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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
十章 クリストア王国建国100年祭編
413/499

413.晩餐会の招待状

 悪夢のクリーチャーは滑らかに動きすぎて気持ち悪い。もうこんなものは破壊して封印すべきだと思う。

「おおう!?な、なんじゃそれは!?」

 後ろから聞き覚えのある声がする、私の姉にあたるコノハだ。

 なんて言い訳をしようかと振り返る、すると純白のウェディングドレスを着たコノハと、手芸が得意な駄メイドのタナさんが目を充血させ、鼻にティッシュを詰めて立っている。


 面白いけどツッコミ所が満載だ。


 明らかに私より童顔で小柄なコノハが、色気たっぷりな豪奢なウェディングドレスを身にまとっている。そしてタナさんはコノハを手に乗せ、目を充血させてハァハァしている、絵面からしてかなりヤバい。

「タナ、貴女・・・」

 さすがのアイネちゃんもドン引きだ。


「なんでウェディングドレスなんですか?」

 まずはコノハの格好から追求しよう。スカートの裾の刺繍がエゲツないくらい細かく、手芸の限界を超えている。純白の絹の生地は光に当たると輝いて見える、タナさんはとうとう極地に達したようだ。

「いや、このような肩を出すドレスは恥ずかしくて嫌なのじゃが・・・」

 コノハがタナさんをジト目で見る。

「何をおっしゃいます!コノハ様の王宮デビューですよ!?王妃様主催の晩餐会に着て行くならこれくらいのモノでないといけません!!」

 タナさんが突如キレだす。


 ・・・って、は?王妃様主催の晩餐会?


 私がアイネちゃんを見る、彼女も知らないらしく首を横に振る。

「あの、どういう事ですか?」

 タナさんに尋ねると何言ってんだコイツ的な顔をされる。

「昨日、王宮から招待状が届いていたではありませんか!明日は王宮で晩餐会ですよ?なので昨日から徹夜して仕上げたのですよ!!」


 明日?王宮で晩餐会だと!?


 再びアイネちゃんを見ると高速で首を振る、本当に知らないようだ。

「ええと・・・ちょっと確認して来ます!!」

 アイネちゃんが屋敷の中に急いで向かう。とりあえず詳細を確認してもらうしかない。


「・・・それで、これはなんじゃ?」

「キモいですね」

 コノハとタナさんがリントワース姉弟が作ったクリーチャーを見てドン引きしている。

「うーんと、僕らも途中で何を作っていたのか分からなくなってしまいました」

 ロラン君が苦笑いして、隣でハーリス君もバツが悪そうに頭を掻いている。

「形は酷いが、造形が精巧すぎておぞましいの、ヌルヌル動きよる」

 コノハは最初は気持ち悪がっていたけど、作りの精巧さから滑らかに動く様子に気づく。

「どうじゃ、このゴーレムをその魔石に記憶できるが?なんか壊すのが勿体ない気がしてきたのじゃ」

 ゴーレムを記憶?

「えっと、つまりそれはどういう事ですか?魔石に記憶させていつでもこのゴーレムを作れるという事ですか?」

 私の質問に頷く、コノハは自身のインテリジェンスアイテムのお椀のカヤさんに頭を突っ込む、そして金色に輝く鉱石を取り出す。

「ここにヒヒイロカネがある、ミスリル銀があれば魔力伝導が格段に効率が良くなってゴーレムの生成が速くなるぞ。ただし、今使っている魔石はこのゴーレム専用になってしまうがな」

 ほう、ミスリル銀なら持っているし、魔石も沢山あるから良いか。物は試しにカガミンから錬金釜を取り出す。

「ハーリス君、その魔石を貸して下さい」

「はい!」

 クリーチャーのお尻から魔石を外して私に渡してくれる。

「錬金釜に魔石をいれてヒヒイロカネとミスリル銀を高圧縮するのじゃ、ヒヒイロカネに書き込む感じでやるのがコツじゃ」

 コノハがアドバイスをしてくれる、みんなが見守る中、数分後には人の小指くらいに圧縮された魔石が出来上がる。

 これはキャストリングに近い作り方だ、記憶させるという意味では全く一緒だ。


 そしてこのゴーレムを魔石に記憶させるメリットに気づく。

「コノハ様、これがあれば私でもゴーレムが作れるという事ですね!」

 おそらくそれを言いたかったのだろう、笑いながら頷く。

 せっかくだから試してみよう。


 ゴーレムが記憶された魔石を地面に刺す。そして魔力を流すと地面が隆起し、さっきのクリーチャーと全く同じ物が象られていく。

 そして同様にこのゴーレムとして動かす事が出来る。さすがに翼は生えているけど飛べないようだ、だけど私の指示で剣を振ったり盾を構えたりしてくれる。

 これは凄い・・・けどゴーレムの動きが気持ち悪い。やはり首を長くするのは悪手だと思う、体の動きについて行けずに頭がグリングリン振り回っている。


「・・・はい、ハーリス君。お返しします」

「・・・いらない」


 自分で作っておいてそれはないよ!


 仕方ないのでロラン君を見る。君はいらない?

「中身はリセット出来るのですか?」

 お前もか!!


「まあ、形はともかく、造形が素晴らしいのでおそらくかなり強いのじゃ」

 コノハがそういう事を言うから勿体なく感じてしまう。仕方ない、この記憶したゴーレムの魔石は私が使用しよう。

「ラヴィリス様!」

 ここで屋敷からアイネちゃんが戻ってきた。

「どうやら王妃様が前哨戦と称して小規模で晩餐会を催すようです。リントワース家からは私とお母様、ラヴィリス様とコノハ様、アリエッタ様、そしてテルーとリマです」


 んん?リマさん?何で???

 というかテルーさんまで!?


「他にはグランドル様にウィリアム様、メルブラント様とレスコット様にベルリアル様、そしてフルート家も呼ばられているようです。全員夫人とメアリーも呼ばれているようです。あ、でもアリエッタ様とテルーはご両親を迎えに行っているので欠席するしかありませんか」


・・・本当にあの人(レイア王妃)はフットワークが軽い。

 くそ!約束を本当に守りやがった!!



読んでいただきありがとうございます。

次話の投稿は土曜日になる予定です。

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