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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
六章 ハレルヴィ公国編
137/499

137.あなたはだあれ?

「ハーシュさん、アイネちゃんを置いていきますからお好きにどうぞ。リマさん私達は行きましょうか」

 ハーシュさんにそう告げる、私は錬成を終えたのでこれから加工作業に入る。


「えっ!?」


 狼狽るアイネちゃん、

「あら、よろしいのですか?ではアイネさん、あちらでお茶などいかがかしら」


「えっ!?」


 アイネちゃんに焦りの色が見える。

「どうぞご教示お願いします」

 リマさん達が頭を下げる。


「えっ!?」


 アイネちゃんが泣きそうだ。

 私はゼル君にウインクしてその場を離れた、彼の複雑そうな顔に私はゾクゾクした。

「ゼル様の腕の見せ所ですね」

 リマさんが満面の笑みだ。彼女もなかなか腹が黒くなってきたようだ。


 さてとアクセサリーのアイデア会議だが、タナさんとカーリンさんにもアイデアを出してもらうことにした。

「さて、この宝珠を使って何を作りましょう」

 少し指輪には大きいサイズだ、指輪にするならもう少し圧縮しないといけない。


「髪留めなどはいかがです?リプリス様はいつも使われてますから」

 カーリンさんのアイデアだ。


「無くすといけないので指輪のような身に付ける物が良いのでは?」

 リマさんのアイデアだ。


「ならネックレスはいかがです?身に付けますし、隠す事もできます」

 タナさんのアイデアだ。


 私は悩んだ末に装飾品に新しくレパートリーを増やすべく指輪も含めて全部作る事にした。

「どうでしょう?」

・・・何故か3人共嬉しそうだ。

「いえ、貴女達の物ではありませんよ?」


「「「えっ!?」」」


 そんな絶望した顔をしないで下さい。

「っていうかリマさんマキシムのエンゲージリングがあるでしょ!」

「それとこれとは別です!」

 いえ、決して別ではないと思う。私は3人に諦めさせてリプリス姫の元へ向かった。


「リプリスさん、調子の方はいかがです」

 部屋に入るとリプリス姫とアリエッタ、テルーさんとシャンティさんが楽しそうに会話をしていた。

「ラヴィリス様!かなり良好です」

 リプリス姫はアリエッタのおかげで顔色も良く、体調も良好のようだ。

「アリエッタの方は大丈夫ですか?」

 私の時と比べたら魔力の消耗度は軽いようだ、笑顔を見せている。

「お姉様の大魔法に比べたら大した事はありませんよ」


・・・確かに、ジオグラフィックバトンの維持があれほど魔力を使うとは思わなかった。

 私の魔力に偏った能力でも足りないくらい消費した、やはり一撃攻撃してもらって帰ってもらった方が効率が良いみたいだ。


「さてと、いつまでもアリエッタから魔力供給してもらうわけにもいかないので解決策を考えてみました」

 私は特製の指輪、ネックレス、髪留めを出した。

「わあっ、綺麗!!」

 流石は女の子、目がキラキラしているわ。


「どれか一つ気に入ったのを身につけて下さい」

 3つの装飾品を見て、とても悩んでいる。

「テルーならどれがいい?」

 あらリプリス姫とテルーさんはいつの間にか仲良くなっているんですね。

「そ、そうですね、私はラヴィリス様にこれを作ってもらいました」

 プーちゃんのエンゲージリングを見せる。


「綺麗!とても深い青色・・・よし、私も指輪にします!」

 どうやらリマさんのアイデアが採用のようです。リマさんも自分のが選ばれてとても嬉しそうだ。

「ではタナさんとカーリンさん、貴女の達のは選ばれなかったのでこれらは貴女達にあげます」


「えっ!?」


 リマさんの顔が宝石以上に青い、世の中すべての絶望を集めた顔をしている。


「すごい!一生の宝物にします!」

「嬉しい」


 気に入ってもらって嬉しいよ。タナさんとカーリンさんには日頃からお世話になっているからお返しができてよかった。


 私はリプリス姫の指の大きさに合わせて加工する、3人は興味深そうにその作業を見ている。

「これを見てるとやっぱ私もクラフト系のスキル欲しいかも」

 アリエッタが呟く、

「私の錬金釜を貸すわよ、出来なくても使い続ければスキルが身につくみたい。アイネちゃんもそうだったからね」

 そう、アイネちゃんは花魔法を自力で身につけた凄い子なのだ。

「やっぱアイネって凄いのね」

 テルーさんが感嘆の声を上げる。でもこの年代のトップは間違いなくテルーさん、貴女だよ。


「さあ、出来たわ。リプリスさん付けてみて」

 指輪はリプリス姫の指にすっぽり入った。

「サイズは良いみたいね、じゃあ魔力を指輪に流し込んでみて」

「はい」

 深い青色の宝珠がほのかに光り出す。


「顕現します」


 宝珠から小さな人のようなモノが現れた、それはリプリス姫の手に乗るぐらいの小さな妖精だった。

 ストレートの青い髪が足元まで伸びてとても長い。大きい瞳に愛らしい顔、背中にはトビウオ?のような羽が生えている。


(間違いなく海の妖精ネレイスです。姿を見せるのは滅多にないのでとても貴重です)


 パシャ、パシャとカガミンからシャッターを切る音が聞こえる。一体どういう原理なんだろう。

 不思議そうに周囲を見渡している、そして私と目が合うと口を開く、


『・・・あなたはシャロ様?』


 いきなり訳の分からない事を言われた。

「い、いいえ、違いますよ」

 つい普通に答えてしまった。

『そう・・・』

 何か凄い落ち込まれた、

『あなたがシャロ様?』

 今度はアリエッタをみて尋ねた、いきなり話を振られてアリエッタは驚く、

「いっ、いいえ、私はアリエッタです」

 アリエッタの答えを聞いてとても残念そうにしている。



「ところで貴女は?」

 私の質問に彼女はキョトンとして首を傾げた。

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