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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
二章 リントワース編
29/499

29.学園に行ってみたい!

 オルベア神聖同盟。海の向こう側にあるアゼリア大陸にある巨大連合国家。光の神オルテシアの庇護の下、魔王と戦った歴戦の大国らしい。


 まぁ、私は地の女神セルリス様の眷属だから関係ないけどね。

 それでも思ったのは、私にはこの世界の常識がなさすぎる!今回みたいなポカは単に知識がないのが原因だ。


 カガミンの知識も微妙だしね。

(聞き捨てなりませんね、この世界の常識ならワタクシの辞典能力で事足りるはずかと?)

 う〜ん、知識が偏っているというか、視点が人間に寄ってないんだよ。

(人類がワタクシの叡智に追いついていないだけです!)


 カガミン、口が悪くなってるよ!


(たっ、確かに人間界の常識というものは辞典の中には存在しませんね)

 そういう事だよ、素直になろうよ。


 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ、


 こんな会話をしながら何しているかって?せっかくなので薬鉢を使って薬をゴリゴリ練り練りしてます。

 花園を枯らしたり、生垣を変形させて迷惑をかけてしまった私が、謝罪をこめて筋肉疲労用の膏薬を作っているんです。


 シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、


 隣ではホランドさんから滋養薬をリクエストされたアイネちゃんが一生懸命シェイクしてます。

 前の滋養薬では効果が高すぎるので、カガミン監修のもと、味はそのままの劣化版滋養薬を作っている。

「そろそろ出来てますよ」

 鑑定し、完成しているのを伝えてあげる。

「ふぅ、やっぱり大変です」

 うむ、大変であろう?体の小さな私はもっと大変なのよ!


 そういえば、アイネちゃんは学校に通っているはずだよね、私もこっそり潜り込んで一緒に勉強できるかな?ついでに呪詛のことも錬金術師のことも気になるし。

「アイネちゃん、私とこうして薬を作っているけど、学生さんじゃなかった?」


「・・・・」


 アイネちゃんが停止した!?


「ああぁぁぁぁ!リマ!リマっ!休暇申請って!?」

 突然発狂したと思ったら、今度は真っ青な顔してオロオロしている。

 マキシムをブラッシングしていたリマさんが無常な宣告をする。

「はい、すでに申請期間より半月近く過ぎてますね」

「はああぁぁぁぁぁぁ!」

 優雅とは程遠い叫びが屋敷にこだまする。


 真面目少女アイネちゃんは、半月近く無断欠席したことがよほど重大な過失のようだ。急いでホランドさん達のもとへ向かう、

「何を言っている!ちゃんと報告してある!」

 ホランドさんに一刀両断される。

「昔からそそっかしいんだからアイネは、」

 ルーネイアさんも呆れている。

 部屋の隅っこで小さくなっているアイネちゃん、しっかり反省するように!

「せっかくなので私もその学校について行こうかと思うのですが、いかがでしょう?」

「え?ラヴィリス殿がですか?」

 全員が耳を疑っている。いいでしょ、私だって学校に行ってみたい!

「まぁ、今回の錬金術師やなんとか侯爵の件もありますが、私自身も少々この世界の常識に疎いことを自覚しました」

 そう、バンゲアなどの事を知らずに迂闊なこと言って誤解されたら大変だ!

 それにアイネちゃんに薬の事もまだ一杯教えなくてはいけないしね。


「いえ、我々としてはありがたいが、」

「あと、実は私も学校に行ってみたいんですよ」

 よし、できたぞ!有無を言わせない断り辛い極上スマイル!

 結局、同行は了承され私も晴れて学校に行けることになった。

 どこかの一部メイドは反対していたが見なかった事としよう。


 そうと決まるとアイネちゃんは大急ぎで準備を始める、私は持ち物はカガミンだけですから何も用意はいらない。そういえばマキシムはどうしよう?


「ワフっ!」

(ついて来るようですね)

・・・カガミン、今のは適当だろ!

 まあ、いいか。今じゃ野性は失われて飼い犬になっているから誰にも疑われないだろう。

「私も後を追って王都に向かうつもりだ、その時に練金釜を渡そうと思う」

 ホランドさんも後から来るのか。


「例の件、私も一応同行するつもりです」

 そっと耳打ちする、

「それは心強い、その時は是非お願いする」

 ホランドさんがもし錬金術師らと接触する際には私も一緒に同行させてもらい、私も真偽の判断をしようと思う。

 ルーネイアさんの事を、もし分かっていながら見殺しにしたり、それどころか共謀して嵌めたりなんかしたら絶対に許せない! 



 大急ぎで準備し、翌日の朝には出発することができた。

「あら、リマさんも同行するんですか?」

 リマさんも大荷物を抱えている、

「ハイ、私はお嬢様付きの専属メイドなので、」

 どうやら1人だけなら従者を連れて行くことができるようで、リマさんがずっと専属でついているらしい、さすが貴族社会だね、ところでペットはいいの?

「マキシムもリントワースの騎士章を首輪に付けているから何も問題ありません」

 騎士ですか、狼なのに出世しましたね。


・・・どうやら不法侵入は私だけのようだ。


「お父様、お母様、それでは行ってまいります!」

 アイネちゃんが2人と抱き合い別れの挨拶をする。

「ラヴィリス殿の件はリントワースの極秘事項だからな、くれぐれも口を滑らせないように!」

 別れ際でも釘を刺されてる。

「寮生活になり不自由されると思いますが、私達が王都滞在時は領館の方にお越し下さいませ、下の子供達にもぜひ会って下さい」

 ルーネイアさんからお誘いを受けた、そういえば、まだ見ぬ弟さん達に会ってなかったな、

 楽しみが一つ増えた。



 それでは行ってきます!



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