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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
八章 絶海のアルカトラズ編
179/499

179.海底地下大通路

 翌日の早朝、私達は出発する事にした。


 コテージの鍵を返し、遺跡の学校へ向かう。

「凄い、古代遺跡の建物が学校に・・」

 テルーさんは純粋に感動しているようだ。


 早朝なので誰もいない、私達は素早く先日の地下への入り口へ向かう。

「ここです」

 行き止まりの小部屋に到着、私は隠蔽の魔法陣を確認すると復活している。


(どうやら時間が経つと復旧する時限式制御魔法陣ですね)

 カガミンが説明してくれる。

「ならもう隠蔽魔法をかけてる必要はないですね」


 ハズリムさんとベルベレッサさんの2人がかりで地下への重い扉を開き中へ入って行く。

 長い地下への通路を進んでいく、すると広い空間に辿り着いた。


「これは凄いな」

 ベルベレッサさんが感嘆の声を上げる。

 島の地下にこんな巨大なトンネルがあるなんて誰も想像出来なかっただろう。


 私は線路の上に立つ。


 おそらく、電車が来た方向へ進めばアルカトラズに辿り着くだろう、だがここより先にも線路は続いている。

 こっち側への線路はクリストア本土へと続いているのだろうか?

 反対側を向く、両方とも果てなくトンネルが続いており、先は全く見えない。


「・・・お姉様」

「ええ、早速ね」

 空気の反応で探知できるのかアリエッタがいち早く反応する。

「皆さん、魔物です、構えて下さい!」

 反対方向から微かに羽音が聞こえる、

「軍団コウモリだ!」

 ベルベレッサさんが皆に警戒を促す、コウモリの大群が私達に向かって襲い掛かる。


 カガミン解析!



アーミーバット

種族:軍団コウモリ

LV:10 HP:29 MP:21

力:8 魔力:5 体力:5 知力:10 速さ:35 運:2

スキル:集団戦、吸血、毒爪、脱兎、


 弱いけど数が多い!


「私が行きます!炎装!」

 メアリーさんが炎を纏う、

「ファイアコート!」

 両腕から振袖のように炎が発せられる、それを纏ったまま回転する!


 ブワァ!


 火炎の振袖が軍団コウモリを襲う、回転させての範囲攻撃なのでかなりの数を減らせたハズだ。


 だが数はまだまだ沢山残っている!


 軍団コウモリは先程の攻撃でメアリーさんを標的にしたようだ、大きなウネリとなって襲い掛かる。


「ブライトライザー!」

 ベルベレッサさんの光魔法の剣戟が軍団コウモリを攻撃しメアリーさんを救う。

「筋はいいがムラが多い、範囲魔法は広く均一にしないと意味が無いぞ!」

「はいっ!」

 教えながらメアリーさんを助ける。


 どうしよう、今の私は地下で絶好調なので簡単に全滅させられそうなんだけど。


「ラヴィリス様?」

 動かない私をハズリムさんが不思議に思っていたようだ。

「いえ、ベルベレッサさんが教えながら戦っているので邪魔しない方がいいのかと思って」

 私の返答に呆れた顔をされてしまった。


「天空魔法、煌錯(こうさく)!」

 テルーさんの放った2本の弓矢の間に光の網が生じ、軍団コウモリを拘束する。

「アースピュラー!」

 それに連動してアイネちゃんが拘束した軍団コウモリに向かって巨大なハンコをスタンプする。


 グチャ!


 潰れたグロい音がする。それでもまだコウモリの勢いは止まらない。

「くそっ、数が多い」

 テルーさんが舌打ちする。


『リプ!』

「うん!」

 今度はフローネとリプリス姫の合体技だ!

 フローネが水を作りだす。


『いくよ!』

「アイスニードル・ガーデン!」


 水が一瞬で凍り、氷の刺が軍団コウモリに突き刺さる。

「むうう、選択ミス!」

 リプリス姫の頬が不満そうに膨れている、かなりの数を逃したのが気に入らないようだ。


「選択ミスではない。フローネは問題無い、リプリスの魔法の展開が拙いだけだ」

 ベルベレッサさんが冷静にダメ出しする、本人もそれが分かっているのかとても悔しそうだ。


「よし!私も!」

「ピィアッ!」

 アリエッタとプーちゃんが行こうするが私はそれをすぐに止める、

「あなた達は温存!出てはダメ!」

 行きたそうなのを窘める、これから死ぬほど働く事になるから!


「ふむ、数が多いのが厄介ですな」


 ハズリムさんが冷静に分析する。

「・・・ハズリムさんは出ないのですか?」

 私が尋ねるとにこやかに笑う、

「あの手の敵は苦手なのです」

 そんな胸をはって言われても・・・

「ふう、では今度は私が行きましょう」

 よし、今度は私の出番だ!


「アイネちゃん!」

「ラヴィリス様!?」


 私はアイネちゃんに作戦を耳打ちする。最初は驚いていたが楽しそうな表情になる。

「皆さん!伏せて、息を止めて下さい!」

 私が大声で指示する、


 パンッ!

 私達2人の柏手の音が響く、


「「花魔法、猛花毒の香!」」


 私達2人の花魔法の合体技だ、周囲一帯に猛毒の香が舞い散る。軍団コウモリの羽ばたきによる風で更に広範囲に広がっていく。


 バタバタとコウモリ達が地面に落ちていく。毒が効く相手って最高だ!



「ゲプッ!・・・残った毒は私が吸収しました。もう立ち上がっていいですよ」

 空気中に舞っている毒を吸収する、我ながら良い毒だ。


・・・少し酔っ払ってしまった。


 私の合図に皆が立ち上がる。

「これは毒なのか?」

 ベルベレッサさんが驚いている、何せ一網打尽だからね。

「アイネちゃんの華の香に花毒を合わせてみました」

 私とアイネちゃんがVサインをする、だけど全員がドン引きしている。私達はこのVサインをどうしたらいいんだ?


「な、酷くて凄いだろ?」

 ハズリムさんが唖然としていたベルベレッサさんに笑いかける、するとベルベレッサさんも納得したように笑う。

 何か酷い言われようだが、ようやく周囲はクリーンになった。

 縮小魔法をかけてもらい、全員がプーちゃんの背中に乗せてもらう。


「さっきのはおそらく序の口です、皆さん気をつけて行きましょう」


 気を引き締めて出発する。

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