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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
十章 クリストア王国建国100年祭編
421/499

421.王室主催晩餐会・美食編

「わーらーびーもーちー!!」

 お酒も入っているので私のテンション爆上がり中だ。きなこに黒蜜、これ以上ない黄金の組み合わせだ。

「わーらーびー餅じゃー!!!」

 コノハもテンションがおかしい酔っ払っていないのに?というか彼女の生きた時代にわらび餅ってあったのか?


 他の華やかなケーキに目もくれず、見た目も質素で地味なわらび餅に地の妖精2人が歓喜し、小躍りしている。その様子を皆が不思議そうに見ている。それでも今の私達にはそのような視線は関係ない。

「良かった、食べ過ぎないようにして正解だったわ」

 私のお腹の容量は少ない、この少ない容量を最大限に楽しむためには適度な量を自分で計算しないといけない。かなりお酒を飲んでしまったが、好物の蕎麦をあまり食べなくて正解だった。

「むう、妾はかなり蕎麦を食べ過ぎてしまった、じゃが甘味は別腹じゃ!!・・・って、美味っ!」

 コノハが一口食べると大きく目を見開く、負けていられない、私も食べなくては!!

「おいひい・・・」

 口の中でとろけるようなわらび餅の美味しさはたまらない、きなこの甘味も全てが懐かしい味だ。


「このプルプルの食べ物は何なんですか?」

 不思議そうにメアリーさんが聞いてくる、私達以外は誰も手をつけていない。

「これはワラビという山菜の根を使ったゼリー状のデザートよ、作り方は今度教えてあげるけど私達の妖精にとっては懐かしい味・・・でいいのかな?」

 ヴェロニカがメアリーさんに説明する、妖精というより日本人には懐かしい味でいいのかな?アリエッタなんかは同じ日本人だけど食べた事は無さそうだ。

「凄い、口の中でとろける・・・変わった味ですけど美味しい・・・」

 メアリーさんが勇気を出して一口食べると顔色が変わる。それを見て全員が恐る恐る口に運ぶ、見た目は少し変わっているし、きな粉に黒蜜がかかっているから見た目は良くはないと思う。


「食感がいいわね」

「私は好きかも・・・」

「この粉は何ですか?甘いから砂糖?」

「この黒いソースも甘い」

「ゼリー状のも黒っぽいのですね」


 各々が感想を口にする、概ね好意的な様子だ。

「この粉はきな粉と言って大豆を炒ったものを細かく挽いたものです。かかっている黒いソースは黒糖を煮詰めた甘い蜜です。そしてわらび餅が黒いのはわらびからとれる粉を100%使っているからその色になるんです」

 ヴェロニカがそれぞれの疑問を説明する、そして自身も作ったわらび餅を食べて恍惚な表情をしている。

「確か、黒いわらび餅は高価なんですよね?」

 私も浅い知識で聞いてみる、するとヴェロニカも酔っているので饒舌に語り出す。

「ええ、わらび粉自体少ししか取れないので集めるのが大変なの、それに出来て早く食べないと食感が悪くなるから大変よ、アイテムバッグに時間停止がついてなかったら出せないデザートよ」

 なる程、この世界ならではの特典だな。ヴェロニカは本当に料理が上手で知識も豊富だ、前世では料理人だったのかな?

「妖精の味か・・・これ出したらオルベアの方々はどう思うかしら?」

 含み笑いをしながらレイアさんが笑っている。

「まあ、妖精の味なんて知らないと思うけど、彼らは女神とか妖精が嫌いだから良い顔はしませんね?」

 シェルさんが悪い顔をしている。

「うふふふ、教えずに食べさせたら?知らずに食べれば向こうは何も言いませんよ?」

 シシリィさんまで笑っている、ここにいる人達は皆さん性格が悪い。


「ヴェロニカ様、こちらを初日の晩餐会に出すことは出来ませんか?」

 改まってレイアさんがヴェロニカに尋ねてくる、前もって意図がダダ漏れだけにヴェロニカが複雑そうな顔をしている。

「美味しい食べ物なので、是非広めたいとは思うのですが・・・原材料のわらび粉は貴重でして、取れる量が非常に少ないのです。あとワラビという植物は有毒なので、ちゃんと処理をしないとダメなんです」

 へえ、そうなんだ、知らなかった。私はおひたしで食べた記憶があるけど・・・美味しかったよ?

「ヴェロニカ、私がその役目をやりましょうか?これでも地のスプライトですから、何とかなると思います」

 実はそれとは別に目的がある、

「ついでに他にも山菜があれば採ってくるので・・・料理して下さい」

 わらびがあるのなら他にも山菜があるはずだ、ぜひ採りに行きたい。リントワースにある静寂の森の南側、あそこは山岳地だし、密林だから自生している気がする。

「おそらくですがアテがあります、皆さん忙しいでしょうから私が転移魔法でサクッと行って採ってきます」

「「「えーー!」」」

 一人で行こうとするとアイネちゃんや、メアリーさん、なぜかリプリス姫からもブーイングをされる。

「私達も連れて行って下さい!」

 アイネちゃんが縋ってくる。

「・・・転移します?」

 転移という言葉を聞いて女の子達は固まってしまう、顔には拒絶の反応がありありと出ている。

「アイネ、明後日は建国祭初日ですよ?職務を放棄するつもり?リプリス様の補助という大役があるのです、少しは自重なさい」

 ルーネイアさんから厳しく言われてアイネちゃんは何も言えなくなってしまう。

「大丈夫ですよ。アテというのは静寂の森です、あそこなら私にとって安全ですし、やりたい放題なので何とかなるはずです。それに転移魔法で簡単に行って帰ってこれるので心配しないで下さい」

 そう言うとみんな納得出来ない様子だけど、渋々ながらも了承してくれた。



 よし、明日は山菜狩りだ!私のテンションは爆上がりだ!!

読んでいただきありがとうございました。

次話の投稿は土曜日になる予定です。

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