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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
六章 ハレルヴィ公国編
133/499

133.海は人のテンションを狂わせる。

 海だー!


 真夏のような日差し!


 目の前に広がるオーシャンビュー!


 グランドルから船が来るのが明日に控え、私達は船が停泊する港街ツェークにやって来ました。

 本物のバカンスみたいになってきた。私達は迎えの船が来るまで自由だ!まさかこんな日が来るとは思いもしなかった。


「海!海!海に行きましょう!」

 アイネちゃんが今日も絶好調です、非常にアクティブです!


「私、海って初めてなんです!」

 ずっとアイネちゃんのターンです。


「見て下さい!水着ですよ!初めて買ってみたんです、すぐに着ちゃいましたよ!」


 もう着てるの!?ちょっと待て!ここで脱ぐな!リマさんやテルーさんによって何とか脱ぐのは阻止するが、アイネちゃんに歯止めがきかなくなってきた。


「・・・凄いな」

 ゼル君がアイネちゃんのハイテンションに驚いている、確かに知らない人が見るとビックリするだろう。彼女の本性を知る我々でもドン引きする時があるからね。


「アイネさんの教育はラヴィリス様次第ですから」

・・・うん?私次第なの?シェルさん何を言ってんのかな?


 という事でアイネちゃんに急かされて皆でビーチにやって来ました。

 アイネちゃんは惜しげもなく健康美を見せつける!

 流石は成長期だ、以前より間違いなく大きくなっている。

 テルーさんもスレンダーだけど出るとこは出ている。ちなみに私とアリエッタはマッチ棒です。ツルペタ幼児体型メイドのタナさんよりも何もないです。


「若いっていいわね」

 明らかにインドア派のシェルさんが海に来ている、珍しい事もあるもんだ。


「あら?シェルさん水着は?」

「私に着れというの?こんな貧相なおばさんを見て誰が喜ぶの?」

 目が怖い、そんなに怒らないでほしい。


「海岸でお酒を飲むお店があるのよ、冷えた果実酒を真昼間から飲めるの!」

・・・本当にダメ人間だ。


「お待たせ、シェル」

 後からシシリィさんがやって来た。どうやらシシリィさんと一緒に飲むようだ。おや、サティさんも一緒にいる。


「あら、ラヴィリス様も来るの?」

私を見つけ期待を込めた目で見る。

「いえ、私はお酒は飲まないですよ。というか飲んだ事ありません」

 以前も飲まなかった。そう言えば前世の時も飲まなかったなぁ。


「それは勿体ない、一回ぐらい試してみたら?」

「そうよねぇ、飲めそうな顔してるしねえ」

 飲めそうな顔って、そらは一体どういう顔だ?


 言われるがままに私は2人に拉致されてしまった。若い人達はビーチで遊んでいるからいいか。



「幽霊船!?」


 はい、フラグが立ちました!今度の敵はきっと幽霊船です。

 ビーチのレストランでお酒を飲んでいたら隣の席の会話が聞こえてしまった、やはり他人の会話なんて聞く耳立てるもんじゃなかった。


「幽霊船ですって、怖いわねえ」

 シェルさんが他人事のような口調だ、頬を紅くしながら次々とお酒を口に運ぶ。

「ハズリムさんが寄せるかもしれませんよ?」

 私も言われるままにキンキンに冷えた果実酒を飲んでみた。

・・・甘い!こんなに美味しかったんだ!


「いくらなんでもそれは大丈夫でしょう」

 シェルさんは本当に良い飲みっぷりだ。

「いいわあ、幽霊船、一回見てみたいわ」

 シシリィさんがお酒が入り、とても陽気になっている。


「あの、私も本当にご一緒していいんですか?」

 サティさんも一緒の席にいる。シシリィさんは明らかに口説こうとしている。私はシシリィさんのこういう所は物凄く好感がもてる。

「だってぇー、こういう席じゃないと口説けないじゃない」

 ほら、包み隠すつもりもない、駆け引き無しのストレートに言ってきた。

 シェルさんはダイスさんをゼル君が抜け駆けして勧誘してしまったからとても協力的で、余計なことは一切言わない。おそらく2人の間で裏取引があったのだろう。


 それにしてもお酒を飲んで酔うという感覚を私は以前から知っている。なんでだろう?

・・・そうだ!毒を吸収した感覚だ。つまりお酒は毒なんだ。あははは、なら大丈夫だ!


(ラヴィリス様、少し飲み過ぎでは?)


「あら、ラヴィリス様、なかなかの飲みっぷりですねえ」

 シェルさんは上機嫌だ。

「新しい仲間にカンパーイ!!」

 シシリィさんは上手く口説いたようだ。非常にハイなテンションになっている、

「だ、大丈夫か?ラヴィリス様、顔が真っ赤だぞ」

 サティさんは陽気な私に戸惑っている。


「大丈夫です!私は酔ってませんから!」

「ラヴィリス様が一番酔ってますって!!」

「うふふふ」


 自分でも分かる、明らかに収集がつかなくなってきた。


「あら!マキシム〜、貴方もどう?」

 私の目の前にマキシムがいた、私は極上のモフモフをさらにモフモフする。

「わたしも〜マキシムく〜ん」

 シェルさんも参加する。モフモフ地獄だぁ。


「あー!ここに居た!」

 ぞろぞろとレストランの中にアイネちゃん達が入って来た、どうやらマキシムは私を探していたようだ。

 その後、私はマキシムに抱きついたまま眠ってしまったようで、その場はお開きになった。


 翌日、私は清々しい朝を迎えた。


 お酒を飲んで直ぐに寝てしまった、お陰で物凄く沢山寝た気分だ。

「あら、元気そうね」

「シェルさん、おはようございます」

 シェルさんは相当お酒に強いようだ。私より沢山お酒を飲んだのに全然平気そうだ。

「おはようございますお二人とも」

 シシリィさんもやって来た。この人も同じくらいお酒に強いみたいだ。


「ラヴィリス様、ちょっと」

 途中でシャンティさんに呼ばれたので行ってみる、そこには二日酔いでダウンしているサティさんがいた。


「あ、あの2人は、怪物だ」

 サティさんがうわ言のように呟いている、あの後も2人に付き合って一緒に飲んだようだ。

・・・何か私にも責任がある気がする。


「すぐに二日酔いの薬を作りますね」

「感謝します!」

 そうして何とかサティさんは船が来る頃には復活することができた。


そして船が港に着いたと連絡が入った。


(ラヴィリス様、あらかじめ言っておきますが気をつけて下さいね。空の時と同様に海の上では大地から魔力を吸収出来ませんので)


・・・うん?



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