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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
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39.再会

「お嬢様、こちらへ」


 私達は現在、リントワース家の領館に来ています!

 どういうことでしょう?リントワース領の自宅より王都の領館の方が立派なんだ?

「・・・見栄がほとんどですね」

 アイネちゃんが苦笑いをしながら教えてくれた。貴族というのは本当大変ですね。


「ラヴィリス様!お久しぶりです」

 ルーネイアさんがにこやかに迎えてくれた。駄メイドも数名見覚えのある顔がいる。


「ラヴィリス様はこちらへ」

「へっ?」

 私は駄メイド共に拐われてしまった。あれ?なんでルーネイアさんまで?

「こら!貴女達待ちなさい!」

 後ろでリマさんがキレている。



ーーーアイネーーー


 嵐のようだった。私はその場に1人取り残されてしまった。

「お嬢様はこちらへ」

 執事のラルズに促されるが、なぜだろう?物凄くラヴィリス様の身に危機を感じる。


「後で伺うと伝えておいて下さい!」


 私もリマ達の後を急いで追いかけた。



ーーーーーーーーーー



「やはり、こちらのドレスの方が良いですって!」

「いえ!ラヴィリス様の美しい黒髪にはこの色の方が映えます!」


 なぜか私は女性陣の前で全裸姿で辱めを受けていた。


 駄メイド共、リマさん、ルーネイアさんは激しい議論を展開している。

 なんとか打破しようと、後から追いかけてきたアイネちゃんに助けを求めるが、輪の中が鉄壁すぎて助けに入れない。


「ところでリマ、その指輪は?」

 あざとくメイドの1人がリマさんの指輪に気付く。


 勝ち誇った顔のリマさんが見える。


「うふふ、ラヴィリス様から頂いたエンゲージリングです」

 エンゲージリングだけど私じゃなくてマキシムとのリングだからね!


「「「なっ、なっ、な、そんな」」」


 なんで青い顔で皆が絶望している!?ルーネイアさんまで?


「あの、それはマキシムとのエンゲージリングですよ」

 アイネちゃんが横槍を入れると全員が安堵のため息をついた。

「ちっ」

 リマさん悪い顔ですよ、舌打ちした相手は貴女の雇主ですよ。


 そして私はなんか立派な手の込んだ刺繍の入ったドレスに着替えさせられた。

「なっ、なんかすごいドレスですね」

「はい、こちらは当家メイドのタナが作ったハンドメイドのドレスです」

 手作り!?タナさんって私用のポーチを作ってくれたメイドさんだよね?

「あの、タナさんにお礼を言いたいのですが」

「申し訳ありません。今回、彼女はリントワース領にて留守番です」

 あら、居ないのか残念、これだけの腕なら是非転職をすすめたのに。


「申し訳ありません、そろそろ旦那様のもとに来ていただきたいのですが」

 ラルズさんの悲痛な懇願がドアの外より聞こえてきた。



「ずいぶん遅かったようだが、わざわざ粧し込んできてくれたのかな?」

 アンタの嫁と雇っているメイド共に言え。

「お父様、お待たせして申し訳ありません」

 アイネちゃんが丁寧に謝罪する。


「お父様!」

「まだですか?」


 よく見ると、せわしく腰元でホランドさんを突いているちびっ子がいた。

「わかっておる!もう少しお待ちなさい!」

 待ち切れない様子のちびっ子2人、わかるぞ!君達が何者かは私にはわかるぞ!

「ロラン、ハーリス!!」

 アイネちゃんが名前を呼ぶと2人はホランドさんの腰元から駆け出してアイネちゃんに抱きつく。


「「おねーさーまー!!」」

 久しぶりの再会に大喜びする兄弟であった。


「はじめまして、ロラン・リントワース8歳です」

「ハーリス・リントワース6歳です!」

 2人の男の子が私の前でかしこまって自己紹介する。私はショタ好きではないが・・・不味いな、これはデレてしまうな!

 将来有望な可愛らしい男の子2人に囲まれて幸せな気分であったが、先に面倒な事を報告せねば。


 2人を退室させて、ホランドさんとこれまでの話をすることになった。

「グランドル家の人間がこちらを探っていたのは知っていたが向こうも同じような事であったとは」

「まさか、剣聖ハズリム・グランドル様が病に伏せるとは思いませんでしたな」

 ラルズさんの知り合いでしたか?学園長の愛しの旦那さんが剣聖?どういう事だ?

「お父様、私はその、敵対派閥とはいえ、見殺しにするような真似は」

 アイネちゃんはやはり他人事だと思えないようだ。


「わかっている、もし件の錬金術師が原因なら派閥など関係ない」

 もし今回の件も錬金術師が関与しているなら、情報と証拠が手に入るからだ、やる価値はあると思う。

「そうですね・・・診ましょう。ただし、今回は私達の間にホランドさんが入って下さい。正直アイネちゃんでは相手に上手くやり込められる可能性が高いですから」

「えっ!?そんなことは」

 アイネちゃんは全員から冷たい視線を一身にうけ、それに気づくとどんどん小さくなっていく。


「わかっている、この件は内密に動く。ラルズ、悪いが動いてくれるか?」

「かしこまりました旦那様」

 ラルズさんは一礼すると、準備の為か部屋から出て行った、その後ろ姿もダンディだ。


 その日、私達は領館に泊まった。私は何故か食事制限をされ、再び奥様とメイド共のオモチャにされて夜を過ごした。



 翌日、私達はラルズさんと合流して学園長室に入った。学園長は私が診断することに合意したことで安堵の表情をしている。

 詳しい日程はラルズさんに任せた、一応は敵対勢力同士なので表沙汰にしたくないのと、宮廷内で悪意もつ人間が潜んでいる可能性が高く、ホランドさんも自身の派閥の盟主であるミハイル侯爵を完全には信用できないので、双方同意の上で秘密裏に行うことにしたのだった。



 そして後日、私達は教えられた秘密通路からグランドル領館へと向かった。



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