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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
五章 サンクリス皇国編
127/499

127.後の祭り

 ーーオルベア枢密機関ーー



「なんて事だ、アレは太古の大蛇神ヒュドラーです!なぜ伝説の怪物が・・・」

 オペレーターが恐怖で震えている。まさか、古代竜の大量出現と関連があるのか!?


「イデア・マザーより返答、0015と0019は現在翼竜と交戦中、0021は完全沈黙しました!0023は突然の地盤崩壊によって通信が途絶えました」


 なんだと、貴重な神の尖兵を2体も失っただと!?


「0015と0019がヒュドラーと交戦します!」

「映像を出せ!」

 巨大な多頭の蛇が破壊光線を放出発しながら襲いかかってくる映像が流れた。ここにいる全員が戦慄し、悲鳴をあげる者もいる。


「0019・・・消滅しました」


 ヒュドラーの集束光線が神の尖兵を貫く、モニターには何も映らなくなった。


「召喚の反応があります!そこから異常な高エネルギー魔力磁場が発生してます!」


「そこへ攻撃しろ!術者がいなくなれば召喚が解除されるはずだ!」

 光の多層魔法陣、その中心が七色に光っている。


「ダメです!捕まりました、攻撃がきます!」


・・・モニターには何も映らなくなった。

「・・・0015完全消滅」


 ガンッ!


 ホーリズは力の限り机を叩いた、

「サンクリス皇国は我々に対して秘密裏に戦力を手に入れていたようだな」

 ホーリズの後ろから教皇が呟く、

「すぐに調査団を派遣する準備をしろ!抗議の文書も用意させろ!」

 あってはならぬ事だ、秩序の番人たる我々への冒涜行為だ!


「抗議をするのは待ちなさい、まずは神の尖兵の回収が先です」


 ホーリズは教皇の言葉に冷静さを取り戻す、

「大至急0020と0034を送れ」

 不味いことになった、彼らにブラックコアを渡すわけにはいかない。


 後日


「0021はブラックコアのみを何者かによって回収されたようです、0023は未だに捜索していますが、地中の奥深くのゆえに表立って捜索ができませんでした」

 報告を受けホーリズは大きくため息をつく。


「奪われたのがサンクリス皇国なのが不味かった、彼らは我々を敵視している」

 報告に来たオペレーターがまだ何かあるようだ。

「じっ、実は古代竜の死体も行方が分からないのですが」


・・・もしかして魔石を利用する事を知っているのか?

 サンクリス皇国は現在、すでに国としてほぼ機能していない。憂国の志士という下賤な者共が国を裏から支配しつつあるという情報も上がっている。


「なんとも危険な兆候だ」

 ホーリズは苦虫を潰したような表情を浮かべていた。



 ーーサンクリス皇国北部管領統治軍ーー



「オルファス様、ディルメス様がご生還です!」

 サンクリス皇国第2皇子のオルファスは急いで迎えにいく。

「兄上!無事か!?」

 久しぶりの再会となった兄弟であるが、兄のディルメスの姿は衝撃的であった。顔の半分が焼きただれ、右腕は完全に破壊されていた。

『右腕はまだ治る可能性はあるが、右目はもう戻らないだろう』

 弟のマルスの姿をしているが中身は違うようだ。

「どうやら実験は成功したようだな、ネビルス殿でいいのか?」

 マルス皇子の姿をしたネビルスが頷く、後ろには両腕を無くした男がブツブツと何かを呟いている。

 変わり果てた姿だったがアーヴァント侯爵だ、どうやら精神的に壊れてしまったようだ。

「アーヴァント卿はどうする?治療は?」


『ああ、血を止めてあるだけだ』


 医療班を呼ぶとディルメスとアーヴァント卿は運ばれていった。

「貴方はどうする?足が折れているようだが?」

 するとネビルスはディルメスからの指示をオルファスに伝えた。


「空軍船の準備!皇都から出立する飛空船を発見し次第攻撃!!」


 オルファスの指示の下、北から空軍船が出立した。


 しかし後日、空軍船はハレルヴィ公国領内で行方不明になってしまった。




 ーーハレルヴィ公国ーー



「メーヴェル公、東部に墜落したのはサンクリス皇国所属の飛空船のようです」

 立派な顎髭をたずさえた壮年の男性が報告書に目を通す。


「・・・しかし、どういうことだ?なぜクリストア王国の王女リプリス姫が保護を求めているのだ?」

 男性は高身長で眼鏡をかけた執事に説明を求める。

「どうやら何か裏があるようです、同行者に剣聖ハズリム様御本人に、政治の叡智ゴメス様御本人までいるようです」


・・・嫌な予感しかしない、


「すぐに会う準備をしろ!最大限にもてなす準備をしておけ!」

「御意に」


 サンクリス皇国はキナ臭いとは思っていた、隣国だけに注視はしていたが・・・

「大変です!メーヴェル公に面会を!」

 廊下が騒がしい、

「どうした!?」

 その者は公国の諜報機関の者だ。


「サンクリス皇国が滅びました!」


・・・なんだと!?


「ベタスルール軍が北上して皇都を占領した模様です、さらに第2皇子のオルファスが新皇を名乗りサンクリス皇国の滅亡を宣言しました」


 まさか、全て仕組まれており、クーデターが起きたと言うことなのか?

 どうする、我国はサンクリス、ベタスルール双方と隣接している、戦争になれば真っ先に狙われてしまう。

 ならばクリストア王国にも恩を売った方が良いだろう、クリストア王国の姫君がいるのは正に何かが起きた証拠なのだろう。


・・・一体何が起きているのだ。


 見極めなければこの国も滅びることになってしまう。



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