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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
44/499

44.樹木人

「では移植してみます」


 準備を整えたら人工魔導核をとりだした。


『あっ、これマーナだ!』

 そう、今回の材料提供はマーナなのだ!

「そうか、そうか、マーナが私の体の一部になってくれるのか!こりゃ、頭が上がらんなぁ」


 すっかり毒抜けたハズリムさんが嬉しそう笑う、順応性が高いのはいいことだ!


 アイネちゃんが治癒魔法をかけながらフォローする。

 あっさりと着床してしまい拍子抜けしてしまった。

『マーナも手伝ったよ!』

 なる程、ヤドリギはマーナの一部だから干渉したわけだね、君は本当に優秀だよ。


「ふむ、これでどうすれば良いんだ?」

 左肩に光る人工魔導核をさすりながらハズリムさんは疑問を投げかけてくる、

「今から、ハズリムさんに神樹魔法を授与します」


「・・・うはぅ?今なんと?」

 シェルさんが変な声を上げた、相変わらず面白い人だ。

「私の薬聖のスキルもラヴィリス様から授与されたものですよ」

 さも当然のようにアイネちゃんが自慢する。

「神樹魔法なんてレア中のレア魔法なんですよ!?普通の人間が持つなんて聞いたことないわ!」

 へ〜そうなんだ、知らなかったよ。

「私は元々は風属性だけど大丈夫なのか?」

 ハズリムさん、貴方が元々持っていた魔導核はもう無いです。貴方はこれからは風属性ではなく地属性として新たに生まれ変わるのです。


・・・めんどいからやっちゃおう。


 私は問答無用に神樹魔法を授与した。ステータスを確認しておこう。


ハズリム・フォン・グランドル

種族:樹木人(じゅもくじん)(元人間)

称号:剣聖

所属:ラヴィリスの従僕

LV:42 HP:577 MP:195

力:89 魔力:50 体力:74 知力:69 速さ:59 運:299

スキル:

神剣の領域、地属性魔法、神樹魔法、威圧、

剣術、自己回復、ラッキー、


あはぁー!?ハズリムさんが人間やめてしまった!?


(何というか、驚きです。生まれ変わったとはいえ普通に強いですね)


 そっ、そうだ!私より強いぞ。

 スキルにラッキーってあるぞ!私もそれが欲しい!!

 無事に神樹魔法の授与は終わった。だが、どこかで心が痛んでしまった。


『ハズ!!こうすればいいんだよ!』

 マーナの手ほどきで、ハズリムさんは神樹魔法で植物の腕を生やした。

「ふむ、これからは長袖と手袋が必須になるな」

 そう言うと、重い木剣を持ち素振りを始めた。いいぞ、まだ人間らしい!

『なんで?木の剣なら自分から出したら?』

 マーナよ余計な事を言うんじゃない!

「ほう、こう言うことか」

 なんてことでしょう!ハズリムさんは自分の左腕から分離して木剣を作り出してしまいました。

「おぉ、これはいい!いつでも剣の訓練ができる!」


・・・順応性が高いですな、


「・・・」

 シェルさんの視線が痛い!


「ハハハハ!早速慣らし運転をしよう!さぁ、行くぞラヴィリス様よ!」 


 はて?どこに行くのでしょう?




「ハハハハハハ!60歳を前にして新たな極地にたどり着けるとは!人生とは楽しきものだー!!」

 byハズリム


『あははははは』

 byマーナ


「ハッハッハッハッ」

 byマキシム


 ここは王都の外にある森です。初心者冒険者が腕試しするような場所ですね。私はここに野生児2人と野性を失った狼1匹を解き放った。

 私とアイネちゃんは後から着いて行き、彼らの倒した魔物の残骸を漁っていた。


「なんと!伸びるぞこの腕!」

 左腕は樹木なので蔦のように伸びたり縮んだりする、その姿は猿のように木々の枝に飛び移っていく。


「木の上の剣聖ってシュールよね」

「はい、世界中を探してもウチの国しかいませんよ」

 私達はその様子を呆れ顔で見ていた。


(進行方向に魔物の群れがいます)

 カガミンの探知に引っかかってようだ。

「皆さーん、進行方向に魔物の群れがいるので気をつけてくださーい!」

 私は大声で叫ぶ!

「なんと!それはいかん!討伐せねば!」


 困った爺さんだ。


(どうやら冒険者と交戦中の模様です)

「冒険者が交戦中です!ハズリムさんお願いだから木から降りてー!!」

 頼むから常識をわきまえてくれ!

 先に進むとオークの群れと戦う冒険者パーティーが戦っていた。オークが10体程か?私は隠蔽して得意の不意打ちで終わらせようと思ったが、アイネちゃんに止められてしまった。

「突然、槍が降ってきたらビックリして腰を抜かしてしまいますよ」

 うぅ、最もでもある。

「オークバトラーか、肩慣らしには丁度いいな!」

 ハズリムさんはやる気だ!


オークバトラー

種族:獣魔(オーク種戦闘特化)

LV:35 HP:456 MP:42


 いやいや、中々強いよ!


「ハハハハ!相手にとって不足なし!」

 元気よく駆け出していった。

「マキシム、ハズリムさんのフォローに行って」

 マキシムはハズリムさんを追って駆けていった。

「私も行ってきますね」

 アイネちゃんはアースランスを手に持つと追いかけて行った。


『マーナも!』

 アンタは私と見学!!



 ーー冒険者パーティー「アイアンベルト」ーー


「ブラド!怪我は!?」


「なんてことない!」

「まさか、こんな所にオークの集団がいるなんて!」


 冒険者パーティーの「アイアンベルト」の5人は囲まれないように後退しながら交戦していた。リーダーのホルトは森の外に出たら応援が呼べると計算を立てていたのだ。


 それでも算段は立っていてもこちらが劣勢なのは何も変わらない。

・・・だがそれは突然現れた2人と1匹の狼によって簡単に覆されてしまった。


 1人は壮麗な老紳士、その勇姿は王都にて武を嗜む者にとって名を知らない人間はいない。剣聖ハズリム卿だ!

「加勢する!」

 誰が隠居したって?全然元気じゃねぇか!

 一瞬でオークバトラーを斬り伏せた。芸術ともいえる絶技に鳥肌が立つ。


「ガウ!」

 魔狼!?ハズリム様の従魔か!?狼なのに豪奢なドレスを着ている。フォローするように他のオークに影のような刃で応戦している、コイツも強い!


「大丈夫ですか!?」

 後ろから槍を持った美少女が追いかけてきた。

「怪我ですか!?すぐに治療します!」

 ブラドの怪我を見るとすぐに治癒魔法をかける、手際のよさとその回復速度に驚く。


「ストーンマグナム!!」


 突然攻撃魔法を放つ、その先を見ると周りこんでいたオークの頭が吹っ飛んでいた、なんて威力なんだ。

 結局10体いたオークは、あっという間に2人と1匹によって蹂躙されてしまった。


 それで助けられたお礼と倒したオークの素材を分け合おうと提案した、だが礼儀正しく断られてしまった。

「人を待たせているので、これで失礼します」

 そう言うと少女は礼儀正しく別れをして森の中に入っていった。


 若く可憐な容姿だが謙虚で傲り高ぶらない、素晴らしい人格者だ!おそらく剣聖の弟子なんだろう。


「上には上がいるものだな」


 Bランク冒険者まで昇格したがまだまだ足りないな。


「あっ、あの、すいません」


 んっ?先程の少女が顔を真っ赤にして戻ってきた、

「どうしたんだい?」

 恥ずかしそうに口を開く、まさか!?こっ、



「そこにある1番大きなオークバトラーの魔石だけ下さい!!」



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