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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
五章 サンクリス皇国編
122/499

122.決死の追いかけっこ



「・・・来ますね」

 私は上空から来るプレッシャーを感じていた。

「ゼルさん!」

「はい!」


[[上空から敵がくる!]]


 的確な単語を選んで前線に信号を送ってくれる。


「クルワアァァ!!」

 予測通り追加でもう1体が上空からやって来た。


 でもどういう事だ?何故1体しか来ないんだ、私だったら総力でもって攻撃するのに。

「厄介ね」

 シェルさんが呟く、私も上空の翼竜を観察する。


・・・地面に降りてこない?

 それはそうだ、これがきっと翼竜の本来の戦い方だ。


「何とか地上に引き摺りこみたいわね」

 もしこのまま距離をとって攻撃されたら確実に負けてしまう。

「仕方ない、戦力を分けるしかありません。ゼルさんアリエッタをこちらに呼んでもらえますか?」

 本当は1体に集中攻撃して倒し切りたかった。仕方ないからこっちで時間を稼いでそのうちに倒してもらうしかない。

 ゼル君の呼びかけにアリエッタとテルーさんがあっという間にやって来た。


「はっ、早いですね」


 ちょっとビックリするぐらいの早さだ、

「はい、何か呼ばれると思ってこっちに向かってました」

 何か期待を込めた目で見られてい。

・・・テルーさんの腕を見るとあまり状態は良くないな。


「テルーさんは休憩です。タナさん、この膏薬を彼女の腕に塗ってあげて下さい」

「えっ、そんなぁ」

 今は気持ちがハイになっているから平気だけど、後からそのツケは必ずやって来る。

「貴女の出番はあります、それまで回復に努めて下さい、いいですね!」

 もちろん嘘だ。もう彼女に出番はない、テルーさんの将来の為にも大事にしないといけない。


「それで私は何をすれば良いのでしょう」

 アリエッタが期待を込めた目で聞いてくる。

「地上にいるアイツを倒し切るまで、私達で飛んでいるヤツの気を引きたいんです」

 そう言うと大地魔法と神樹魔法を使って即興で投石台を作る。


「あっ、パチンコですね!」


 パチンコを知っているのか、アリエッタも転生者という可能性が高いな。

「多分これでは飛んでいる翼竜に届かないと思います。アリエッタの補正で何とかなりませんか?」

 こればかりはやってみないと分からない、別にこれで倒さなくてもいいんだ、気を引けば成功だ。


 陣から離れた場所に大型パチンコを用意した。土台は土で作り、ゴムは神樹魔法で根っこを変形させた簡易な物だ、何とかこれで上手くいって欲しい。

「お姉様、もう少し上です、はい、それくらいで」

 アリエッタの指示で土台を調整する、弾の岩をセットする、

「タイミングは任せる」

 ここはアリエッタに委ねるしかない、しばらく間がある。


 その間に翼竜は前線にいる人に向けて火炎弾を放っているのが見えた、

「はいっ!今です!!」

 私はその指示に合わせて弾を放つ、すると突風のような追い風がおこった。


 ドスッ!


 おお、凄い、見事に命中した。こっちに気付いた!


「よし!逃げるわよ!!」

「へっ?」


 突然の私の発言に驚くアリエッタ、

「何してるの!早く逃げないと食べられちゃうわよ!!」

 呆気に取られているアリエッタ。

 私は言ったはずだ、時間を稼ぐと。


「クルワアァァ!!」


 怒った翼竜が私達に向けて飛んできた!


「ひいいいいい」


 ようやくアリエッタが事態を把握したのか、大きな光の羽を展開した、

「いい!お互いにフォローし合いながら避けつつ攻撃するのよ。出来るだけ挑発して怒らせて!」

 私も逃げながら指示をする。先にアリエッタが狙われる、そりゃ悲鳴をあげながら逃げれば目立つよね。

「そりゃ!サンドブラストだ!もっと怒れ!!」

 私は翼竜と並列に飛び、精一杯挑発しながら目潰しの砂を沢山プレゼントした。


 ついでに解析してやる!


プテラノ・ステルンベルギメス

種族:翼竜(恐竜)

所属:天宮城シャングリア

LV:84 HP:2115/2120 MP:459/459

力:96 魔力:158 体力:145 知力:132 速さ:562 運:41

スキル:

ブレス、滞空戦、飛行能力、竜鱗、集団戦、

魔導弾、嵐龍魔法、魔力自動回復、治癒魔法、


 おおう、思いっきり魔法振りのステータスだ。治癒魔法まであるぞ!だけど生存本能がないから戦い易いかもしれない、おや?名前がちょっと違うぞ、ステルンベルギメスって1番後ろがメスってことはコイツは雌なのかな。


 翼竜は標的を私に変えて襲い掛かる。火炎弾なら避けられるが広範囲のブレスは気をつけないといけない。

 1番の最悪はこの翼竜の持つ治癒魔法で、せっかく削った翼竜が回復することだ、出来るだけ引き離さなくてはならない。


 ブワッ!


 風が渦巻くのを感じる。いけない、これは嵐龍魔法だ!巨大な風の圧縮弾が私に襲い掛かる。


「風よ!」


 アリエッタが割り込み軌道を変えてくれる、すると今度はターゲットをアリエッタに変えた。

「ひいっ!」

 風属性魔法が効かないと思ったのか火炎弾を放つ。


「右に避けて!」


 私がそう言うとアリエッタは指示に合わせて右に避ける、翼竜もアリエッタと同じ軌道で追いかける。

「そのまま壁沿いに飛んで!」


「はいいいい」


 アリエッタと鬼ごっこしていて気付かなかったようだ、壁沿いは土だと言うことを!

「いっけぇ!ガイアインパクト!!」

 私は誘導さた先に回り込み、壁を振動で地崩れさせる。


「駆け抜けて!」

 アリエッタを通過させて翼竜だけ地崩れの中に閉じ込める。


「グルワアァァ!」

 翼竜は自身もダメージをうける事を前提にブレスを吐いて脱出した、


「くぅ、手強い!」

 あのまま埋まってくれたら飛行能力を奪えたかもしれないのに。

 んっ?翼竜の様子がおかしいぞ?

 翼竜の視線のその先を見る。その先に、ここにいてはいけないモノが見えた。



「なんで、ゲートキーパーがここに!?」



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