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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
四章 ウォルベル王国編
60/499

60. 待ってるよ。

「本当に申し訳ありませんでした」

 翌日の朝はマリアさんの土下座から始まった。


「マリア、飲み過ぎはダメです!」

 アイネちゃん言い方が甘いよ。まぁ、ゆるいのがリントワース流なのだろう。 

・・・本当にそれでいいのか?


「ハズリム様、本当に申し訳ありません!」

 1番の被害者のハズリムさんだが。

「まあ、これからはしっかりと自制するようにな」

 他家の従者なので余り強く言えないようだ。


 シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、


 私は久しぶりにシェイクしてます、二日酔いのマリアさんと食べ過ぎのカーリンさんのために胃腸薬を使っているのだ。


「に、苦い」

「不味い・・・」


 文句を言うな!君達は自業自得だよ。駄メイドとは分かっていたがここまでだったとは。


 本日はアイネちゃんとリマさんは不在です。メアリーさんと一緒にどこかの誰かさんと会いに行っている。貴族とは他国でも大変ですな。


「思えば本当に面倒臭かったな、私も以前は同じだった」

 ハズリムさんが懐かしむように遠い目をしている。

「さて、私も会いたい人間がいるから別行動させてもらうぞ、夜には帰る」

 何でもここには旧友がいるらしい。


 よって私がこうして駄メイド2人の看病をしているのだ、薬が効いたのか2人共昼前には回復したようだ。

「ラヴィリス様ありがとうございます、大好きです!」

 マリアさんの大好きと、シェルさんの大好きはよく似ている気がする。

「ラヴィリス様のこの薬があれば胃袋の限界まで食べられ」

「駄目です!」

 カーリンさん、身体は大事にするべきだ、私は食い気味に断じた。


 さてと、私は2人が元気になったのを確認したので出かけようとする。すると2人共ついて来るという。

「別にいいですけど、たいした所には行きませんよ?」

「はい、私達はラヴィリス様の世話役で参っているのでどこまでも同行させてもらいます」

 世話役が世話されるなんて何やってんだか。

「その蔑む視線も最高です」


 マリアさんは本格的に駄目な人らしい。


「ラヴィリス様どうぞ!」

 マリアさんがエプロンのポケットの口を大きく広げた。私はカーリンさんを見る、諦めた顔をしている。

「・・・よろしくお願いします」

 マリアさんのポケットに入って街を進む。

「どちらに行かれます?」

 上機嫌なマリアさんが聞いてくる。

「せっかくなのでウォルベルの王都にあるセルリス様の教会に行きたいです」

「分かりました、では参りましょう!」

 私は2人と共に大通りから少し離れた場所にある地の女神の神殿にやって来た。中々の賑わいで私達は列に並んで拝礼する、お供物は野菜ばっかりだ。


「南無南無〜、今度会いに行きま〜す」

 ちゃんとお参りしてますよ? すると頭の中に突然声が響く。


『ハロハロ〜、ラヴィちゃん元気?ママよ〜』


 へっ?


『今回は一方通行だけど、ロパゲルススで待ってるよ。誕生日プレゼントあげるからさ!じゃあね!』


 まさかの返答にびっくりする。

「カーリンさん、今度行く山岳神殿って何という名前でした?」

「はい、ロパゲルスス大神殿です」


・・・マジか、とうとうセルリス様と再会出来る、ここに来て1歳の誕生日も祝ってくれるのか。

 意外な収穫を得て私は上機嫌だった、2人にもそれが伝わるようで顔を不思議そうに見合わせていた。

「ラヴィリス様、何か良い事がありました?」

 マリアさんが上から覗いてくる。

「ええ、久しぶりにお母様に会えるので嬉しくなってしまいました」

「・・・えっ?お母様?ラヴィ様のお母様って?」


 んっ?2人が固まっているぞ?


「セルリス様ですよ、先程メッセージをいただきました」

・・・返事がない、ただのポンコツ駄メイドのようだ、


「「えぇっ!?」」


 大声を出すな!皆がこっち見てるだろ、

「おほほほ、失礼しました」

 私達はそそくさと歩き出した。


「女神様って、本当に存在するんですね」

 私達は広場の屋台で食べ物を買い遅い昼食をとる。

「存在しないと私はここにいませんよ」

 揚げ芋を食べながら答える、芋は異世界でも味は変わらないなぁ、安定の味だ。


 すると何処からか噂話が聞こえてくる。

「おい、新聞読んだか?」


「あぁ!SS級冒険者レアンデル・アークリグナだろ!久しぶりに興奮したぜ!」


「まさに世界最高の冒険者だろ!伝説の秘境、天宮城シャングリアを発見したんだぜ、信じられないよ」


「ウチの国の【竜狩のヴェロニカ】とどっちが上かな?」


「強さなら竜狩の方が上だろ、竜専門のハンターなんて命知らずしかいないぜ」


「いやいや、強さなら【剣聖ハズリム】だろ!すでに人間を辞めたっていう噂だろ?」


 私はついビクッとしてしまった。


「ははは、人間離れした強さっていう意味だろ」


「「あははは」」


 なんかすごい油汗がでてきた、そろそろ帰ろう。

「あっ、そこのお店で新聞を買ってください」

 先程の会話が気になったのでその新聞を読んでみたくなった。

 マリアさんが関係のないお菓子もついでに買ってる。カーリンさんまで大量のお菓子を買っている。

・・・なぜだろう、私が頼んだ新聞がついでのような扱いになっているんだけど?


 ホテルに戻ると、すでにアイネちゃん達が先に帰ってきていた。リマさんが迎えに来てくれたが、マリアさん達が持っている大量のお菓子を見てジト目になっている。


 そして部屋に入ると大量のお菓子が並んでいた。

「メアリー様のお爺様方からお土産で大量に渡されてしまって」

 駄メイド共が頭を抱えている。


 私には関係ないな。


 私はマキシムをソファにして先程買ってもらった新聞を読み始めた。


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