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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
二章 リントワース編
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13.アッシュベア戦その2

 覚悟を決めた!


 アースランスを2本出し、アッシュベアに向かって放つ。簡単に弾かれるが想定内だ、挑発するような飛び方で周囲を飛び回る。


 うふふ、ウザいでしょ。


 アッシュベアは乱暴に剛腕を振り回すが私は軽やかに回避しつつ魔法を放つ。

 ゲートキーパーの魔法弾乱射に比べたらスローモーションに見える。


「ほらほら魔法じゃなきゃ当たらないよ!」

 魔法を使うように挑発する。するとアッシュベアが魔法のモーションに入る。

 近くにいる兵士に合図を送ると、それに気付いて退避してくれる。


 ブワァ


 アッシュベアの周囲に風が渦巻く!私もギリギリで範囲外に脱出する。渦巻く風に煽られつつも一撃目をやり過ごした。


アッシュベア

LV:72 HP:940 MP:15/139


 よし、MPが5減ってる!あと3回使わせればいい。


 すると隊長さんが近づいてきた。

「助力感謝する、妖精殿!」

「時間がありませんから簡潔に説明します!もうすぐアッシュベアの魔力が尽きます。あの厄介な風魔法を封じたいんです」

 隊長さんは少し考えつつ私を見つめる。


「何か策があるようだな」

「・・・上手くいくかわかりませんがやってみます。皆さんは一旦引いて体力を温存しておいて下さい」

隊長さんは私の言葉に驚き動揺が隠せない。

「なっ!1人でやるつもりか!?」

「はい、あの熊に魔力を全て使わせたら貴方達の出番です、その時はよろしくお願いします」

 そう告げると私はアッシュベアに向けて飛んでいく。


 至近距離でストーンマグナムを放つ、この魔法は隙が少なくて威力もなかなかある。使い勝手が良くて、回避しながら攻撃をするのに適している。

 チクチク刺すような攻撃にアッシュベアはイライラが最高潮な達したようで再び魔法のモーションに入る。

「あと2回!!」

 我慢できずに風魔法を放つアッシュベア、私は余裕をもって回避し、そして再びベッタリ貼りつく。

 よし、だんだんとコツが掴めてきた。




 フレディは唖然としてその光景を見ていた、あの小さな体でどこにそんな力があるのだろうか。

 あの妖精に休んでいるように言われ、フレディは言う通りアイネ達のもとに戻ってきていた。

「ラヴィリス様・・・」

 心配そうな表情で呟くアイネを見た、短い間にいったい何があったか分からないが、頭が良く慎重なアイネが短期間でこうも慕っているとは。

 先程の口論で「光明」と言っていた、それはあのラヴィリスという妖精のことだろう。


・・・いや、おそらく普通の妖精ではないだろう。

 気まぐれで自分勝手な妖精族がこうも協力的なのはありえないことだし、自身を犠牲にするような行動など絶対にしないはずだ。


・・・何もかもがわからないことだらけだ、しかし今の状況で身を切る戦いをしている彼女を信じないわけにはいかない。

 我々にも出番があると言っていた、今はその言葉を信じ、体力を回復させることに専念することにする。




 高速の近接回避戦術は一番私に合っている戦いであろう、ほとんどの敵が私より大きいからだ。敵の体が大きければ大きいほど私に攻撃を当てられない。敵が私に攻撃を当てるとしたら方法はただ一つ。


『グアアァ!!』


 私は瞬時に距離をとる、範囲攻撃魔法は空振りする。

「あと1回!!」

 手を緩めないぞ!再びまとわりついてチクチク攻撃する。アッシュベアの怒りと焦りが手に取るようにわかる。

「どうだ!チクチク蚊の一刺し作戦は!」


(流石はラヴィリス様です、あと1回魔法を使わせたら次の作戦にいけます!)


「おっと、言ったそばから使いそうだわ」

 私は再び離れる。魔法は空振りし、虚しく土を巻き上げる。

「これでもくらえ!!」

 アッシュベアの魔法により巻き上げられた土に魔力を流す!

「アースソード・レイン!!」

 鋭い剣の雨がアッシュベアを襲う!逃げ場のない無差別攻撃にかなり被弾している。その隙に私は距離をとり隊長さん達のもとに戻る。


「俺たちの出番だな!どうすればいい!」

「トドメの準備をします!時間稼ぎと()()()()()()をつけて下さい!」

 そう指示するとリマさんのもとに行く。

「リマさん水筒袋を下さい!中身の水も全部です!」

 しかし思ったより重たくて持ち上がらなかった。するとリマさんは再び水筒袋を手に取り手伝いたいと志願してくる。

「私は戦力にならないので手伝わせて下さい!」

 彼女に危険なことをさせるのに躊躇する。


(協力者がいる方が早く準備が終わりますよ!)

 というカガミンの提案に協力をお願いする。


 草むらに着くと、リマさんにカガミンを持ってもらい花薬瓶を取り出す。瓶に水を入れ目の前にある草花を見る。

「花魔法、花毒の法!」

 花毒の法:無害な草花を有毒な草花に変化させる。


 何度も花毒の法を行い複数の有毒物質を作り花薬瓶に放り込む。

(鑑定・・・相当に強力な複合毒になります、皮膚からでも致死するはずです)

「リマさんは離れて下さい、猛毒を作るのでこの中和作用のある花を咥えてて下さい。あと鏡に私が映るようにして下さい」

 花魔法で抗毒化に変化させた花を咥えさせる。花を咥えたメイドさん、なんかシュールだ。


 よし!やるぞ!


 私は例の如く花薬瓶をシェイクさせる!


シェイク、シェイク、シェイク、シェイク、


 元々強力な複合毒なのであまりシェイクの回数は少なくて済んだ。私はその毒を水筒袋に入れて猛毒の水を作る。


「リマさん、作戦を皆さんに伝えて下さい!」

 離れて見ていたリマさんに指示をする。

「わかりました、どうぞご武運を」

 一礼して駆けていく。


 水筒袋は中身たっぷりでかなりの重量がある。


「よし!行こう!」


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