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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
十章 クリストア王国建国100年祭編
417/499

417.王室主催晩餐会・開始前編

 王宮は広い、大規模なパーティーを開くような大広間から少人数で密談するような小部屋まで沢山の部屋がある。

 私達が通されたのは、小規模なパーティーが出来るくらいの部屋だ。

「もっと仰々しく大広間でやるのかと思いました」

「ふふふ、内輪のパーティーだとこの規模のお部屋でやるんですよ、特にお喋りを楽しみたいレイア様ですからね」

 ルーネイアさんが苦笑いしている。

「ラヴィリス様!アイネ!!」

 話している途中で声をかけられる、その声の主はアイネちゃんの親友のメアリー・フルート嬢だ。胸が大きく強調された大人っぽいドレスを着ており、しっかりと粧し込んだ姿は初めて見た・・・改めて見ると本当に大きい、女性らしさを強調されたドレスを着るとこうも際立つものかと感心してしまう。

「ふふふ、今日は食べる係だと聞いてますよ?」

 メアリーさんの最近はもっぱら腕を振る舞う側だ、全てはヴェロニカの従属者になったせいで彼女の立ち位置が反転してしまった。

「はい、本当は手伝いたかったのですが」

 冗談で言ったのだが本気で残念そうにしている、完璧に社畜精神が植え付けられてしまったらしい。


「初めましてラヴィリス様、コノハ様。メアリーの母のセシル・フルートと申します」

 メアリーさんの後ろにいた若々しい女性が名乗り出て頭を下げる。

 セシル・フルート伯爵夫人。背丈は娘のメアリーさんと同じくらいなのだが、胸は・・・デカい。なんと言うか、カーストの最上位というというのはこの母娘の事を言うんだろうな。顔もメアリーさん同様にゆるふわ系の美人さんで、とても若々しくて姉妹と言っても通りそうだ。

「ウォルベル王国では父を助けていただき本当にありがとうございました。そして、愚弟が多大な迷惑をかけてしまいました、本当に申し訳ありませんでした」

 セシルさんが深々と頭を下げる、そんなに頭を下げると大きなお胸が溢れ落ちてしまう。

「いえいえ、謝らないで下さい。ましてや家族の事です、セシルさんの心を深く傷つける結果となってしまいました。それなのに自身でさらに自分を傷つけるような事をしないで下さい」

 急いで頭を上げさせる、その溢れそうなモノをずっと見ていると私は色々なモノを失いそうだ。

「・・・本当にお優しい方なのですね」

 うん、何とか好意的に受け取ってくれたようだ。


「コノハ様っ!」

「ぬお!?」

 私達がフルート家親子と話しているとコノハが後ろから何者かによって抱き締められる。

 セシルさんに負けず劣らずのナイスバディな女性が豊満な体でコノハを愛で始める。

「ユミルさん、お久しぶりです。サレンさん、エディリーさんも」

 メルブラント家の面々が合流してくる。

「ふふふ、ラヴィリス様、おそろいですね」

 エディリーさんが小悪魔っぽい笑顔をみせる。私と同じ黒色のドレスを着ているが、胸元が大きく開いており、私とは比べようがないほどのセクシーぶりを見せつけてくれる。

「ラヴィリス様、コノハ様、この子達が申し訳ありません」

 サレンさんが奔放な娘と義娘の行動を謝る。良い人だけに本当に気苦労が絶えない。

「ユミル様、マチルダ嬢は参加されないの?」

 ルーネイアさんがユミルさんに尋ねる。マチルダさんと言うのはユミルさんの娘さんで、リプリス姫と喧嘩をした女の子だったかな?

「ええ、あの子には申し訳ないですが、王家に対してしでかした事もあるので自重させました。本人も納得している様子でしたので気になさらないで下さい」

「・・・そうか、何をしでかしたかは知らぬが可哀想にの」

 あれ?コノハも残念そうにしているぞ?

「コノハ様?もしかしてお知り合いなのですか?」

 あれから何回かメルブラント家に拉致られているのは知っているけど・・・

「うむ、エディリー殿に頼まれての、伸び悩んでいるようなので少しだけ助言をしたのじゃ。それに魔石の書き込みや結界魔法に素養がありそうじゃったからコツを教えてあげたのじゃ、とても真剣に学ぼうとしているのが妾は好ましくての、できるだけ丁寧に教えたのじゃ」

 いつの間にかコノハなりに人脈を広げていたようだ。そしてコノハからマチルダさんの話を聞いていたからだろうか?ルーネイアさんも一緒に残念そうにしている。


 一方、コノハのマチルダ評を聞いてアイネちゃんとメアリーさんが微妙な表情をしている。そう言えばこの2人はマチルダさんを酷評していたな?私がニヤニヤして見ていると、2人はそれに気づいてバツが悪そうな顔をしている。

「ふふふ、ダメですよ、ちゃんとその人を見てあげないと」

 一応2人にしか聞こえないようにダメ出しをする、

「・・・はい、これからは気をつけます」

「すいませんでした」

 2人とも素直に反省しているようでよろしい、もし機会があったら私もマチルダさんに会いたいみたいものだ。



「あら、早いわね」

 ここで次々と人が集まってくる、シェルさんが小さな女の子と手を繋いで連れてやってくる。その後ろからはハーシェさんとシシリィさんが話しながらやって来る。

「・・・ぷっ、似合いませんね」

「あ?」

 シェルさんから殺気のこもった目で見られる、

「ラヴィリスさま!!」

 天使が私に微笑んだ!?

「カレンちゃん!覚えてくれていたのですね!!」

「はいっ!!」

 この上ない至福の喜びだ!生きていて良かった!お互いの小さな手を合わせ、再会を喜ぶ事ができるなんて!

「ちゃんと思い出すように仕込んでおきましたよ?」

 私の横でシェルさんが悪魔のような顔をしている・・・仕込んだ!?まさか前もって思い出させたという事なのか!?

「・・・嘘ですよ。ぷぷっ」

 コイツ・・・マジ許さない!!


「相変わらずの性格の悪さ、腹の底から暗黒ね」

 悪魔のようなシェルさんをシシリィさんが窘める、もっと言ってやってほしい。

「どうやらみんな揃ったようだな」

「結構な人数になったね」

 最後にこの晩餐会を主催した人達が入ってきた。王妃であるレイアさん、娘のリプリス姫にミュースちゃん、そしてウィリアム公爵のベルベレッサさんだ。初めてベルベレッサさんのドレス姿を見たが、とても美しくて見惚れてしまいそうだ。


「それでは人も集まっているようなので始めましょうか!!」

 上機嫌なレイアさんが始まりの合図を高らかに宣言する。


読んでいただきありがとうございます。

次話の投稿は土曜日になる予定です。

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