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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
五章 サンクリス皇国編
88/499

88.サンクリス皇国についてから

 私達は怒られた。

・・・テンションがMAXだったので探検しようとしたんだ。


 廊下をダッシュしていたところをテルーさんに見つかり捕獲されました。

 物凄いタックルだったよ。全力疾走のアイネちゃんに後方から追いついて後ろからタックルして倒れ込んだよ。それでもガッシリ掴んで離さなかった。


 今、アイネちゃんは倒れ込んだ際に顔面を強打して泣いている、正座しながらテルーさんにガッツリ叱られて更に泣いている。

 それに今と関係のない事なのに、学校と普段とのギャップが詐欺だとキレられ、理想の淑女像が完全破壊されたと理不尽にブチ切れられている状態だ。

 その様子を見てリマさん達メイド衆はテルーさんを拍手で称賛していた、本当に酷いメイドたちだ・・・


 一方、私もアイネちゃんの歯止め役なのに何一緒になって暴走してんだとテルーさんに怒られましたよ、本当に怖かった・・・

 それに興奮して隠蔽して姿を消してなかった、本当に良かったよ第一発見者がテルーさんで。

 


 そろそろ叱られ疲れた、何か話題を変えたいな。・・あれ?そう言えばフレディさんは?こんな大騒ぎをしているのに姿が見えない?


「・・・フレディ隊長は、なんでこんなモノが空を飛ぶんだって震えて部屋から出てきません」


 リマさんが冷たい表情で教えてくれた、何だ?私を含めてポンコツばかりな気がする。



「・・・ちょっと、何を騒いでいるんですか?」

 聞き覚えある声がする、わざわざゼル君とシェルさんがやって来たのだ。

「あははは、テンションが上がりすぎて暴走してしまいました」

 可愛らしくテヘペロしてみた。

「・・・はぁ、相変わらず困った人達ね」


 シェルさんには全く効果はなかった!?


「テルーさん、ちょっとよろしいかしら?」

 アイネちゃんがメイド(テルーさん)に怒られて正座させられてるのにツッコミをいれない!?

「あれ?え?この光景はスルーですか?」


「何となくだけど想像できるからね、貴女達は」

 目が冷たい!


「学園長先生、どうかされましたか?」


 テルーさんが我に返り丁寧に挨拶する。一方のアイネちゃんはようやく解放されて安堵の表情をしている。

「サンクリスに着いてからだけど、越境便が上手く手配できました。それに乗れば翌日にはベタスルール王国のコンキスタの街につけるわ」

 シェルさんはチケットをテルーさんに渡した。


「そっ、そこまでしてもらう訳にはいけません」

 狼狽るテルーさんだが、シェルさんは譲らない。

「お母様にすぐに会いに行きなさい、私は仕事ばかり優先してたから自分の母親のそばにいられなかった、だからそんな思いを貴女にさせたくありません」

 いつになく真剣だ、シェルさんの過去にそんな事があったんだ・・・


「・・・わかりました、ありがとうございます」

 テルーさんは大事にチケットを手にする、少しだけシェルさんのことが分かった気がする。


・・・あれ?ゼル君を見ると変な顔をしている。


「んっ?ゼルさんどうしたんですか?」

「えっ、ああ、その、曾祖母様は凄い元気だし、先日も会いに来てたけど」


 はぁ!?


「何でバラすの!いい感じで皆から尊敬の眼差しを集めていたのに!」


 もうこの人にはウンザリだよ、本当に仕方ない人だよ。簡単に評価を下方修正できる人だよ!


「なっ、何よその目は、死んだとは一言も言ってないでしょ」

 皆から冷たい視線を一身にうけている。いつものシェルさんに戻ってくれた。

 テルーさんを見ると笑っている、シェルさんの尊厳を削ったギャグは効果があったようだ。

「すいません学園長、大事に使わせてもらいます。このご恩はいつか必ずお返しします」

 嬉しそうにシェルさんに頭を下げる、

「そうね、必ずコーヒーはお礼に買って来てね」

 この人はすべてを台無しにする!


「ところで、テルーさんのお母様の症状とはどういうのなんです?」

 ずっと気になっていたから聞いてみた。

「えっ、はい、なんでも全身に力が入らなくなってしまい、今では寝たきりになってしまって」

 衰弱?それに寝たきりになの?

「いつからですか?」

「はい、私が学園に入学して少し経った後ですから1ヶ月ほどです。そのまま半年は起きないそうです、私がそれを知ったのは最近ですが・・」

 1ヶ月?早くないか?私は暫く考える。

「私も行きましょう」


 全員に驚かれてしまった。


「サンクリス皇国に着いてすぐに第5皇子を診るわけではないのでしょう?」

 すぐにリマさんがスケジュールを確認する。

「はい、そうですね。本格的に診察するのは5日後です」

 夜会やなんやら貴族は色々忙しいのだ。


「私1人なら飛んで帰ることができるから往復可能ですよ、国境とか関係ありませんし」

 突然の私の提案にテルーさんは困惑している。

「それと、何故か気になるんです、人の生命力がそんな急激に削られるのなんておかしいです」

 ハッとしてアイネちゃんが私を見る、

「もしかして呪術ですか?」

 私は頷く、まさかとは思うがその可能性もある気がする。

「はっきりと言えません、ですが一度診た方が良いと思います。というか診ないと後悔しそうで」


「なら私も行きます!」

「「「ダメです!!」」」


 アイネちゃんが全員からツッコまれてまた泣きそうになっている。

 アイネちゃんを放っといて久しぶりに栄養満点滋養薬を作りましょう。


「シェルさん、この船に食糧庫ってありますか?」

「あるけど、何するつもり?」

 シェルさんが身構える、なんでそんなに警戒しているの?

「栄養満点滋養薬を作るんです、衰弱している人に飲んでもらうんです」


 そういう事でこの船の食糧庫を漁りに行きたいと思います。

「さあ、行きましょう、皆さん!!」

「「「「はい!」」」」

 私の合図にメイドさん達が立ち上がる、もちろんテルーさんも一緒だ。彼女もだんだんとウチに染まってきたな。

「アホらし、マーナと食堂でお酒でも飲んでるわ」

 シェルさんは呆れて1人部屋から出て行く。置いてかれるゼル君、

「お、おい、いいのか?置いてかれるぞ?」

 ゼル君が放心状態のアイネちゃんに聞くと、我を取り戻す。

「ま、待ってください。置いて行かないで下さい!」


 結局、2人も私達について来た。


 厨房に着くとすぐに料理長にお願いをする。

 多少ならという事で特別に食糧庫に入れてもらった。

 船の中なのに中々の品揃えですな、カーリンさんが何かを食べようとしているので皆が止めているが、私は興味ないので食材を色々と物色する。


 薬草系が足りないけどそこらの花瓶にいっぱい刺さっているので勝手に拝借しよう。


 食材と花をいっぱい持ってホクホクで部屋に戻る、すると部屋の前で数名の人影がいた。

「リプリス様!?」


 なんと王女様を部屋の前で待たせてしまったようだ。


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