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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
十章 クリストア王国建国100年祭編
430/499

430.王女と聖女 その1

 王城の中は人でごった返していた。そりゃ各国の要人が一同に介しているから、その人達を警備したり、世話をする人もいる訳だから当然か。


 全員がその国にまつわる服を着ているから外国人だとすぐに分かる。南国っぽい正装の人もいれば豪奢な民族衣装を着ている女性もいる、キッチリとした燕尾服を着ている人など本当に多種多様だ。

 そんな中に向こうから見覚えのある白い法衣を着た女性が歩いてくる・・・あの法衣は確かオルベア神聖同盟の人か?

「あ、猫目の」

 その女性を見てアイネちゃん思わずが口を開いてしまった。その猫目の女性もアイネちゃんに気づいてこっちを向く。

「・・・あの時の無礼な小娘?」

 何でか知らないがアイネちゃんを無礼な小娘と呼ぶ、何か因縁があるのか?じっと顔を見て思い出す、私もこの人をどこかで見た事がある気がする。

「私の名はアイネ・リントワースと申します。アルカトラズ島以来ですね、さすがにここで喧嘩するのは良くないので、そんな怖い顔をしないで下さい」


 アルカトラズ?・・・ああ!思い出した。アルカトラズにやって来たオルベア神聖同盟の刺客の人だ。アイネちゃんよく覚えていたな。


「・・・それもそうだな。オルベア神聖騎士団第3師団副長ペストルだ」

 アイネちゃんの意図を汲んだのか、猫目の女性ペストルも一礼する。思ったより礼儀正しい人のようだ。


「それで、なぜお前がここにいる?情報では辺境の伯爵家令嬢だったはずだが?」

 ペストルが探りを入れてくる。というかアイネちゃんが伯爵令嬢って事を知ってんじゃん。

「私はリプリス姫殿下の補助を申し付けられてます。オルベア聖教の聖女様の接待に同行する事となるので、今後とも顔を合わせる事があるかもしれません。もしあの時の方々がいらっしゃるのなら、(あらかじ)め伝えておいて下さい。当国としては祝いの祭りなので、揉め事は避けたいですし、祭りの間は仲良くしたいと思ってますのでどうかよろしくお願いします」

 アイネちゃんの意図を理解したのかペストルも頷く、

「いいだろう、こちらとしても騒がれるのは良しとしない。他の者達にも伝えておこう」


 何で上から目線なんだ?


「・・・それから」

 アイネちゃん、目的を終えたはずだけどまだ何かあるのか?

「聖剣を持った隊長さんに謝罪の言葉をお伝え下さい。聖剣マキシムはとても素晴らしい神具です、後でそのことを知り謝罪したいと思ってました」

 アイネちゃんが頭を下げて謝罪の意を伝える。

「・・・ふん、殊勝な考えのようだな。いいだろう、その謝罪の意は必ず伝えよう。その心がけを忘れるな」

 この女はなんでこんなに偉そうなんだ?(きひす)を返すと颯爽と去っていった。


「何か偉そうな人ですね」

「ふふふ、悪い人ではなさそうですが、考え方は固そうですよね?」

 アイネちゃんは余裕な顔で笑っている。

「ただ、私は聖剣マキシムを馬鹿にした言動をとってしまいました。聖剣マキシムはコノハ様がこの世界にもたらしたと聞いた時に少しだけ後悔してしまいました。まあ、手の平返しって言われたらそうなんですけど」

 私は何があったか詳しく知らないから、なぜ手の平返しかは分からない。アイネちゃんなりの考えがあっての事なんだろう。

「さあ、リプリス様の元へ向かいましょう!」

 再びアイネちゃんが歩き出す。私はリマさんのエプロンのポケットの中にいるので行動の選択権はない、そのまま連れてかれるだけなんだけどね。



 コンコン、


「失礼いたします。アイネ・リントワースです」

「ご苦労様、入って」

 ノックをするとリプリス姫の声が中から聞こえてくる、アイネちゃんは扉を開けて一礼して中に入る。

 部屋の中には準備を終えて王女モードになったリプリス姫が待機していた。

「リプリス様、綺麗です!」

 アイネちゃんが率直な感想を口にする、するとリプリス姫はよほど嬉しかったのか王女スマイルを返す。

「さすが一国の王女様ですね」

 私もリマさんのエプロンのポッケから顔を出す、すると嬉しそうに近寄ってくる。

「ラーヴィーリースーさーまー!!」

 リマさんのポッケから私を抱き上げるとクルクル踊り出す。

「来てくれたのですね!これで百人力です!!」

 嬉しそうに頬擦りまでしてくる。

「リプリスさん!お化粧が崩れてしまいます、頬擦りは止めなさいって!」

 私が止めると苦笑いをして止める。この子のギャップは本当に酷い、私達の前では何でこんなにダメになるんだ?アイネちゃんも咎めることなく生温かい目で見ているし。


「・・・アイネちゃん、リプリスさんに報告する事があったのでしょ?」

「ああ!そうでしでした!!」

 私の言葉にハッとするように焦り出す。

「リプリス様、実はオルベア神聖同盟の方々の中にアルカトラズにやって来た刺客の人達も同行していました」

 改まってアイネちゃんが報告する。おお、何か王女様の腹心っぽいぞ!

「私がここにくる途中で会ったのは、アルカトラズで私達が交戦した猫っぽい女性騎士です」

「・・・猫?いたっけ?・・・・あっ、私が氷で刺した人かな?」

 氷で刺した?一体この子は何をしたんだ?

「そうです、刺した人です。その人と少し話が出来たのでお伝えします。クリストア王国の祝いの日なので揉め事を起こしたくない事と、祭りの間はアルカトラズでの(いさか)いは伏せて双方穏便にしましょうとお願いしました、向こう側もそれに応じてくれるようなので、その事を報告します」

 アイネちゃんの報告にリプリス姫は納得した表情をしている。

「アイネ、本当に良くやってくれたわ。ありがとう。公衆の面前で喧嘩になったら目もあてられないからね。私もその旨を了解しました、後は・・・」

 リプリス姫が私を見る、私はあのペストルとかいう人の態度はムカつくけど喧嘩を売るつもりはないよ。

「メアリーとテルーね。あの2人は女神様を馬鹿にされたから積極的に喧嘩を売っていたわ。アイネ、今日の席が終わったら2人によく言い聞かせておいて」

 私は見たのはそれでか、って言うかメアリーさんとテルーさんが喧嘩を売ったの?確かに2人とも気は強いと思うけど・・・


「・・・あの時、リプリス様も率先して喧嘩に参加していたと思いますが?なので報告したんですが」

「・・・そうだっけ?」


 確かに私はリプリス姫が一番短気だと思う。

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