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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
八章 絶海のアルカトラズ編
182/499

182.頭の中に響く声

「シャンティさん、テルーさんは大丈夫ですか?」

 私は筋肉痛用の膏薬を渡す。

「アリエッタが加減したから問題ないわ、でも1回の戦闘で1発しか撃てないね」

 良かった、再起不能とかじゃないんだね。


「魔法が来る!気を付けろ!!」

 突然ベルベレッサさんが大声をあげる。

 ディヴァイン・ガーターが魔法を構える。怪我をして弱っている人を狙うのは戦いの定石だが、逆にやられると物凄く嫌だ。


「アースウォール!」

 私がテルーさんとシャンティさんを囲うように壁を作りだす。

 だが難なく大地の壁を貫通して光が襲い掛かってくる。無慈悲だ・・・相性が悪すぎる。

「アイスミラーコート!」

 リプリス姫が防御魔法で光魔法を反射させる、

「ありがとう、リプリスさん!!」

 リプリス姫はVサインをして笑っている。こんな状況下でも明るい性格はありがたい。


(地魔法は物理的には強いですが、光魔法に対しては相性が悪いですね。私の反対面を使うといいですよ)

 カガミンが裏面の魔法反射効果を使えと言ってくる。


 ほとんど死に設定だったのに今更使えと?


「私の反射神経じゃ無理だよ」

 とてもじゃないけど、あんな早い魔法は私には捌けない。


『手伝ってやろうか?セルリスの娘よ』


 突然頭の中に声がする。

「危ないラヴィリス様!」

 アイネちゃんの声で我に帰り、私は急いで回避する。

「さっきの声は一体・・・?」

 アイネちゃんに聞いてみるが不思議な顔をされる。


『この気配・・・何とフィオルの娘までいるのか?』


 アリエッタも周囲をキョロキョロしている、しかし他の人には聞こえていない?どうやら私とアリエッタにだけ聞こえているようだ。


「アナタは一体?私達を知っているのですか?」

 誰もいないはずだけど尋ねてしまった、


『儂の名はクロノス、時の翁神と呼ばれておる。儂の拝殿で会ったが其方は気がつかなかったようだがの』


 クロノス?確か旧神といわれる神様だ。


『ふぉふぉふぉふぉ、久しぶりに儂の声が聞こえる者が来てくれて嬉しいのぉ』


 呑気なお爺さんの声が頭に直接響いてくる。だが今は絶賛交戦中だ、アリエッタも困惑した表情で私を見る、

「今はゆっくりお話している暇はないのですが?」

 声が聞こえてない皆からは不思議な顔をされる、


『なぁに、島で其方を観察して分かったが干渉魔法の才能があるからの、手を貸してやろうかと思っての』


 干渉魔法?何それ?

(理を無視して直接干渉する魔法の事です、神樹魔法がその例です)


『お主、錬金術で儂の理に抵抗する物を作っているであろう?』


・・・おお、時間経過鈍化のことか。


「アイネちゃん、申し訳ないけど私は一時的に戦線離脱します」

 話が長くなりそうなので、アイネちゃんの持つ私用のポーチに入り込む。

「えっ、あっ、ラヴィリス様?」

 困惑しているが有無を言わさない。


『なぁに、別に食ったりしたりはせん、そんな事したらセルリスに怒られるわ』


 呼び捨てにしている事から、セルリス様との付き合いがありそうだ。


『儂の力を持つ者は滅多にいないからの、嬉しくなってつい声を掛けてしまったわ。どうじゃ、儂の力を受け継いでみないかの?』


 受け継ぐとはどういう事だ?何をすれば良い?


『儂の孫になればよい』


・・・意味が分からない。


『・・・冗談じゃ、儂の本殿まで来て洗礼を受ければよい、今回は時魔法のはしりだけ授与してやる』


 私は急激に情報が入ってきた事により、物凄い頭痛に襲われる。


『使ってみて気に入ったらアルカトラズにある儂の本殿においで』


 ちょっと待て・・・痛っ!頭が割れるように痛い!


「ラヴィリス様!?」

 悶える私にアイネちゃんが心配そうに覗き込む、

「アイネちゃん、貴女は後退してお姉様を守って!一時的なもので大丈夫だと思うから」

 会話を聞いていたアリエッタがアイネちゃんに声をかける。

「はい!」

 そう言うと、私は大事そうに抱えられ治療をしているシャンティさん達の下へ向かった。


 後方に下がったと言ってもここは閉鎖された空間だ、確実な安全地帯がない。ディヴァイン・ガーターの位置を見ながら移動するしかない。

「ラヴィリス様はどうしたの?怪我!?」

 シャンティさんが覗き込む、

「だ、大丈夫です、色々あって、今は身体を慣らしている状態です」

 慣れてきたのか、さっきよりだいぶ楽になった。


「一体何があったのですか?」

 心配そうにアイネちゃんに聞かれる、

「えっと、時を司る神クロノス様の力が私の中に流れ込んできて、処理が追いつかなかったみたいです」


・・・理解不能が表情に出ている。


「時の神様・・・ですか、初めて聞きました」

 超マイナー神ですからね。


(・・・時魔法[仮]を授与されました)


 カガミンからアナウンスが入る、勝手に人にスキルをつけてどっか行ってしまった。

 それにしても[仮]って・・・


 まずは使ってみよう。カガミン、今使える時魔法は?

「スロータイマー!」

 カガミンからのリストは少なかったが初歩そうなのを使ってみる。


・・・ぐううっ、気持ち悪い。


 3秒程スローモーションになるが頭がグルグルして気持ちが悪くなる、魔力の消費が激しい。


・・・使い勝手が悪いぞ?燃費も悪いし、使い手がいなくて廃れる理由はこれか。


 でも上手く使えば強いかもしれない。






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