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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
45/499

45.悪人共は狼狽える、

「いい!良いわ!なんて大きな魔石なの!」


 シェルさんがオークバトラーの大きな魔石を見つめてうっとりしている。

「これは、例の錬金術師を釣るエサにするつもりです、あげませんよ!」

 強欲おばさんに釘を打つ。


「はあ〜、あんな奴にあげるなんて勿体ない」

 大きなため息が漏れる、本当に惜しそうだ。

「錬金術師に取られなかったらあげますよ」

 ポロっと言ってしまった。するとシェルさんがカッと目を見開く、

「絶対よ!約束しましたからね!」

 あまりの圧に首を上下にしてしまった。強欲おばさんおそるべし!



 後日、私は王城に向かうことになった。


 ホランドさん、アイネちゃんの2人で宮廷薬師のオズリットに万能薬のレシピシートを返しに行くという口実だ。

 恐らくボロは出さないだろうけど探りも入れるつもりだ。


 アイネちゃんは久しぶりの親子の外出に嬉しそうだ。久しぶりなのもあると思うが、おそらく交渉ごとはホランドさんに丸投げだから、気が楽なのだろう。


「失礼します」


「おぉ、リントワース卿!お待ちしてました。奥方様の件は伺いました、快方されて本当によかった」

 薬師のオズリット、長い髪を後ろで束ね、インテリメガネをかけた人の良さそうなイケメンだ。

「ご心配をかけた、今はもう大丈夫だ。娘のアイネ含めて多大な迷惑をかけてしまった。こちらも返さなくてはな」

 ホランドさんに促され、アイネちゃんはレシピシートをオズリットに渡し、深々と頭を下げる。

「ご心配をおかけしました、これをお返しします」


 うん、こうやって見ると貴族令嬢なんだよね、普段とのギャップが大きすぎるんだよ。


 オズリットが見定めるようにアイネちゃんを見る。

「アイネさんはこの度、【薬聖】のスキルに目覚めたという話ですが?」

 早速食らいつくネタだよね、

「はっ、はい!ただまだ手探りなので上手く使いこなせてませんが」

 嘘ですね、毎日ガッツリ薬を作る練習してかなり腕は上達しています。

「こちらが今、練習している薬です」

 そう言うと持っているバックから筋肉痛用の膏薬を取り出した。

 吟味するように膏薬を調べる、

「これのレシピシートは?」

「こちらです」


「・・・」

 食い入るように膏薬のレシピを見ている。


「これは、アイネさんが考案したのかい?」

「いえ、母の治療をしてくれた()()()()()に教えてもらいました」


 まずはジャブからだ。


「たしか、放浪の凄腕錬金術師といってましたね、凄い方のようだ。錬金術に加えて薬術まで・・・」

 今回、報告にはルーネイアさんを治療したのは放浪の凄腕錬金術師がやった事として、私の事は伏せてある。薬聖のスキルの件もその錬金術師に見出された事にしたのだ。

「今、その方はどちらに?」

 オズリットの食いつきが凄い。

「錬金術師殿は旅の途中ということで、我々と別れて何処かに行ってしまったよ。ははは、禄に礼も受け取ってくれなかったよ」

 ホランドさんが答える、残念そうな演技が上手いぞ!

「そうですか、それは残念です。これだけの才能があるならさぞ高名な方なのでしょう」


・・・一瞬表情が変わった、


「どうでしょう、アイネさんを宮廷の医局に預けてられては?せっかくの才能です、私達と共に医術の発展に努めましょう」

 やはり勧誘がくるか、彼の才能と言う口が引っかかる、私はホランドさんに小声で囁く。


((断りましょう、何か引っかかります))


 ホランドさんは小さく頷く。

「申し訳ない、まだ学生の身です、多くのことを学ばせたいと思っている。学園長にも念を押されてましてね」

 私は上手いと唸った、ここでグランドル家を関与させるとは、

「シェルリース学園長ですか、そう言えばリントワース卿とは敵対派閥でしたな?」


 まんまと食いついたよ!


「気をつけて下さい、戦況が不利になると武力に訴えてくる可能性があります。本人はまだ現役のつもりのようですが寄る歳にはかないません、身体の衰えを隠せないようで私のもとに来て愚痴っていました」

 完璧な黒ですな、ホランドさんも同じ事を考えているようだ。もう少し突っ込めるかな?


 コンコン、


 誰かがやってきた。

「失礼する」

 やって来たのは鋭い目をしたオールバックの強面の男性であった。

「バルトハイト殿」


・・・お前が元凶か。


「これは、先客がいらっしゃったか。リントワース卿失礼した」

 一礼して部屋から出ていった。

 2人は感情は表に出さないが、しっかりと睨みつけていた。

 話を区切るようにホランドさんが話を終わらせて退室することになった。


((私はここに残ります))


「お気をつけて」

 ホランドさんにそう告げると2人から離れ聞く耳を立てる。


 少ししてバルトハイトが再びやってきた、

「計画にズレが出てきたな」


「なんなんだよ、放浪の凄腕錬金術師って!」


「静寂の森に時々現れるアーティファクトが何者かに討伐されたらしいぞ」


「なんだって?じゃあ、今までの計画は?」


「バカ女騙して呪腫鬼を育成させて戦わせようとしたが、その錬金術師にしてやられたようだ、」


「私達の件が露わにならないか?せっかくここまできたのだぞ!」


「わかっている!我々はあの方を担いでいるのだ、失敗は許されん!例えリントワースが何か言ってきても私が握り潰す」


「残るブラックコアは学園の地下に封印されていると聞くが?」


「大丈夫だ、グランドルに罠を仕掛けた!奴らは反逆罪で没落するはずだ」


「時間はかかるが仕方あるまい、なんとしてもブラックコアを手に入れないと」


「しっ!誰か来た!」


・・・残念、女中さんが入ってきたから話は打ち切りのようだ。私はそれに乗じて脱出した。



 しかし、まだ裏で糸を引いてる人物がいるとは。


 私は2人が待つ城門前のカフェに向かった。2人はすでに待っており、アイネちゃんには非常に心配されてしまった。

 どうやって説明しようかな?カガミン、


(一応、録画しましたから再生できますよ)


 カガミン最高!



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