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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
二章 リントワース編
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20.魔石が欲しい!

「えぇ!この薬では治らないのですか!?」


 せっかちアイネちゃんよ、貴女は焦って治療の順序を間違え、リマさん死なせそうになったでしょ。


「わ、私はお嬢様に殺されかけたのですね」

 あの時の事実を教えると身震いするリマさん、一方の私はそのリマさんの膝の上で髪を結われている。


 これから症状がでている人に滋養薬を飲ませるのだが、アイネちゃんはこの薬で治ると思っていたらしい。

 まず、メイドさん達に少量の小瓶に入れてもらう。それを15人分作り、1日分の目安にして7日分を用意してもらい、1週間をかけてゆっくりと体力を回復してもらう。


「これをアイネが作ったのか?」

 ホランドさんがまず飲んでみる。表情が変わる!

「これは・・・美味いな!もう少し欲しい」

 うふふ、よかったですねアイネちゃん!誉めてくれてますよ!

 確かに味は良いので概ね好評のようだ。こうして時間をかけて体力を回復させるのが目的だ、次の段階に進むにはしっかり良くなってもらわないと。


 1番病状の重いお母さんにはアイネちゃん自ら水差しで飲ませる。

 口に含んで喉を通っているということは、まだ生きたいという意思があるということだ。

 滋養薬の投与は1日2回、朝と夜に出すように指示する。

 そして、体力を回復したのは下準備でこれからの本番に向けて準備する。


「魔石ですか?」

「ハイ、出来るだけ大きなのが欲しいですね」

 私のリクエストを聞き、困った表情をするホランドさん。滋養薬を飲んで2日目で効果が出てきたようで顔色が良い。ただし根本的には治ってないので無理しないようにくぎをさしておく。

 さて、魔石の件だが、どうやら入手が難しく時間がかかるようです。用途は魔石からタリスマンを作り、体内の呪詛の受け皿にして体内から除去しようという作戦だ。

 なんせ私は錬金術のスキル持ちですからね、魔石からタリスマンはできるはずだ。


(ハイ、今のラヴィリス様の魔力伝導力と浸透力なら可能です!)

 カガミンからお墨付きをもらったのでやってみる価値はありそうだ。


 どうやって手に入れようかと悩んでると、ホランドさんから、もしかすると冒険者ギルドならあるかもしれないと言うことを聞く。


「ラヴィリス様!どうぞ!!」

 アイネちゃんが手招きしている。

 うっ!腹部にポケットのある服を着ている!?まさかこの為に?

 言われるがままポケットに入る、意外とフィットする。

「アイネ様、ラヴィリス様いきましょうか」

 エスコート役は領兵長のフレディさんです。冒険者ギルドには普段から出入りしており、よく顔を知っているらしいので自ら志願してきた。


 ギルドに入ると、まさにそれっぽい雰囲気だ、厳つい冒険者が大勢いる。ちなみに私は屋敷の外なので姿を消して見守っている。さすがフレディさん、特別待遇で奥の部屋に案内された。

 ギルド長とその秘書さんが後から入ってきて、まずアイネちゃんに挨拶をした。

 さすが領主の娘だ!


 そして、今ある魔石を見せてもらう。どれも小ぶりの魔石で、さすがにこれでは使えないな。

 ギルド長が言うには魔石自体貴重なうえ、大きいのになると上位ランクの冒険者パーティーがごく稀に持ってくるぐらいのようだ。


 こういう困った時はカガミンの出番だ。


(アッシュベアの魔石を今から取りに行くのはどうでしょう?まだ消滅していないと思われます)


 おぉ!ナイスです!


 私は2人に外に出るように促した。

「確かに!今からでも間に合いますな!」

 フレディさんも賛同する。

「では今から兵団を組みましょう!」

 アイネちゃんも鼻息が荒い、だけど今回は時間を争う状況だ。

「いえ、今回は一刻を争います。私1人なら飛んで行けます!さっさと魔石を取って戻ってきますよ」

 アイネちゃんとフレディさんは顔を見あわせる。

「確かにラヴィリス様だったら可能ですが」

「でもお一人では危険ではないですか?」

 いやいや、1人なら隠蔽と阻害を使えるから逆に安全なんですけど。

「アイネ様、ラヴィリス様はお一人でも我々より強いと思いますよ」

 呆れた顔でツッコミを入れられていた。


 屋敷に戻ると、すぐにリマさんに私のドレスを出してもらう。そしてお弁当として私サイズのパンを用意してくれた、ありがたやー。

 アイネちゃんには課題として花薬瓶を渡しておく。

 それで薬草と水でヒールウォーターを沢山作るように言っておいた。本人は大喜びで頑張りますと息巻いていた。


 その日、私は再び静寂の森に戻るため飛び立った。

「どうだろう、1日で着くかな?」

(そうですね、夜には着くでしょう)

 久しぶりのカガミンとの2人旅である、道端の魔物とか無視して全速で飛行する。そして本当に夜に着いた、飛行速度も大分上がったようだ。

 私はまだ中に入らず大きな木の上で休憩をとり、明日の朝に突入することにする。

 お弁当のパンを頬張る。うん、美味い!


 夜の帳が下りていく。

 私は木の上でそのまま眠りについた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 貴重なアッシュベアの魔石をどうして、取らずに放置していたの?
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