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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
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49.死闘

 ーーシェルリースーー


 いつ見てもハズは格好良い。


 見る者を圧倒させる、神の領域とさえ言われた超絶剣技は今も健在だ!

 いけない、つい自分の悦の世界に入ってしまった。

 階段を駆け抜け、着いた先には2人の愚か者が背を向けていた、私達のことなど全く気付いていないようだ。


「はっはっはっ、ガルバルディは15体の生命の集合体だ!1回2回死んだところで倒せるものか!」


 すでに勝ったつもりなのか?

 それとも本物のバカなのか?


「これまでです!観念しなさい!」


 えっ!?アイネさん?コイツら全然気付いてないのよ?

 絶好の不意打ちチャンスじゃない!?

 えっ?アイネさんがなんでドヤ顔で私を見るの?


 この真面目バカがー!!


「マキシムくん、お願い!」

 私の影から2人に向けてマキシムが飛びかかる、


「ひっ、ひい!」


 よっ、弱い?マキシムが飛びかかると、すぐに腰を抜かして倒れ込んでしまった。


「三下にも程があるわ!」


 ついツッコミを入れてしまった。

 マキシムの影魔法で2人を束縛すると、先程自慢してた命15個の件をハズに伝えなければ。



 ーーハズリムーー


「ハズ!そいつは15の命の集合体だってさ!」


 シェルからの声が届く、相変わらず仕事が早くて助かる。

「なる程、15回殺せば片付くわけか」


 私は間合いをとり、再び植木に命ずる。

 枝達がホムンクルスに絡みつき、動けなくさせる。そして一歩で間合いを詰めて、剣を大きく振り上げる。


「受けてみよ我が最強の剣を!」


千手波濤(せんじゅはとう)!サウザンド・レイヴ!!」


 50年以上剣を振り続けたどり着いた結論がある。


 その極地は基本の上段振り下ろし。

 左右袈裟下ろし。

 左右横切り。

 左右切り上げ。

 下段振り上げ。

 それら一太刀を愚直に振り続け、全てを究極へと昇華させた。


 そして今度はそれら全てを一本の線へと繋げれないかと模索し続けた毎日であった。

 模索し続ける中で導き出した答え、それはその8種の剣戟を淀みなくつなぎ続けることで、千の波の如く剣戟を放ち続けるというものだ。


 今までの私の全てを集めた究極の剣技だ。


 普通なら途中で後ろに避けるか、反撃を試みるする。だが神樹魔法により束縛されて動けないから見事に全弾ヒットしてしまった。 


「・・・」


 完全に沈黙した、おそらく7撃目くらいには既に絶命していたようだった。


 剣をおさめて地面に目を向ける。いまだに地面が振動がしている。


「まだ、戦っておられるか」




 ーーラヴィリスーー


 世の中は理不尽だ。圧倒的な個の力の前では、どんな小細工をしても意味がない。


ヴェロラプトル

種族:ラプトル(恐竜)

所属:ウラノス台地

LV:88 HP:2530 MP:260

力:247 魔力:42 体力:241 知力:85 速さ:402 運:52

スキル:

竜鉤爪、ブレス、タフネス、竜鱗、集団戦、

魔導弾、生存本能、


 理不尽だ!小型の恐竜だけど全長4mくらいあるよ?いくらなんでもやりすぎだよ!

 こんな奴ここに呼んじゃダメだって!

 集団戦のスキルって何?ウラノス台地って所に行くとこんな奴が集団で襲ってくるの!?ありえないんだけど。


(ラプトルは1体です、落ち着きましょう)


 OK、分かっているよ!私には私のやり方でしかやれない。


 私はマーナに危険が及ばないように穴から地上に出て、ハズリムさんのの左腕に張り付くように言っておいた。そうすればマーナの体の一部が移植してある部分から魔力が供給されるはずだ。



「アースランス!」

 どれだけ硬いか見てみよう、避けることさえせずに簡単に弾かれてしまった。

「ぐぬぬぬ、次は、」


「ガアアア!」


 速い!一瞬で間合いをつめられるが、何とか間一髪でよける、同時にカウンター気味にストーンマグナムを放ってみる。


 ガッ!!


 やはり避ける気配すらしない。ストーンマグナムが直撃しても平気な顔をしている。


(竜鱗ですね、物理魔法は効き目が薄いかもしれません)


 なら毒だ!


 私はカガミンからこの前グランドル邸でもらった大量の花を取り出した。

「花魔法、花毒の法!」

 これらの花を全て毒花にした、そして私を喰らおうするラプトルの大きな口に投げ込んでやった。


「グウ!?」


 野性の本能か?毒だと分かって吐き出そうとするがそんな事させない!

「アースピュラー!」

 土を硬く固めた柱をラプトルの口に叩き込んでやる。


「グルァァ!!」


 よし、飲み込んだな!呼吸が荒くなり、発汗する様子から毒は体内に入ったな。


(見事です!猛毒に犯されました)


 ラプトルは毒を吐き出せないと分かると、今度は私目掛けて突進して来た。

 頭の良いヤツだ、毒の生成者を殺せば花は普通の生花に戻るのを知っている。


 でも、私は毒が回るのを逃げて待つだけだ。


 ラプトルは口を大きく開けた、


「これはブレス?アースウォール!」

 咄嗟に防御壁を作る。


 ゴブワァァァ、


 灼熱のブレスが私を襲う、息を吸うと肺が焼けるように熱い!


 熱波を吸ってしまい、苦しくて息ができない。私はたまらず離れる、しかしブレスは追ってくる!


「くぅ、痛うぅ」


 たった一撃かすっただけで致命傷とか理不尽にも程がある!


 私は何とか距離を取ろうとするが、ラプトルはそれをさせてくれない。

 回避しながら考える、地下で戦っているのだから私の方が有利なんだ!


 天井スレスレを飛ぶ、ラプトルから火炎弾が放たれる、それを避けながら崩れる天井の岩盤に魔力を流す、


「タイタンフォール・グランデ!!」


 巨大な柱が沢山ラプトルに向かって急落下する。

 砂煙で視界が悪くなった隙に私は地面に手をつき回復を試みる。


「グルァァ!!」


 ラプトルの咆哮と共にブレスを吐く!

 こんな砂煙が舞っている所でそんなもの吐くな!

 視界が悪く当てずっぽの無差別攻撃だ、私の逃げ場がどんどん削られていく。


 くそ、負けるもんか!


「負けるもんかぁ!!」


「ジオグラフィックバトン!」


「大殲斧!デイルズハーケン!!」


 私は巨大戦斧を手に持ち、砂煙に乗じて低空飛行でラプトルに急接近して直接攻撃を当てる事に成功した。


 グシャ!


 鈍い音がする!手応えもある!


「ガアアア!!」


 砂煙越しにラプトルは血だらけで大ダメージを受けているのがわかる、しかし口を大きく開きブレスを放とうとしている。

 咄嗟にデイルズハーケンから手を離し回避しようとするが、


 ブワァァァ!!


 身をひるがえして辛うじて直撃は避けれたが、反動で吹き飛ばされ、強く壁に打ちつけられる。


 全身に激痛が走る、身体が動かない。


 諦めるな!私は必死に回復する、

 ラプトルの姿も見えてきた、肩口にデイルズハーケンがささっている。 


 敵もダメージを受けているはずだ!



 まだ負けたわけじゃない!




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