16.街に出よう!
馬車の旅、まさにファンタジーの世界!!
私はアイネちゃんの家に帰るため、馬車に揺られています。
自分で飛ばなくていいのも楽チンだ。馬車内ではアイネちゃんの膝の上にいることが多いが、時々リマさんが何か恨めしそうにこちらを見ている。
・・・・まあ、見なかったことにしよう。
領都まで3日程かかるらしい。さっき野盗が出たみたいだけど、私の出番すらなく捕らえられてたよ。さすが領兵さんたちは強いね!あの死線をくぐり抜けたから強さに磨きがかかったようだ。
とりあえず途中の街に寄って、捕まえた野盗を引き渡すことにした。丁度いい機会だからこの世界の街を見て回ることにした。
アイネちゃんはどこぞの偉い人との面談のため一緒に行けず、今回のパートナーはリマさんです。
私はリマさんのエプロンのポッケにダイブしました。うん、異世界にてカンガルーの子供の気持ちを味わうことになるとは思わなかった。
エプロンのポッケにすっぽり収まっている私を見てリマさんはご満悦な表情をしている。
何かアイネちゃんに睨まられている気がする。
・・・見なかったことにしましょう。
こうして私の異世界初めての街探訪が始まります。
まずは市場へやってきた、見たこともない野菜からどこか既視感のある野菜まで色々ある。そう言えば私は今まで何も食べてないけど平気なんだよね?どうしてカガミン。
(ハイ、ラヴィリス様は地精吸収があるため大地から栄養分等は吸収できるので食事による補給を必要としません)
なるほど、超エコ体質なわけね!超便利!!
次に来たのは・・・民芸?の店ね。この世界の文化を教えてくれるのかな?
・・・人形のコーナーに来たけど、なんで?
「ラヴィリス様よかったら着てみませんか?」
はい?着せ替え人形用の服を着るの?
・・・私は辱めを受けました!!こんな場所で着替えさせるなんて鬼畜だ!!
そして、なんだってピッタリサイズなの!?誰か測ったの?
恍惚の表情のリマさん、この店にある服を全部買うの?誰かにプレゼントするのかしら?
えっ?私にくれるの?確かに可愛いらしい服だけど。
もっと可愛いくなる?もお〜仕方がないなぁ。
リマさんタイムを終え一息つく。ふと反対側の大きな建物に目が行く。
「リマさん、あの建物は何ですか?」
何かとても気になったので聞いてみる。
「あれは女神教会の聖堂ですね、そういえばラヴィリス様は大地母神様の御使様でしたね。寄っていきましょうか?」
「いいのですか?是非お願いします」
女神教会とは地の女神セルリスお母様含め、火の女神フレア、風の女神フィオル、水の女神エリエスの4姉妹の女神を祀る宗教の事でセルリスお母様は次女らしい。
教会内に入るとそれぞれ四つの祭壇があった。祭壇ごとに貢物などの格差があるぞ、なるほど宗派のシェアという意味がなんとなくわかった。
「あの、リマさん!セルリス様を参拝したいので列に並んでもらっていいですか?」
「はい、わかりました、並びましょう」
リマさんは膝をついて礼拝をする、私もそれを真似て礼拝をする、
「南無南無〜私は元気にやってます・・・と」
礼拝を終わらせて教会を出て行く、何も起こらなかったな、ここでセルリス様からメッセージとかあるかと思った。
(ここは女神の集合教会ですからね、セルリス様の神殿ならお声をいただけるかもしれません)
そうか、今度はそちらにも行ってみたいな。
一通り見回ったあと、本日泊まる宿に入る。さすが貴族!高級ホテルに泊まれるなんて最高だね!
これからこのホテルの迎賓室にいるアイネちゃんを迎えに行くというので私は再びポッケにインした。
アイネちゃんの美麗なドレス姿はまさに貴族令嬢だ、オーラが半端ない!でもなんか不機嫌だ?何かあったのだろうか?なぜかリマさんを睨みつけている。
「・・・楽しかった?」
んっ?どういう事?
「・・・はい、ものすごく!」
満面の笑顔で応えるリマさん、すると
「んなああぁ!私もそっちに行きたかったぁー!!」
あれ?先程の気品あふれるアイネちゃんはどこ行った?今の彼女はドレスのままベッドにダイブしてジタバタしている。
「はしたないですよ、お嬢様」
「いいのよ!今は私とアナタしかいないんだし!」
おーい、私もいますよー。
その後、普段着に着替えるアイネちゃん、何故か私まで着替えさせられた。
「リマ!!グッジョブよ!!」
・・・げっ、解せぬ。
その後、部屋に食事が運ばれてきた。街でも見てきたが異世界料理は美味しそうだ、私も食べれたらいいのに。
(あの・・・食べなくても生きていけるだけなので、食べてはいけないわけではありませんよ)
・・・あれ?食べてもいいの?




