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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
三章 王都魔法学園編
33/499

33.ラヴィリスの異世界考察

 世の中の王子様が全てイケメンとは限らない・・・はい、嘘!やっぱりイケメンでした!


 教室に入るとすぐにアイネちゃんはクラスメイトに囲まれてしまった。私は危機を感じ取ると、すぐに脱出してその様子を遠目から観察していた。

 ひときわキラキラした金髪美少年、彼がこの国の第2王子様のアリアス・ファン・クリストア殿下、キラキラ眩しくて直視できません!

 その横にいるのが本当に15歳?めちゃくちゃ背の高い男の子がデミス・ジャックリーフ君、この国の大将軍の息子さんです。

 アリアス殿下の横にいるのが、何ロールあるか分からないドリル少女ミリアリア・ベルリアル公爵令嬢です。

 さらに昨日会った友人のメアリー・フルート伯爵令嬢など、その他色々いますが、一気に人が増えて見分けがつかなくなってしまった。

 昨晩、アイネちゃんが有名な同級生の特徴を教えてくれたが、正直言って覚え切れないので途中から適当に相槌をうっておいた。


(ワタクシのコトを適当とか言いますが人の事いえませんね)

 うっさい!横文字が多いんじゃ!!


「おーい、全員いるかー?席につけよー!」

 昨日会った先生もやって来た。ゾロゾロ席につく、アイネちゃんも自分の席に着く。私もその席に降りた。

「ごめんなさいラヴィリス様。大丈夫でした?」

 私がポーチバックの中に入るとアイネちゃんが小声で謝ってきた。

 私は声出さないように手でOKサインの丸をつくる。

 さてさて、最初の授業はフムフム魔法の出力計算ですか?私には必要ありませんね、お休みなさい。


(えっ?嘘ですよね?)

「・・・」

(ラヴィリス様?)

「・・・」

(えぇ〜)

「・・・zzz」


「おはようございます」

 アイネちゃんが抜群の笑顔で覗き込む。

 1時間目の授業はいきなり爆睡してしまった。次の授業こそ起きているぞ!

(・・・・)

 なに?どうしたのカガミン?

(いえ、別に・・・)


 次の授業は一般教養の王国史だ!私はこれを待っていた!

 クリストア王国は建国100年を近く迎えるユーピテル大陸の西海岸側の覇権を握る大国だ。

 もうすぐ建国100年の記念祭が行われるという、それは楽しみですな!

 ユーピテル大陸は大小12程の国がある。ただ、ここ10年は争いは起きていない。

 三カ国同盟と呼ばれるユーピテル大陸の中でも強大な三国が手を組んでいるからだ。

 西部のクリストア王国。中央のウォルベル王国。東部のサンクリス皇国だ。

 例のオルベア神聖同盟とかいう国は、ユーピテル大陸の西にあるオーレリア大海を越えたアゼリア大陸にある連合国家だ。今度の建国100年祭の時には多くの国から貴賓を呼んでおり、オルベア神聖同盟も招待したらしい。

 まあ、勇者の召喚とか言っているような国だ、私は胡散臭いからあまり関わりたくないな。


 色々考えているうち授業は終わった。もう少し神話や伝承を教えてくれたら嬉しいけどしょうがないか。

(今回は真面目に受けましたね)

 失礼な私はいつも真面目だよ。


「昼食ですがどうしましょう?」

 おや、もうお昼ですか?私は基本的にお腹が空かないんですよね、

「私は基本的に食べなくて平気なので、どうぞお友達と食べてきて下さい。あっ、私はちょっと散策したいので、後ほど教室で合流しましょう」

「わかりました、それではまた後で」

 アイネちゃんはクラスメイト達と食堂へ行くのを確認してから、私も姿を消して教室から出た。


 広い廊下をぬけ、広い中庭にたどり着く。何でもかんでも広いな、私が小さいのが原因だけどさ。

 中庭は巨大な木が一本立っており、その木は学園の外からでも確認できるほどの巨木だった。

 中庭ではお弁当を食べている生徒が結構いる、笑い声が所々から溢れている。


 私は巨木の枝に腰掛ける、サワサワと心地よい風が抜ける。

(ラヴィリス様、この樹木は神樹です)

 んっ?神樹とは?

(長生きして魔力を持った木を神樹といいます。この木はまだ若いですが確かに神樹です)

(顕現します)


・・・えっ?出てくるの?


『こんにちわ、貴方はだぁれ?』

「へぁ?あっ、わっ、私はラヴィリスと申します、」

 突然のことでビックリしてしまった。

(神樹の魔力が集約して妖精化したようですね)

 妖精化?どういうこと?


(ラヴィリス様もそうですが長い年月をかけて魔力が結晶化し新たな意思を持ったのが妖精です。この方はここで、ラヴィリス様は聖域の深林の魔力が結晶化しセルリス様の寵愛をうけて誕生したようです)


 おぉう、思わぬところから自分の出生を知ってしまったよ。でも安心した、私は精霊女王なんかではなく、単なる魔力が結晶化した妖精なんだとハッキリしたからだ。


『はじめまして、私はこの樹の妖精マーナだよ』

 舌ったらずな感じが若さを感じる。


 マーナは私より小柄で緑色の癖っ毛の女の子だ、白色のワンピースを着ており、背中から蝶の羽が生えていた。

 私は初めての同類に興奮していた。しかも同じ地属性で同族だ!あと何と言っても私より小さい!!


『へ〜、ラヴィーはセルリス様の子供なんだ』

 同族同士やはり気が合うのか、すぐに打ち解けることができた。様付けで呼ばれないのも新鮮で良い!

「あっ、そろそろ時間だから行きますね」

 お話に夢中になってしまい、あっという間に昼休憩が終わってしまった。アイネちゃんのもとへ行こうとするとマーナは寂しそうな顔をしている。

「・・・明日は私の友達を連れてくるからね、また来るよ」

 ぱぁっと、マーナの表情が明るくなる。


『うん!待ってる!』



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