表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
48/499

48. 何度も何度でも

「マーナぁ!どこっ!?、返事をして!!」


 生命力の強いはずの神樹の息吹が弱くなっていく。


「マァーナァァ!!」


「マァーナァァー!!」


 何度も何度でも名前を呼ぶ!


(ラヴィリス様、おかしいです、この程度で神樹が死ぬなんてあり得ません!)


 どういうことだ?


(神樹に何か秘密があるかもしれません)


 マーナを探さなくてはならない、だけど今はカガミンの言ったことがどうしても無視できなかった。


 この木の下にはゲートキーパーのいる秘密の匣はない。

・・・離れた場所に封印?ゲートがないのにゲートキーパーがいる?


・・・実はゲートが学園のどこかにあったのではないか?

 あのゲートキーパーが活動を停止しているのはゲートも封印されていたから?


 胸騒ぎが止まらない、


(あの時マーナが出てきた木の窪みにいきましょう!)

 中腹にある窪みを調べてみる、小さい穴が奥まで続いている。

(神樹魔法なら干渉して通れます!)

 私は穴を大きくして身体をねじ込み先に進む、穴は木の根の方、地下へと続いている、この木の地下に何かある。


 着いた先は広い空間であった。

 そこには、ここにあってはいけないモノがあった。


(やはり、神樹の力によってゲートが抑えられていたようです)


 あれは?

「マーナ!!」

 力なく横たわっていたマーナを発見した。


『ラヴィ、ラヴィ、来てくれた・・・』


「マーナ、大丈夫だから!私が絶対助ける!」

 今なら分かる、マーナがずっとここを守り続けていた理由が。

 ハズリムさんとシェルさん2人が幸せそうなのを見て、自分のことのように喜んでいたこと。


 マーナにとって、この学園の生徒は自分の子供みたいなものなんだ。

 子供が幸せなのが1番嬉しい。

 だからずっと守ってこれた。

 ずっと守ってきたからこそ神樹に進化できた。


 誰にそれを邪魔する権利がある?


「神樹魔法!マテリアル・エーテリオン」

 私は神樹の魔導核を抜きだした。神樹はもうダメだ私は苦肉の策でマーナに魔導核を移し、マーナを生きながらえるようにした。

『・・・ラヴィ?・・』


心が苦しくなる。

「おまえがいたから!!」


「おまえがなんで!マーナの幸せを奪うんだ!!」


「ジオグラフィックバトン!!」


「大殲斧!!デイルズハーケン!!」


 大地のログを辿り、この地の魔力が超巨大な戦斧を形成する。私はその斧をゲートに向かって投げつけた!

 凄まじい音と共にゲートが破壊されるのが分かった。


(気をつけて下さい!防壁が弱くなっているのを感知し、ゲートの中で待ち構えていたようです・・・侵入されました!)

「バンゲアの奴ら!?」


(・・・違います、ですが恐竜です!!)


「ぐるがううああああぁぁ!!」


 聞いたことがある声だ、


 相手してやる、今の私は最高に怒っているんだ!


「昔の私と一緒と思うなよ!」



 ーーハズリムーー


「あぁ、神樹が」

 アイネ嬢から涙が溢れる。


 神樹が力なく崩れていく。しかし次の瞬間、大地が揺れるような衝撃が走る。

 これは・・・ラヴィリス様が何かと戦われているのか?

 そして、神樹が倒れたのに左腕からいまだに鼓動を感じる、ということはマーナはまだ生きている!?


「マーナはまだ生きている!今、おそらくラヴィリス様が駆けつけておられる!」


「膝をつくな!ラヴィリス様は諦めていない、今も戦っている!我々も諦めるな!」

 アイネ嬢を励ますように叫ぶ。


 そして私は剣握る、目の前の敵に剣先を据える。

 ホムンクルスと呼ばれる人工の魔獣、リントワースでも大暴れした悪鬼と通じるものがあるだろう。

「ははは、行けガルバルディ!神樹を倒せば後はこいつらだけだ!」

 高い所から見ているだけの小物2人が偉そうにぬかしている。


「シェル、あの小物2人を頼めるか?」

 長年の付き合いだ、私の意図をすぐに汲み取ってくれる。

「アイネさん、今のうちにあのバカ2人の後ろに周りこみましょう」

「はい!」

 アイネ嬢も大したものだ。先程は涙を流していたのにも関わらず冷静な判断をこなせる、本当に素晴らしい逸材だ。


 そして目の前の敵と向き合う。

 久しぶりの戦場だ、肌がヒリヒリしてくる。やはりこの場所こそ私の居場所なのだな。


「かかってこい!格の違いを教えてやろう」


 ホムンクルスは構えもなしに襲いかかる。それは野性に近い獣の動きだ!


 大振りの腕を紙一重でかわし、ガラ空きの頭部に剣を振り下ろす。


 手応えはない。


 ありえない格好で避けている、曲がってはいけない方向に首が曲がっている。

「羨ましいな、私にもそんな動きができたらなぁ」


 ガッ


 カウンターの一撃を放ってくる、それを剣で受け流す。

 冗談の通じないヤツだ!聞く耳さえ持たないとは。

「試してみるか」

 私は覚えたての神樹魔法を使う、近くの植木に触れるとホムンクルスに向けて枝が伸びていく!


「おお、これはいいな!」

 枝に捕らえられたホムンクルスの心臓部に向けて剣を突き刺した。


 ぐうぅ


 呻き声が聞こえる、しかしまだ動く。

「なんだ!?今、木が勝手に!?」

 くそ!アイツらの前で見せるのは気に食わない。


 しかし心臓を突かれたのにまだ動けるか?ホムンクルスは何事もなかったように襲いかかる。


「これならどうだ!」


 一瞬で間合いを詰める、


「縮地斬!」


 肩からなぎ下ろすように袈裟斬りする、手応えはあった。

「・・・ふむ、まだ生きているか」


 大きく半身斬られているのに動く。


「ふふふ、退屈しないものだ」




 ーーアイネーー


「ハズリム様は大丈夫でしょうか?」

 ハズリム様を1人中庭に残して来てしまったが、あの魔獣は危険だと思った。


「問題ない、伊達に剣聖を名乗っていないわ!」

 例の2人を捕らえるため建物内を進む。途中、窓から剣聖の戦いが垣間見れた。

 一瞬で間合いを詰める、気付いた時には魔獣は斬り伏せられていた!


「すっ、すごい!」

 瞬火の異名をもつラルズよりも速い!


「・・・しつこいわね」

 学園長が苦い顔をしている。

 まさかと思い再び下を見る。嘘だ、今の一撃をうけても生きている。

「私達も急ぐわよ!」

 学園長に言われ通路に目を向ける。



 私もやれる事をしないと!再び走りだした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ