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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
四章 ウォルベル王国編
63/499

63.招かねざるモノ

「初めてまして、竜狩のヴェロニカ様」


「私は地の女神セルリス様の直系眷属のラヴィリスと申します、以後お見知り置きを」


 私が目の前に現れたことで場の空気が一気に変わった。

「竜狩のヴェロニカだと、彼女が?」

 ハズリムさんが私に問いかける、私はそれに応えずにリリネットさんを見つめる。

「大丈夫ですよ、私は貴女と敵対するつもりはありません」

 出来るだけ和やかに問いかける。


 すると私の前に目の前に音も無く、何もない場所から赤い髪の妖精が現れた。

 美しい赤い髪をポニーテールでひとまとめにした活発そうな容姿をしている美女だ。


「私は火の女神フレア様の直系眷属のヴェロニカと申します。貴女の言う通り竜狩のヴェロニカは私のことです」

 全員が私達に刮目している、女神の直系眷属の上位の妖精がこの場に2人もいること事態あり得ない事なのだろう。



「驚いたな、まさかもう1人女神様の眷属が現れるとは」

 先程、将軍と呼ばれた男性が入ってきた。

「バークライ、なぜここに?」

 ハズリムさんが反応する、この国にいる旧友とは彼の事でしたか。



「ここは私の妻がオーナーなのでな、人払いは済ませておいた」

 バークライさんが紅茶を淹れてくれた。

「か、可愛い、これはどこで買ったのですか?」

 リリネットさんが私の特製ティーセットを見て目を輝かせている。

「どうぞ、ラヴィリス様のティーセットの予備ですがお譲りいたします」

 リマさんが得意げだ、というかなんで予備を持ってるの?

「えっ?よろしいのですか?」

 アイネちゃんとリマさんが極上の笑顔でサムズアップしている、するとリリネットさんも極上の笑みで親指を立てる・・・まあ、馬が合うのは良いことだ。


「・・・ラヴィリス様がラプトルを討伐なさったのですか?」

 やはりヴェロニカさんは恐竜を知っている。

「はい、ここにいる皆さんに協力してもらい、何とか倒す事が出来ました」

 私1人では絶対無理だ。

「私も聞きたいのですが、ヴェロニカ様はウラノス台地から出て来たのですか?」

 ピクッと反応する、

「私はバンゲアという場所から出て来ました。恐竜はいましたが、その中にラプトルはいませんでしたから」


 ヴェロニカさんが重い口を開く。

「私はウラノス台地中央にある活火山で生まれました。フレア様の加護がありましたが、ラプトルには何度も襲われました。アイツらよってたかって集団で襲ってくるんですよ!最低です」

 震えながら答える、私は物凄く親近感を覚えた。

 私も恐竜に散々追い回され、命辛々ようやく脱出できたからだ。


「・・・お互い苦労したんですね」


 しんみりと口にする、ハッとしてヴェロニカさんが私を見つめる。その目には涙が溜まっていた、私もなぜか視界がぼやけていた。


 苦労した同士、私達は抱き合ってお互いをねぎらった。


「それで私達に手伝って欲しい事とは?」

 本来、彼女達がハズリムさんに頼みたかった事とは何だったんだろう、

「バークライが言っていた密林の謎の魔獣の件か?」

 どうやらハズリムさんには話が言ってあったようだ。

「実は、ウラノス台地から脱出する際、一緒に来ては行けないヤツがついて来てしまったのです」

「まさか、恐竜?」

 私は背筋が冷たくなる、また恐竜と戦うのは想像したくない。

「違います、私の服に付着していたみたいなんですが正体はスライムです」


・・・スライム?

ゲームでいう序盤のザコ敵の?


(スライムはとてもやっかいな相手です、上位種になると魔導核の復元能力を有しています。その場合は完全に消滅させないと何度でも復活します)

 そんな強敵なの!?


「スライムならそれ程の相手ではないのでは?」

 アイネちゃんも最初の私と同じ反応だ、

「もしかして上位種ですか?」

 私はアイネちゃんの言葉を遮り尋ねた。するとヴェロニカさんの顔が強張る、

「はい、最終進化のフューズスライムまで進化してしまいました、復元能力だけではなく擬態と捕食を持ってます」


 カガミン、解説して。


(ハイ、フューズスライムとはスライムの最上位種の一体です、擬態とは吸収したものの姿に変化するスキルです。捕食は吸収した魔物の能力を取り込むスキルです、双方ともに体内で消化しきったら取得したものは消失します)

 何それヤバイじゃん。


「奴を討伐するべく何度か逃げた森に入っているのですがドラゴンや魔獣に擬態していつも逃げられてしまって」

 ヴェロニカさんが泣きそうになっている、相当苦労しているのが見て取れる。


「いつの間にか竜狩なんていう二つ名がつくし、森の中だから火属性魔法は使えないし」

・・・本当に苦労しているんだな。


「1番不味いのはヤツが人里に降りてくる事です、今のところ森の中から出てくる気配はありませんが、将来はわかりません。定期的に私が討伐に行ってヤツを削ってはいますが」

 確かにそんな奴が人里にやってきたら、想像も絶する惨劇になってしまう。

「竜狩の名前は討伐の際にヤツがいつもドラゴンに擬態していたので他のと一緒に狩ってたらいつの間にかついてたんです、それで狩ったドラゴンをどうしようと将軍に相談したらここで料理して出したらどうかと言われて」


 それでドラゴン肉のステーキか、皮肉だけど商売繁盛の神様というのは本当だな。


「本来なら、私が招いた厄災です。自分で何とかしなくてはならないのですが、手詰まりになってしまって」

 それでハズリムさんに協力をお願いしようとしたわけだ。確かに恐竜を討伐した話をした時の食いつきが凄かったな、恐竜を倒した実力なら申し分ないはずだ。


「私個人としては協力したいのですが、いかがでしょうハズリムさん」

 私はハズリムさんを見る。


「・・・うむ、手伝うのは問題ないが」


「私は全く役に立たないと思うぞ?」



 え?なんで?



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