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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
十章 クリストア王国建国100年祭編
481/499

481. 賭け事は大人の女の嗜み byラヴィリス

((最後のもうひと勝負?))

 シェルさんに連れて行かれた先はとても人で賑わっている場所だった。

「ふふふ、剣闘券よ!」

 何やら4人の人の顔写真があり、使用武器やら過去の戦績などデータが載っている。

((つまり、優勝者に賭けるという事ですね?))

「そういうこと!!」

 シェルさんが本当に楽しそうだ、余程賭け事が好きなんだろう、でも学園長という責任ある立場の人にあるまじき姿だけど。


「あら?あのダンザインっていう人」

 リマさんが剣闘士の1人の顔写真を見て反応する。

((お知り合いですか?))

「いえ、大奥様を襲った一味に騙されていた人です」

 そう言えばシェルさんは私達の留守中に誘拐されたんだった。

「ふふふ、ダンザインはあれから爵位剥奪されてちゃんと罰を受けたわ。今は裸一貫で出直していると言っていたわ。まさかこんな短期間で王者にまで手が届きそうなんて」

 シェルさんが笑っている、なんだか嬉しそうだから良いか。

「だけど賭け事は別よ!」

 突然ドライになる。

「私の本命は極寒の剛拳マードレットよ!彼に決めた!全額つぎ込んでやる!!」

 シェルさんは筋肉マンに全額らしい。

「じゃ、じゃあ私はダンザインさんに賭けます。一番人気みたいですから」

 堅実派のリマさんは一番人気のイケメン剣士に賭けるみたいだ。

 他の2人を見てみる、謎の覆面剣士ジャックに海の喧嘩王デュパルか。海の喧嘩王デュパルは黒々と日焼けした四角い顔が私好みじゃない。

((じゃあ私は謎の覆面レスラーのジャックにします))

「覆面剣士ね」

 シェルさんの程よいツッコミが心地よい。

「一番人気薄ですね」

 確かに倍率が一番高い。まあ、私にとってはお遊びなので全然問題ない。私はリマさんにお願いして覆面剣士に私の持ち分全て賭けてもらった。


「奥様、そろそろ戻りましょう」

 ここでグランドルの執事さんが迎えにきた。

「あら、もうそんな時間?」

 シェルさんが時間を確認する。遊んでいると時間が過ぎるのがあっという間だ。

「・・・ちなみに勝った?」

「・・・ふふふ、もちろんでございます」

 勝ち誇った笑顔でシェルさんを見る、シェルさんはそれを苦渋に満ちた顔で睨み返す事しか出来ないようだ。

((ちなみに剣闘は誰に賭けたんですか?))

 執事さんの肩からそっと聞いてみる。

「おお、ラヴィリス様。私は海の喧嘩王デュパルです、今日の勝ち分全て賭けておきました」

 この執事さん、真面目そうに見えてかなりのギャンブラーのようだ。


((あ、シェルさん、あそこ!!))

 VIP室に戻る途中の廊下である物を見つける。

「これフレディ領兵長ですね、王者というのはあの人の妄言かと思ってましたが本当だったんですね」

 リマさんが酷い。

「歴代王者ね。見て!若い頃のハズもいるわ!!」

 シェルさんが指差す、その絵には第10代王者ハズリム・グランドルと書いてある。

((若っ!))

 あどけない顔の若かりし頃のハズリムさんがそこにいた。

「50年前か、この頃のハズは滅茶苦茶かっこよかったんだから。あ、今でも十分カッコいいけどね」

 こんな時にも惚気を入れてきやがる、いつもの腹黒強欲ババアから恋する少女に変身しないでほしい。

「こっちにはラルズ執事長もいますよ」

 リマさんが指差す、そこには今の紳士の姿からは信じられないワイルド系のラルズさんがカッコいいポーズをとっている。

「瞬火のラルズ・・・彼は強かったですね。おかげで私は大損をしてしまいました」

 執事さん!?本当に賭け事が好きなのね。

「私もよ」

 シェルさんまで!?


 少し寄り道をしてしまったが何とかVIP室まで戻ってこれた。

「ラヴィリス様、リマ」

 1人残されていたアイネちゃんが駆け寄ってくる。

「リマの1人勝ちよ」

 シェルさんが苦笑いをしている。

「リマ!?」

 アイネちゃんが信じられないような顔をしている。

「まだ終わってませんよ!私達には最後の大勝負が残っているわ!」

「ラヴィリス様!?」

 アイネちゃん、賭け事は大人の女の嗜みなんだよ。


「それにしても法衣の人が目立ちますね」

 ハーシュさんがマキシムを撫でながら眼下に広がるコロッセオを見る。やはり場違いなのでとても目立ってしまう。

「彼らはこんなお祭り騒ぎは毛嫌いしてそうなのにね」

 シェルさんも同感のようだ。おそらく2人はオルベアの人達の事を言っているのであろう。

「でも今日学校にアルテアナ卿が挨拶に来たけど、驚いたわ、あんな人がオルベアにいるとは思わなかったわ」

 シェルさんが何かを思い出したように言う。

「聖女様の専属護衛の方ですよね?私も今日会いましたよ、フレイアの周囲を見に来てたみたいですよ」

 アイネちゃんも話に参加する。フレイアに来ていた?ああ、途中で挨拶した人か。


 何となく印象で顔だけぼんやりと覚えている。

・・・誰かに似ているんだよなぁ。


「まあ、そのような立派な方がいるのですね」

 ハーシュさんは少しだけ意外なようだ、というかハーシュさんもオルベアの事を嫌っているっぽいな。

「うーん、頭はガチガチに堅そう。とにかく真面目な人って感じよ」

「確かに」

 2人とも第一印象は同じようだ。私も似たようには感じたけど、確かに他のオルベアの人達とは違うようには感じた。


『それでは大変長らくお待たせしました!今宵、コロッセオに建国100年の節目に第20代王者が誕生します!!』


 観客を盛り上がるようにハイテンションなアナウンスが開始の合図を告げる。


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