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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
四章 ウォルベル王国編
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56.温泉とグルメと女神様の恩恵の国

 隣国ウォルベル王国には各女神様を祀る大神殿がありました。


 せっかくの長い休み、アイネちゃんからは絶対について行く宣言された。

「そういえば、メアリー様のお母様がウォルベル王国出身でしたね。今度お茶会に誘われているので聞いてみますね」

「私も行こう、あそこには温泉がある。病み上がりの湯治にはピッタリだ」

 ハズリムさん貴方は元気です、そんな貴方に湯治など必要ないと思いますが・・・

「いいわね、温泉か、何年も行ってないわぁ」

 シェルさんもついてくる気マンマンだ。


「そういう訳にはいけません」

 何者かが部屋に入ってきた。


「誰!?」


「・・・いや、貴女の娘のシェリアよ」


「言ってる意味がわからないわ!」


「いや、シェルよ娘のシェリアだぞ、お前の子供だから」

 なんと、たまりかねてハズリムさんがツッコミをしたぞ!?


 なんなんだこの一家は?


「冗談じゃな〜い、そんなに怖い顔しないでよ」

 シェルさんは相当酷い性格のようだ、今更なんだけど。

「シェリア先生、ご機嫌よう」

 アイネちゃんが貴族モードの挨拶をする。

「あー、かまわんかまわん、学校ではないので堅苦しいのはいいぞ」

・・・シェリア先生、授業とは全く違うよ?


 そう、シェリア先生は学園の教師なのです。歴史の担当なので私もしっかり授業を受けてます。

 日頃のお礼を言いたくて私は隠蔽を解いた。


 シェリア先生が私を見てフリーズする・・・


「はじめまして、シェリア先生。聞き及んでいるかもしれませんが地の女神セルリス様の眷属ラヴィリスと申します」

 フリーズしているが構わず失礼のないように丁寧に挨拶をする。


 シェルさんが脇腹をど突くとシェリア先生はようやく我に返る。

「痛っ、あっ、はっ、はじめまして、グランドル家長女のシェリア・ベークリュフです。この度は父の命を救っていただき、それどころか学園まで救っていただき感謝いたします」

 改まってお礼をされてしまった。


「私はシェリア先生の授業のファンなので感謝は結構ですよ、こうして直接お会いできてとても嬉しいです」

 不法受講者ですが、そこは黙っておこう。

「そんな、それに私が先生などと呼ばれても」

 顔が真っ赤だ、うんうん、可愛いぞ!


「ラヴィリス様ぁ、私との扱いに差がありません?」

 シェルさんが甘ったるい声でやっかんでくる。うるさい、おばさんの甘えよりもインテリクール美女の恥ずかしがりの方が貴重なんだよ!


「で、シェリアよ、シェルはどうして行けないんだ?」

「そうよ!いくら娘でも横暴よ!私だって温泉でゆっくりバカンスしたい!」

 アホ両親2人に責められるシェリア先生、負けるな!


「それでは親子としてではなく部下の立場で言わせてもらいます。現場検証が終われば取調べ、被害額の補填に各方面に説明などやる事が山積みです」


・・・シェルさんが青い顔をしている。


「だいたい、学園の最高責任者が事態を放り出して温泉休暇などもってのほかです!」


・・・シェルさんの顔が白い!?


「たとえ暇をしてても何をしてても、学園にすぐ行けるようにして下さい!」


・・・大変だ、シェルさんが息をしていない!

 シェルさんは完全論破されてグッタリしてしている。


「えっと、なら私も行かない方がいいのか?」

 ハズリムさんが恐る恐る尋ねた。

「・・・お父様は無職ですから何もしないで下さい。あえて言うなら・・・いると面倒臭くなるのでどっか行ってて下さい」


「・・・」

 ハズリムさんがガチで凹んでいる!


 親子ならではの遠慮のなさがハズリムさんを容赦なく叩きのめした。せめて自領に戻れとか言ってあげてよ。


「我が妹ながら容赦ないな」

 今のやり取りを見ていたガルファさんがドン引きしているよ。

「愉快なご家族のようですね」

・・・冗談です!そんな恨めしそうな目で見ないでください。


 グランドル家の家庭事情はともかく、無職の剣聖ハズリムさんの同行は決定したようだ。


 その日は後日予定を組む事を約束し解散した。




 今日はメアリーさんのお茶会の日。


「アイネ!ようこそいらっしゃいました」

 メアリーさん、いつにも増して可愛くてナイスバディです!

 案内された中庭のテラスには色とりどりのお菓子とお茶が用意されていた。

 早速座っておしゃべりが始まった。ちなみに2人きりで会う時は、様からお互い名前の呼び捨てになるようだ。


 アイネちゃんはせっかくなのでウォルベル王国のことを話題にしたようだ。

「今度、ウォルベル王国に行こうと思ってまして、メアリーのお母様がウォルベル王国出身だと聞きましたが」

「まぁ、ウォルベルに行くのですか?とても良い場所ですよ、食事も美味しくて、温泉も素敵です」

 おや、メアリーさんが饒舌だ。

「とても珍しいレストランがあって、ドラゴンのお肉が食べられるのよ!」

 興奮して身を乗り出してアイネちゃんに近づいていく。

「メアリー、落ち着いて落ち着いて」

 はっ、として顔を赤らめるメアリーさん、なかなか面白いキャラクターのようだ。


「ところでアイネは何を目的に?」

 メアリーさんは嬉しそうに聞いてきた。

「はい、地の女神様の大神殿に行ってみたくて、もちろん温泉にも伺おうかと思ってます」

「あら、アイネは地の女神様の御崇拝でしたの?」

 そう言えばこの国は光神オルテシア信仰がメジャーだったな。

「はい、実は地の女神様を信仰してまして」

・・・今までずっと信仰してました感を出しているけど、アイネちゃんがセルリス様を信仰し始めたのはつい最近ですけどね。


「そうだったんですか。実は、私は火の女神フレア様を御崇拝してますの」

 おっと、メアリーさんもカミングアウトしてきた。火の女神様か、きっとこの国ではマイナー信仰なんだろうなぁ。


「ウォルベル王国は女神様の恩恵に満ちた国なんです、母からの受け売りなんですけどね」

 取り繕うようにメアリーさんがハニカム笑顔を見せる。

「ところで、ウォルベルにはいつ出立されるのですか?」

「そうですね、来週には入国審書が届くので、届き次第出発しようと思ってます」

 地理的にはクリストア王国の最西にあるリントワース領から目と鼻の先だが、いくら同盟国のウォルベル王国でも一応は外国なので審査しないといけないらしい。


「私は5日後に出立するので会えるかもしれませんね。久しぶりに祖父に会いに行くの」

 メアリーさんもこの休暇にウォルベル王国に行くらしい。アイネちゃんも嬉しそうに是非合流しようと話が弾んでいる。

 女神様の恵みを受けた国。更にはグルメに温泉に観光地が揃っているのか。



 これは、楽しみが増えたな。



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