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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
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34.秘密の匣

「ストーンマグナム!」


 貫通力極振りした石塊が標的を撃ち抜く、的がエグいくらいそこだけくり抜かれていた。


「「「おぉー」」」

 歓声が湧く。


アイネちゃんを強くしすぎたかもしれない。


 午後からの授業を見ていると、魔法の実技授業なのだが、私が常識知らずのせいでアイネちゃんが圧倒的な実力者になってしまった。いやいや、悪鬼と戦うならある程度の自衛手段は持たなきゃいけない。


(ワタクシもその意見には賛同です。戦う手段を選んでいたら早死にします!殺られる前に持てる力を全て使って潰すのは定石です)


・・・ちょっと意見が過激ですね。


 その他の生徒さん達は、まあ、そこそこ?なのか?どうなの?


(アイネさんのLV18、その他の生徒はLV10前後ばかりなので、その力の差は決定的だと思われます)

 おお、アイネちゃん悪鬼戦でLVが6も上がったんだ。


(出会った時はLV7でしたが、アッシュベアや悪鬼という格上ばかりの戦闘が続きましたからね)


 そうか出会った時から10もLVが上がっていたのか、強くなったわけだ。後でステータスを確認しておこうかな。

 王子君がLV10、のっぽ君がLV10、ドリルちゃんがLV9、メアリー嬢がLV7か、まあ、こんなもんか。

(名前を覚える気は一切ありませんね)


 おや、あそこの少年は強いぞLV12だ、解析したらバレるかな?

(やめておくのが賢明でしょう、敵対するつもりならやってもいいと思いますが)

 おや、アイネちゃんモテモテだ。あの少年が睨めつけてるよ!

(ライバル意識ですかね、初々しいですね)

 あの実力なら今までトップだったんだろう、アイネちゃんが突如才覚に目覚めたためライバル認定しているところだろうか。


 その日はこれで授業が終わった。

「ぶふううぅぅ、疲れたー」

 部屋に入るなりアイネちゃんが令嬢モードから通常モードに戻った。

「お疲れ様です、お嬢様」

 労わりながらお茶を運ぶリマさん、私の分もある。

「もぉ、前はこんなにも気疲れしたかなぁ?それもこれもゼル・グランドルに目をつけられたからよ!」

 おや、公然と人を非難するのは珍しい、

「ゼル・グランドルというのは、アイネちゃんを睨みつけてた男の子ですか?」

 午後の授業のことを思い出して尋ねる。

「やっぱ、睨みつけてました?いくら敵対派閥同士だかって露骨すぎですよね!」

 やはりそうか、ライバル認定されて何かちょっかいをかけられたのか?


「学園長の孫で、敵対派閥だけどグランドル公爵の息子ってだけで偉いんだよ?それに学年トップなんだから木端の私にいちいち嫌味なんか言ってこないでよ!もおっ!」

 おや、あの学園長の孫で学年トップか、こりゃ大変なのに目をつけられたな。

「私も話がありましたが、疲れているなら明日にしましょうか?」

「えっ?ラヴィリス様のお話なら今すぐにでも聞きたいです!」


 なぜかダラけていたのをシャキッとさせて姿勢を正す。ええと、話していいのか?

「そうですね、実は今日の発見したんですが、中庭の巨木ですが神樹でした」

「・・・えっ?・・・神樹?えええぇぇ!」

 そんなに口を開くとアゴがはずれるよ。


「さらに私と同種族の妖精が住んでいました」

「「はあああぁ!?」」

・・・リマさんまで。


「明日にでも時間をくれれば紹介しようと思うのですが、どうでしょう?」

 ポカーンとしている2人、おーい何か返事して下さい。

「中庭の木が神樹って初耳ですよ、どうして知られていないんでしょう?」

「どうでしょう、まだ若い神樹なのでそこまでの力はないのでしょうか」

 ほー、と興味津々な表情の2人、会ってみたいということなので明日会いに行くことになった。


 翌日早朝。

「隠蔽阻害範囲拡大!」

 カガミンの提案で神樹を中心に視覚阻害の範囲魔法を試してみた。

(成功です、周囲からはラヴィリス様達の姿は見えません)

 どうやら私も成長しているようだ。


 神樹魔法で上に向かう道を作り、マーナと会った場所へ行く。

『ラヴィー!!』

 私の気配に気付くとマーナが飛び出してきた。


 少しだけ大きい私に纏わりついてくるマーナ、うむ、可愛い奴よ。

「ラヴィリス様、こ、この方がこの木の妖精様なのですか?」

『マーナだよ、マーナって呼んで』

「かっ、かわいい、」

 アイネちゃん、本音がだだ漏れですよ。

「想像以上の破壊力です、」

 リマさんは相変わらずおかしい。


『ラヴィのお友達も人なんだな!私にもいるよ、人間の友達が!その人を探して欲しいな!会いたいな』

 おや、マーナにも人間の友達がいるようだ。

『名前はね、シェル!!あとハズ!!』

 名前だけで探すのは難儀な気がするけど、

『シェルに頼みたいの、秘密の匣が壊れそうなの』

「秘密の匣?なんですかそれは?」

『秘密なの!』

 まぁ、秘密の匣っていうくらいだからね。


「そのシェルさんに秘密の匣が壊れそうって言えば伝わるの?」

『うん!ここのどっかにいるよ!』

 学園の関係者かな?黙って話を聞いていたアイネちゃんに目を向けると、残念そうに首を振る。どうやら心当たりはなさそうだ。


『早く直さないと大変なことになる。お願いラヴィ!』

「何が大変なことか分かりませんが頑張ってみますね」

 こうしてマーナとの再会をすませ、さらに奇妙なお願いを受けてしまった。


「シェルさんですか、アイネちゃんに心当たりがなさそうですね」

「う〜ん、この学園には1000人以上の人がいますからね、シェルさんという名前だけを頼りに探すとなるとかなり大変だと思います」

 カガミンの探知でわかんない?

(1人1人を解析すれば可能です)

 やはり、地道作戦しかないようだ。まさか、ここで面倒ごとに巻き込まれるとは思わなかったよ。



 秘密の匣って何なんだろう?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「1人1人を解析すれば可能です」 そんなことしていたら、そのうち誰かに敵認定されるんじゃなかった?
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