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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
六章 ハレルヴィ公国編
144/499

144.真夜中の女子会

「オーレン、やはりお前は・・・」

 ハズリムさんが力なく座り込む、異様な落ち込みようだぞ?


「・・・何があったの?」


 落ち込んでいるハズリムさんにシェルさんが優しく尋ねる。

「サンクリスでディルメスに言われた。クリストア王国でオルベア神聖同盟と繋がっておる者がおるとな。私は奴の戯言だと思って言わなかった。いや・・・言えなかったのだろうな」

 ハズリムさんが疲れたように語り出した、悲しそうに遠くを眺めている。


「クリストア王国の中にオルベア聖教と繋がっている者がいる、それがメルブラント家だと言っておった。その情報をリークしたのがアリアス王子で、王子は憂国の志士の盟主の1人だと言っておった」

 全員が静まり返る、ハズリムさんが力なく項垂れる。

 不意にゴメスさんがハズリムさんに近づいた、

「・・・言えないよな、それは。すまなかった、全てをお前1人に背負わせてしまったのだな」

 肩を優しく叩く、その姿を見て私は意を決して口を開く。

「私の魔法で過去の記憶を辿る事ができます、生贄石を記憶を辿って過去を知る事が出来ますが、過去を知る覚悟はありますか?」


 私の言葉に皆が息を飲む。するとリプリス姫がおもむろに口を開く、

「私はお祖父様には会った事はありません、なので残念ですがどのような方なのかは知るよしもありませんでした。ですが今、国は大きな岐路に差し掛かっているはずです、それがどんなに辛い過去でも私達は知らなければならないと思うんです」

 リプリス姫の言葉に皆が賛同する。


「・・・分かりました。今日はさすがに疲れたので明日の朝から取りかかりましょう。アリエッタ、負担になりますがリプリスさん達への魔力供給をもう一晩お願いします」


「はい。リプリスさん、もう一晩よろしくお願いしますね」

 するとリプリス姫も笑顔を返す、何か仲良くなっているんだけど?


「テルーは?今晩もどう?」


 リプリス姫のお誘いにテルーさんは大慌てで断る。

「そんな恐れ多い、今日は1人で自室で寝ます!じゃないと安眠できません!」

 テルーさん、最後の方は本音がただ漏れですよ。


 こうしてその日は解散となった。テルーさんはリプリス姫に引っ張られて部屋に連れてかれた、

「アイネ、貴女も!」

 リプリス姫は意外と積極的だ、アイネちゃんを掴むと離さない。私は巻き込まれまいとその場をそっと去ろうとする。


「ラヴィリス様、どちらへ?」


 リプリス姫が器用に私のスカートの裾を掴む。どうやら私も強制参加のようだ。


「パジャマパーティーよ!」


・・・リプリス姫、どこでそんな言葉を覚えた!?

 私はアリエッタを見る、すぐに顔を背ける。

・・・犯人はお前か!


「シェルさん、マーナのエンゲージリングを貸して下さい」

「嫌です」

・・・そんな疑うような視線を向けないで欲しい、そして一言目で断らないで下さい!

「いえ、女子会でマーナだけ仲間外れでは可哀想ではないですか?」

「女子会なら私も」


「「「・・・」」」


 女の子達の鋭い視線がシェルさんを射抜く。

「・・・冗談です、ちゃんと返して下さいよ」

 女の子達の圧に屈したシェルさんが引き下がる、去って行く後ろ姿が寂しそうだ。


『ラヴィー!』


 マーナが私に抱きつく、すると何故かアリエッタにフローネまで抱きついて来る。私は3人分の体重に耐えられず、もみくちゃになりながら転がり落ちた。

「ラヴィリス様!」


「アイネちゃんはダメ!」


 アイネちゃんも私に飛びつこうとしたので制止した。貴女が飛び込んだら私達は圧殺されてしまいます!


 結局私もパジャマパーティーに参加する事になり、寝巻きに着替えさせられた。

 ふと見るとアリエッタ達も私と同じような寝巻きを着ていた。尋ねてみるとタナさんが全員分用意したらしい、彼女の妖精への愛は相変わらず重い。


「でっ、アイネ、どうなの」

 すぐにリプリス姫がアイネちゃんにロックオンする。

「どっ、どうとは?」

アイネちゃんがしどろもどろになる。

「惚けるないでよ、ゼルとのことよ!昨日ハーシュ夫人とサシで相対したでしょ!どうなの、もう婚約したの?」

 リプリス姫がガンガン攻撃してくる。

「しししし、してませんよ」

 焦って否定するアイネちゃん、その様子が面白くて私もからかいたくなる、


「うふふ、モタモタしているとテルーさん辺りに取られちゃいますよ」


「なっ!?」

 からかいに巻き込まれたテルーさんの顔が真っ赤になり食ってかかってくる、それも面白い。

「ラヴィリス様、な、何を言い出すんですか!」


『そうそう、押せ押せじゃないとダメだってシェルが言ってたよ』

 マーナがシェルさんの恥ずかしい過去を暴露する。

「シェルっ!?シェルとハズリムの事か!?」

「もしかしてシェルさんから告ったの!?」

 リプリス姫とアリエッタが思いっきり食いついた。


『お姉ちゃんも言ってたよ、先手必勝だって』


 フローネのお姉さんって何者?

「ラ、ラヴィリス様もよく先手必勝と仰ってますもんね」

 アイネちゃんが息を飲む、真面目な顔で考えているが、勘違いも甚だしい。


「テルー!身分差なんて関係ないわ、チャレンジよ!」

 アリエッタがテルーさんを猛プッシュする、

「アリエッタさーまー」

 ついにテルーさんがアリエッタにキレた!?


「もしかして・・・テルーはゼルのことを!?」

 アイネちゃんが動揺している?

「ちーがーいーます!!」

 テルーさんがキレた、アイネちゃんが絞首刑にされる。おお、見事なチョークスリーパーだ!


『リプはいないの?』


 フローネが突然リプリス姫に話を振る、確かに王族なのだからいてもおかしくないが。

「いないわ、本当はサンクリス訪問で第5皇子のマルスとそうなるかもしれないという話だったけど、もう絶対に嫌よ!」

 確かに、見た目は皇子様でも中身は死霊使いって、とてもハードルが高いわ。


 コンコン、


 誰かがノックする音が聞こえる。


「何だろう?」

 テルーさんが出ると外で大きなお叱りの声が聞こえる・・・


「早く寝ろ!」


 すいません、夜中に大騒ぎしてしまいました。

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