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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
十章 クリストア王国建国100年祭編
466/499

466.バトンタッチ

「こんな映画や小説みたいな話が実在するんだぁ、生々しくて剣と魔法のファンタジーの世界ではあって欲しくなかったなぁ」

 アリエッタが大きくため息を吐く、確かに生々しくて人の汚い部分が垣間見れて嫌だなぁ。


「コイツらは依頼人に引き渡していいな?良いように対処してくれるだろう。それで一応これは人物捜索の依頼達成となる、なので報酬を渡そうと思うのだが?」

 アイザックさんが私達を見る。

「私はこれでも貴族なので貰えないです、それに冒険者でもありませんし」

 アイネちゃんが即断りをいれる。

「レアンさんの手柄で良いんじゃないですか?」

 全員がレアンさんに注目する、本人はそのつもりがなかったみたいで驚いている。

「え?いいの?」

 困った顔をしているが、棚からぼた餅に口元は緩みっぱなしだ。

「昼飯奢りね」

「やったぁ!」

 シャンティさんとアリエッタがレアンさんのあぶく銭にたかる。


「・・・あれっ!?もうお昼ですか!?」

 ここで思い出したようにリマさんが大声をあげる。

「お嬢様!すぐに帰りましょう!!グランドル様との約束があります!!」

 リマさんが大慌てでアイネちゃんを立たせる。そう言えば今日はハズリムさんの晴れ舞台だった。

「で、でも、このまま放っておくのも・・・」

 アイネちゃんとしては足を突っ込んでしまったので、このまま放置するのは気がかりのようだ。

「あー、アイネお嬢様は貴族の責務をまっとうしてくれ、後は俺らで調べるから」

 レアンさんがこのまま調査を続行してくれるみたいだ。

「あの、ならスラム街を確認して来てもらっても良いですか?もしかしたらあっちの水とかにも呪詛の素が含まれているかもしれません」

「だな、俺もそう思う。一度スラム街の方に足を伸ばしてみるつもりだ」

 レアンさんに改造した剣を渡してあるから、悪鬼に襲われても問題ないだろう。

「私もレアンに付き合うよ、何かアイツらの思い通りに行くのは嫌だ」

 アリエッタがレアンさんについて行くみたいだ、それなら物凄く心強い。調査をアリエッタにバトンタッチしよう。

「いいわ、私達も付き合うよ。いいね、テルー?」

「はい!」

 テルーさんも?何か生々しい人間模様をこの歳で目の当たりにしても良いのかな?

「大丈夫、ラヴィリス様。私はこういうのは昔から慣れてます。これでも冒険者の娘なんですから!」

 テルーさんが私の視線に気づく。私を安心させるように胸を張っている。

 まあ、アイネちゃんも意外と平気そうだったから大丈夫なのかなぁ?


「それなら妾もお付き合いするかの?メルブラント殿に報告するのなら妾から説明した方が良いじゃろ?何らかの対策を練らないと不味いしの」

 ここでコノハがレアンさん達に加わると言い出す。

「ええ!?良いのですか?なかなか見れない試合ですよ?」

 アイネちゃんが不服そうに口を尖らせる。

「良い良い、妾はさほど剣闘に興味はないのじゃ。何より怪我とかするのはあまり見とうない」

 確かに、コノハなら試合で怪我した選手を見たら乱入して治療してしまいそうだ。

「待て!?剣闘って、例のハズリム様のヤツか!?」

 レアンさんが剣闘に反応する、コノハは訳も分からずに頷く。

「うお!マジか!生で観れるのかよ!?」

「あら?レアンさんは行かないのですか?」

 私の質問にみんなが固まる。

「あーー、ラヴィリス様には常識が通じないのは知っているが、今の発言は無いぜ?」

 何か非常にバカにされているんだけど?

「確か朝のうちにチケットは完売だっけか?俺も買おうと思ったが諦めたよ」

 ギルドマスターという偉い立場のアイザックさんでも買えなかったの?そういうのにコネとかありそうなのに?

「私達はグランドル様からお誘いを受けたので観戦できるのです。だから本当に運が良いのですよ?」

 諭すようにアイネちゃんから言われてしまった、どうやら本当に観られる凄い事のようだ。


 実は私もコノハと同じくらい興味が無かったりする。

 だけど、今更それを口にする勇気は私には無い。


「さてと、帰るついでにヴェロニカの所へ寄っても良いですか?すぐに終わらせますから」

「勿論です。それがここに来た本来の目的ですから」

 リマさんから了解を得た。

「そう言えば何しにこんな場所まで来たのですか?呪詛の件で来たわけでは無さそうですもんね」

 テルーさんが不思議そうに尋ねてくる。

「ヴェロニカから依頼を受けてこれを探しに来ていたんです」

 カガミンから手に入れた餅米を見せる。

「えっと・・・これはお米でしたっけ?以前ラヴィリス様が持ってましたよね?王都でも手に入ったんですね」

 テルーさんはハレルヴィ公国で私がお米を買ったのを覚えていたようだ。

「ふっふっふっ、これは餅米と言って、伸びたり縮んだり硬くなったりする特殊なお米なんです!」

 私が自慢げに説明する、だけど私の説明をテルーさんはイマイチ理解していないようだ。

「アリエッタは知ってる?」

 一緒に見ていたシャンティさんがアリエッタに話を振る。

「うーーーん、私はお餅ってあんまり好きじゃないんだよね、昔正月に食べた時に喉に詰まりそうになった事あるし。というかお米自体あんまり好きじゃないんだよね」


 はぁ?何だと?


「アリエッタ、アナタとは絶交です」

「「「えええ!!??」」」


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