」


「どうでしたか、私が与えた力は?」


ブレンダを誑かし、数々の学生事件の黒幕はこの男によるものだった。


「は、話が違うぞ!!」


ブレンダは男の袖をつかんで、食ってかかった。


「何がですか? 私は貴方が望んだ力を与えだけ。こうなるのを望んだのは貴方自身です。私のせい? それはどうでしょうか?」


今にでも、殺されてもおかしくない場面であざ笑う男。


「この!! ふざけ……」


殴りかかろうとしたその時、胸に衝撃が走った。


「かはぁ……!!」


いつの間にか、ブレンダは心臓を貫かれていた。


男は、心臓を貫いた剣を抜き、ティッシュで血を吹いた後、相打ちをかけるかのようにこう告げた。


「貴方は、いい実験材料でした。そこでです。」


懐から、一本の短剣を取り出した。


「これは、まだ開発中のものでしてね。君ならいいデーターが取れそうです。」


禍々しいオーラを漂わせる短剣をブレンダの心臓に突き刺した。


「ぉご……がが……」


ブレンダの体が徐々に原型を失い、変化していく。


もはや、それはこの世のものとは思えない姿であった。


「素晴らしい!! 君は天才だよ!!」


男の笑い声が森にこだまする。

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