表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
五章 サンクリス皇国編
123/499

123.乱入者

 ーーオルベア枢密機関ーー



「精霊女王イデア・マザーより入電、SCゲート付近より巨大な生態反応、古代竜です!」

 一気に周囲が騒つく。

「いかがいたしましょう、ホーリズ司令」

 ホーリズ司令と呼ばれた男は豪奢な法衣をひるがえして号令をあげる、

「0015と0019、0021、0023を転送しろ!古代種は人類の敵だ、殲滅しろ!!」


「精霊女王イデア・マザーへ発信、ゲートチェイサーを転送!1時間後転送完了します」


「ホーリズ枢機卿、久々の大物だ。魔石は必ず手に入れるんだ」

 ホーリズ司令は後ろから声をかけられた、

「猊下。ええ、勿論です。偉大なる尖兵として世界の為に必ずや手に入れましょう」

 猊下と呼ばれた男の口元の口角が小さく上がる。




 ーーハズリムーー



 ラヴィリス様が警戒していた2体目の翼竜がやって来た、もう少しで1体倒せそうなのに。


[[アリエッタ様、こっちに来てくれ!]]


 ゼルからの信号魔法だ、すかさずラヴィリス様が動いたようだ。

「暫しの間耐えるぞ!」

 私の声に皆が反応する。


「クルワアァァ!!」


 火炎弾が上空から降ってくる、

「大結界、地式光柵陣!」

 ゴメスが防御魔法で防ぐ、

「不味いぞハズリム、私の魔力が尽きて来た」

 確かに不味いな、このままではゴメスへの負担が大きすぎる。

「ハズリム様!とにかく剣の翼竜をやっつけましょう、ベリーサ様が上空の翼竜を牽制してくれるそうです!」

 アイネ嬢がマジックポーションを持ってきながら、提案してきた。

「私の持っていたマジックポーションもこれで最後です。きっとラヴィリス様が何か策を考えてくれてます、私達はやれる事をしましょう!」

 こんな状況でも逃げないか、ここにいる人間は誰一人諦めていない。


 ドスッ!


 上空にいる翼竜に何かが衝突する、


[[ラヴィリス様が引きつける、今のうちに倒せ]]

 ゼルから信号が来る、

「ハズリム様!!」

 アイネ嬢が私を見る、ここは一気呵成だ!


「総員、死力をつくせ!!」


 私達は剣の翼竜へ総攻撃をかけることにした。

 しかし剣の翼竜は老練な戦いを見せる、荒ぶる攻撃を仕掛けつつも視力を失った右側をフォローする、その動きはまさに歴戦の勇者だ!


 古代竜であれ尊敬に値する姿だ、私も全力をぶつけないといけない!

「私が行く、ゴメスよ後を頼む!」


 縮地で翼竜の懐に潜り込む、くらえ我が最強の奥義!


「千手波濤!サウザンド・レイヴ!!」


 幾重にも重なる波の如く連続の剣戟を振るう!

 敵の反撃も覚悟の上の戦術だ、剣の翼竜も私の狙いが分かったのか決死の反撃に移る!

 どれだけの剣戟を放っただろう、お互いにどれだけ傷を負っても止めることをしない、


 ザシュ!


 ついに剣の翼竜の剣が私の下腹を貫く。


「ギィアアアアァァ!!」


 それと同時に左翼腕が天高く吹き飛ぶ!

 私は激痛でその場に倒れ込む、トドメを刺そうと翼竜が立て直して右の剣を構える、


「おらあぁぁ!!」


 レアンが割り込みその剣を止める、そして双剣の利点であるもう一本の剣で腕の根本に刃を突き立てた。

「ダイス!行け!!」


 私は遅れてやって来たダイスに抱えられシャンティの元へ連れてかれた。


「もうっ!クソじじい!無理しすぎだ!」

 ええっ!?滅茶苦茶口が悪い!?私ってこれでも貴族よ?

 そんな事関係なしにシャンティは私を叱りながら例の回復魔法をかけてくれる。


「しかし、上手くいった」


 剣の翼竜を見るとすでに瀕死の状態だ!最後の足掻きで竜巻を起こす、


 ドオォォン!!


 何が起こったのか分からなかった、剣の翼竜がいきなり上空から何者かの攻撃を受けた?

 全員が上空に目を向ける、そこには黒い金属体が宙を浮いていた。


「・・・ありえない」


 何故ここに神の尖兵がいるのだ!?

 神の尖兵は2体おり、瀕死の翼竜に無機質で無慈悲な攻撃を延々と仕掛ける。


「なっ、なんて事を」

 あまりの惨劇にシャンティは目を背ける。

 これは死闘を繰り広げてきた戦士を冒涜する行為だ。これまでにない嫌悪を覚えた、このような不条理は断じて許せない。


 そして剣の翼竜は絶命した。


 神の尖兵はその死骸を回収しようとしている。私達はなすすべなくそれを見ていた、悔しさと納得できない複雑な感情を抱いていた。


「フルオオォォ!」


 そこに乱入したのが後からやって来た翼竜だ。

「いかん!離れろ!!」

 私が叫ぶと全員がその場を離れる。


 もう1体の翼竜と神の尖兵が戦い始めた。

「ハズリムさん!」

 ラヴィリス様とアリエッタ殿がこちらにやって来た、2人とも複雑な表情をしている。


「後からやって来て横取りされた気分ですね」


 戦いを見上げながらラヴィリス様が呟いた。何となく納得のいく答えだ、相手への敬意を抱きつつあっただけに尚更だ。

「仕方ありません。ゲートキーパーの狙いは翼竜の死骸です。あの翼竜の死骸を持って、私達はここから脱出しましょう」


 うん?・・・気のせいか?ラヴィリス様が悪い顔になっておられるんだけど?


 そう言うとラヴィリス様は手鏡に翼竜の巨大な死骸を収納してしまった、一体その鏡はどういう原理になっているんだ?

「さぁ!とっととこんな場所から出ましょう!」

 手をパチパチ叩きながら皆を撤退するように促す、後衛を見ると陣は既に片付けられており先に脱出しているようだ。


 何という引き際の早さなのだ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ