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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
37/499

37.精霊女王の子供

「なんと、学園長がシェルさんでしたか」

 シェルさんの正体が学園長で、彼女に私の正体をバラしたことまでリマさんに伝えておいた。

「了承しました、旦那様に報告はお任せ下さい」

 リマさんがメモを取りながら応える。


「あと、しっかりと口止め工作もしてある事も伝えといて下さい。ホランドさんはせっかちですから」

「本当ですよね!お父様はせっかちが服着て歩いているようなものですからね!」

 アイネちゃん!貴女が言ってはダメ!


「ところでアイネちゃんは学園長がシェルリースという名前だと知らなかったの?」

「・・・敵対派閥なので覚えなくていいと言われまして」

 ふう、とんだ遠回りをしたものだ。



 学園長も準備する時間が欲しいと言われ週末の休みの日に行く事になった。

・・・いったい何の準備やら。


 この辺りからアイネちゃんの周りに少しだけ変化があった。

 まずはイチャモン少年のゼル君がアイネちゃんに近寄らなくなったのだ。前々からシルヴィストさんからの抗議もあったらしく、学園長からも釘を刺されたらしい。


 アイネちゃんがどうりで機嫌がいいわけだ。


 そしてもう一つ、リマさんが同行すると聞かないので私が何とかすることになった。

 そして私とカガミンが出した答え、それは。


「もうマキシムをリマさんの従魔にしよう!」


 数個の猪の魔石があるので、マキシムの首輪にある騎士章の宝石を加工し魔石と結合する。

 もう一つ魔石を使い、同じように魔力圧縮して魔晶石のペアをつくる、それを加工して指輪状にして渡した。


・・・疲れた、魔力をごっそり使ってしまった。


「これは、もしかして、エンゲージリング!?」


・・・私はリマさんと婚約したらしい。でも私は疲れからツッコミを放棄した。



 地下探訪日、私達は指定された学園の南側の門で待っていた。遅れて学園長もやってきた。

「無駄に広くてまいるわ、膝痛いし」

 なんか私達の前ではこのままのキャラクターでいくようだ。これでは本当に単なるおばちゃんになってしまった。

「あっ、あの、良かったら私の試作品ですが、この膏薬を膝に塗ってみて下さい」

 アイネちゃん、マジ天使!ニール爺さん用に練習している筋肉痛の膏薬をあげてる。


「あら、いいの?じゃ、遠慮なく貰うわ!」

 少しは遠慮しろ!お金払え!!別にお金の、使い道はないけど。


(いくらか決めてないので請求できませんね、試作品と言ってますから)

 くそ、今から激痛薬に変えられないかしら。


「あら、今日はメイドさんまで連れてるの?」

 リマさんを見て訝しむ、

「彼女は魔狼の契約者なのでそれなりの人間ですよ」

 リマさんがかしこまって礼をする。リマさんの影からマキシムが顔を出して挨拶する。

「あら、優秀なのね。是非スカウトしたいわ」

「申し訳ありません、私には生涯忠誠を誓った方がいますので」


・・・アイネちゃんの事だよね?私を見ないで。


「それにしても重装備ですね?」

 学園長を見ると、魔術師のローブの下には魔除けなどいっぱい持っていた。

「逆に何であなた達はそんなに軽装なの?何があるかわからないじゃない!」

 ちなみに私達は普段着で参加している。


『私もいるよー』

 マーナが学園長に纏わりつく。

「マーナ?どうしてここに?」

「私の神樹魔法でマーナがここまで来れるようにしてみました」

「・・・本当に何でもありね」

 呆れる学園長、私もそう思っているよ!


「あの、そろそろ行きましょう」

 アイネちゃんの真面目さはパーティーには必須だね!


 学園の外壁沿いを歩くと、厳重に封印のなされた扉があった。これは隠蔽魔法のマジックアイテム?

「それにしてもお粗末な隠蔽ですね、阻害もつけておかないと意味ないですよ」


・・・皆が黙っている。


「はぁ、自前で隠蔽魔法を使うことがどんなに非常識か分かってないようね」

 学園長がため息をつく。

 え?どういう事?カガミン?


(人間界では、隠蔽を使用する場合はマジックアイテムを併用して使うことで実現可能となります。常識ですよ)


・・・そうなんだ。


「さぁ!気を取り直して行きましょう!」

 学園長が丁寧にマジックアイテムを解除して封印を解いていく。


 私達は地下通路を進んでいく、どれだけ進んだだろうか?行き着いた先は先程よりも厳重に封印された扉であった。

「これだけ何重にも封印されて、いったい何があるのでしょう?」

 アイネちゃんが不安そうに呟く、確かに嫌な予感しかしない。


「着いたわよ」


 学園長の言葉で私達はいつでも行けるように準備する、しかし何も起こらなかった。

 そこに力なく横たわっているのは、黒光りするメタリックな鳥型のロボット?


(・・・これは、まさかゲートキーパー?)

「ゲートキーパー!?」


 厳重に封印されていたのは、すでに活動停止したゲートキーパー?であった。

「ラヴィリス様?」

 アイネちゃんの不安な声は今の私には届かない。

「どうしてここに?ゲートはないよね!?」

(解析しましょう!)


レザームーン

種族:人工精霊ゲートキーパー

所属:精霊女王マナフロアの子供(活動停止)

LV:000 HP:000/000 MP:000/000


 精霊女王マナフロア・・・マナフロアの子供?


 ゲートキーパーは精霊女王が作った錬成物? 


 精霊女王は敵なの?


 カガミン!?


(精霊女王マナフロア・・禁忌事項)

(検索不可能です)


「何で!?」


 私はつい大声をあげてしまった。

 鏡に向かって突然私が激昂したと思ったらしい、全員がびっくりしている。ヤバい、気まずい空気が流れる。


「おほほほ、ゴメン遊ばせ」

 私はヘタなごまかしをする、皆が苦笑いをしている。

「さぁ、封印しましょう」

 誤魔化すように率先してゲートキーパーの封印する。

「ラヴィリス様」

 心配してアイネちゃんが尋ねてくる、

「・・・あとで説明しますね」



 全てを終わらせ、私達はとりあえず学園長室に集まった。


「実を言うとあれは、ゲートと呼ばれる転移装置を守るゲートキーパーという人工精霊です」

酷似しているから間違いないと思うが。

「・・・えっと、それは眉唾ものね」

 学園長が息を飲む。


「私はかつてアレとは2回程戦っているんですが、はっきり言って非常に危険です」

 私はかつての死線を赤裸々に語った、そしてドン引きされてしまった。

「はあぁ、本当に貴女を敵に回さなくて良かったわ」

 学園長が改めて失礼な事を言う、

「ところでマナフロアという名前って知ってます?」

 精霊女王マナフロアについて、人の伝承で残っているだろうか?

「マナフロア?創世の母神マナフロアですか?」

 


・・・はぁ?




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