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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
五章 サンクリス皇国編
91/499

91.いざ4ヵ国目へ!

 飛行船は無事にサンクリス皇国に着いた。


 地面がある事が本当にありがたい。下船すると私はすぐに近くの木陰の下に運んでもらい、コソコソ隠れて魔力を回復する。


「アイネさん大丈夫?気分でも悪いの?」

 優しい声がかけられる、勿論私ではなくアイネちゃんにだけど、

「ありがとうございますシシリィ・ベルリアル夫人様、少し船酔いしたようですが大丈夫です」

 ベルリアル公爵夫人のシシリィさんだ、上品で気品あふれる本物の貴婦人だ、同じ公爵夫人でもどこかの強欲夫人とは正反対のお方だ。

「無理はダメよ、いくら薬聖の姫君でも御自愛して下さいな」


・・・はい?薬聖の・・姫君ですとな?

「・・・あっ、あの、なんですか?薬聖の姫君?」


 私達には全く心当たりがない。

「あら、陛下やレイア王妃がアイネさんの事を大喜びで称えていたわよ、社交界ではもう有名よ?」

 アイネちゃんは恥ずかしさから顔を覆う、耳まで真っ赤になっている。


「リントワース家は最近夜会に全く出てないから知らないだろうけど、レイア王妃があっちこっちで言いふらしてるわよ。社交界のスピーカーに身バレした以上は覚悟した方がいいわよ」

 シェルさんがニヤニヤしながらやって来た、あの王妃思ったよりもヤバい人かもしれない!?

「シェルったら、ぷっ、不敬よ、すっスピーカーって、ぷっふふ」

 シシリィさんが先程のスピーカーという揶揄にシェルさんが笑いを堪えている。なんかこの2人、同類のような気がして来た。

 一方のアイネちゃんは、王妃に目をつけられた事を知り今度は顔が真っ青になっている。

 その反応を見て2人の悪の貴婦人は大喜びしている・・・なんだこれ?


 私は丁度いいからとシェルさんの肩に乗り合図を出す、

((シェルさん、ちょっといいですか?))

「どうしましたラヴィリス様?」

 気を利かせてこの場から離れてくれる。

「私はこれからテルーさんとベタスルール王国に行きます、なのでマーナのエンゲージリングを貸して下さい」


「は?嫌よ」


・・・はい?

「貸して下さい」

「お断りします」


・・・おい!

 私はシェルさんをど突く、

「みんなに自慢するためにこの宝石を持って行きたいのよ!」

「知らんがな!私達と連絡取り合えた方がいいでしょ!」

 そんなしょうもない理由で断るな。


「そっ、そうよマキシム君でいいじゃない!」

「言葉が喋れないでしょ!」

 不毛な喧嘩が始まる、なんとかエンゲージリングを奪いとる。

「絶対返して下さいよ!」

 いい歳して泣かないで下さい!


「シェルよ、なんで泣いているんだ?」

 良いタイミングでハズリムさんがやって来た。

「聞いてよハズ!このパワハラ妖精が酷いの!」


 なんだよパワハラ妖精って!


 私は連絡を取り合えるようにマーナを借りようとしただけだと説明する。

「そうか、そうかそれは可哀想に、こっちでいい宝石を買ってあげるから少し我慢してくれな」

「本当!?約束よ!絶対だからね!」

 嘘泣きか!本当にいい性格してるよ。


「ハズリムさん、例の翼竜の古代種のことですが嫌な予感がします。何かを探しているようでした、アイツらはとても執念深いのでここまで何かを追ってきたという可能性があります」

 聞いたかもしれないが、重要な事なのでハズリムさんに直接伝えておく。


「怖いこと言わないで下さいよ、もう二度と戦いたくないわ」

 シェルさん、私も同感ですよ、

「何かあればマーナを通して私に伝えて下さい」

 2人共頷く、こうして私はテルーさん、カーリンさんと共に南にあるベタスルール王国に向かうことになった。


 シェルさんが用意してくれた越境便、なんと魔導列車のことでした。

 前世でいう電車のようなものでレールの上を走り、動力は魔石による魔力式でかなり高級な移動手段らしい。知らなかったがクリストア王国にも王都から海にいく魔導列車があるらしい。

 みんなが見送る中、アイネちゃんは魔導列車に釘付けで明らかに自分も行きたいオーラが全開に出ていた。

「アイネちゃん?」

「はっ、はい!羨ましいですが、大丈夫です、私はお姉ちゃんなので我慢できます!」

 意味不明な事を言い出す・・・きっとお姉ちゃんという事で我慢させられた事があったんだろう・・・ここは聞き流してあげよう。


「それでは行ってきます」


 私達は魔導列車に乗り込む、2人分のチケットを車掌さんに見せると中に通された。チケットがあればその間にある面倒な国境検閲がないので最短でベタスルール王国に行けるらしい。夕方にはコンキスタのという街に到着するようだ。

 コンキスタの街はベタスルール王国最大の交易都市だ、そこに一泊して翌日出発し、その日の昼にはテルーさんの故郷アマルフィに着くという。

 魔導列車は静かに動き出した、揺れも少なく快適だ!

「これはアイネちゃんが乗りたがるわけだ」


 こうして私はこの世界に来て4つ目の国へと出発した。



 ーーアイネーー


 行ってしまった。

 羨ましいのか寂しいのか分からない感情だ、いや正直言って羨ましい!私もついて行きたかった。

 名残り惜しいが戻らなくてはならない。治験は5日後だけど、その間に夜会やら謁見やらスケジュールが一杯だ。

 ふと今いるメンバーを見てみた。

 リマはおそらく今晩あたりにラヴィリス様がいないという禁断症状が出るだろうから、そこはタナに頑張ってもらうしかない。

 フレディさんはまだ青い顔をしている、ここまで乗り物に弱いとは思わなかった。

・・・あれ?これは私がしっかりしないとダメなんじゃないか?というかラヴィリス様がいないとウチのメンバーは全員ダメなんじゃないか?



 ラヴィリス様、早く戻ってきて下さい!




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