145. 魔王レヴィアタン
なんだろう、体が重たい。
・・・私のバスケットの中に4人の妖精がすし詰め状態になっている。
「おい、なんで私のベッドに全員いる?」
寝ぼけ眼の3人を起こして問い詰める。
『ラヴィの側にいると調子がよくなる』
マーナは許す、私と同じ属性だから魔力の波長が合うから仕方がないのだろう。
『お姉ちゃん達と同じ匂いがする。だからラヴィリス様の事をお姉ちゃんと呼ぶ』
フローネ、きっと貴女は私より年上だよ。それに私は貴女のお姉ちゃんじゃないぞ。
「私だってお姉様と寝たい!」
アリエッタ、貴女はリプリス姫の側にいないとダメでしょ!ほら、リプリス姫が目覚めないでしょうが。
急いでアリエッタが魔力供給をするとリプリス姫がすぐに目を覚ました。
「おはよう」
爽やかな寝起きのようだ、順応するの早くない?
「今までずっと寝つきが悪かったからさ、すっごくいい気持ちなの」
やめなさい、そんな快眠法は体によくないぞ。
その後、朝食を食べて中庭に集合した。
ハズリムさんとアイネちゃんに神剣を渡す。
「生贄石とフローネの魔石を分離します。2人には生贄石の黒いモヤモヤを神剣で浄化し続けて下さい」
私はハズリムさんを見ると昨日は落ち込んでいたが、今は吹っ切れたのか表情は明るい。シェルさんを見ると上機嫌だ、この2人は本当にいい夫婦だと思った。
「ゴメスさんは結界をお願いします」
「ああ、任せてくれ」
ゴメスさんがハンズアップする。私は封印しておいた生贄石を錬金釜に入れて魔力を込める。
錬金釜から黒いモヤモヤが溢れて出てくる、禍々しく全てを飲み込むような黒い異物。
「ハズリムさん!アイネちゃん!」
2人が黒いモヤモヤに神剣をかざす、かき消されるように消えて行く。
「これは・・・思ったより魔力を食うな」
ハズリムさんが辛そうだ。
「アリエッタ!」
私が頼むとアリエッタがハズリムさんに魔力を供給する、本当に反則級の補助魔法だ。
((・・・感謝する))
突然、頭に響く謎の声がする。
((我が名は深淵の魔王レヴィアタン。凱旋王アトラスの娘よ、魂の解放感謝する))
・・・アトラスの娘?私が?
「ちょっと、どういう事?」
・・・私の声だけ虚しく響いた。レヴィアタンの声が無くなる、すると黒いモヤモヤは消え去り錬金釜の中にフローネの魔石とレヴィアタンの魔王核片が転がっていた。
私がアトラスの娘とか訳の分からない事を言うだけ言って去って行ってしまった。
「よし、これでいいでしょう」
フローネの魔石とエンゲージリングを融合させて完全体になった、マーナの時のように魔石のコアが壊れてないから上手くいった。
「これでフローネ自身で魔力を生み出すことが出来るはずです」
アリエッタに魔力供給を止めてもらう、
『おおおー!』
フローネがリプリス姫の周囲を飛び回る。
「改めて、フローネはリプリスさんの従魔になっても良いのですか?」
『うん!リプが良ければ!』
リプリス姫の肩に乗って見つめ合う、おまえら恋人同士かよ。
「改めて、よろしくねフローネ。必ず私がシャロ様と会わせてあげるからね」
エンゲージリングが光り従魔契約が成立した。これで一個仕事が終わった。
次は生贄石の件だ。
「まず最初に魔王レヴィアタンとアトラスについて教えてもらえませんか?」
そう言った事はシェルさんが1番詳しそうだ。
「そうね、まず凱旋王アトラスの件からね。1000年くらい前に実在した英雄とされているわ。クリストア王国が建国100年だから相当昔ね、本当に実在したかどうかもわからない伝説の英雄よ」
1000年!?そんな大昔の人なの?
「七つの神具をもって魔王と戦ったの。マキシム君と同じ名前の聖剣や学園地下でみた大戦斧がその神具の中にあるわ」
ラプトルとの戦いを思い出す。あの時私達は、アトラスの圧倒的な強さを目の当たりにした。
「さっきの魔王レヴィアタンを倒したのもアトラスの英雄譚の一つだし、暴虐の魔神マハザエルを倒したのは今も語られるお伽話として残っているわ」
・・・そうなんだ、どう思うカガミン?
(伝説の英雄なのは確かですが、ラヴィリス様と関係あるかどうかは不明です)
・・・そうだよね、私の母親はセルリス様なのは確定しているし、私は大地の結晶から生まれている。
「先程言っていた私が娘とはどういう意味なのでしょう?」
あの時のレヴィアタンの言葉の真意が読めない、眉唾物の話すぎて肩をすくめてしまう。
「もしそうなら大発見だけどね」
冗談ぽくシェルさんが笑う、あまり洒落になってないぞ。
その辺もレヴィアタンの魔王核片を調べればわかるのだろうか?
「さてと、私の魔力も回復したので何があったのか生贄石を調べてみましょうか」
ジオグラフィックバトンをすれば良いのだけど、私しか分からないじゃ困るな。
(いつものようにアイネさんかざしてもらえば鏡に映像が映りますよ)
・・・ほう、そんな事ができるのか。
「アイネちゃん、いつものようにコレを」
「はい!」
もう理由を言わなくもやってくれるのはありがたい。
「行きます、ジオグラフィックバトン」
私の魔力が魔王核片に流れ込む、私は目を閉じるとその情景が私に流れ込んできた。




