12.アッシュベア戦その1
体の大きな魔獣はしつこい!
アッシュベア
種族:キリングベア変色種(凶化熊)
LV:72 HP:1829/2040 MP:41/139
力:149 魔力:32 体力:201 知力:25 速さ:141 運:52
スキル:
風魔法、剛腕、爪撃、タフネス、魔法耐性、
物理耐性、憤怒、咆哮、
なっ、なんてヤバいヤツだ!
「アイネお嬢はここから離れてくれ!」
隊長さんがアイネちゃんを逃そうとする。
「嫌です!!」
やはり拒否すると思った。一緒に過ごした時間は短いけど、なんとなく予想はできた。
「ようやく光明が見えたのです!私達の未来には貴方達も必要なんです!」
頑なに動こうとしないアイネちゃん、隊長らは何とか説得しようとするが敵は待ってくれない。
私は姿を消しつつアッシュベアの死角に移動して最大威力の魔法を準備する。
「アースランス装甲弾!!」
何もない死角からの魔法攻撃の不意打ちだ。食いしばることも避けることも出来ずに直撃した。
『ガアアアァ!』
先制攻撃は成功した!本当は右目を狙ったが、野生の本能なのか一瞬の反応で避けられた。
その場にいた人すべてが虚をつかれた、突然の魔法攻撃に何が起きたか理解が遅れる。
「ラヴィリス様!」
アイネちゃんは私が先制攻撃したことを理解した。
私は攻撃の手を緩めない!高速飛行で近くの木々を触れる。
「皆さん、アッシュベアの動きが一瞬止まります!攻撃の準備をして下さい!」
アイネちゃんが私の意図に気付きすぐに指示を出す。
私の神樹魔法に反応した木々が根や枝を動かしてアッシュベアに絡みつく。
何が起きたか分からず身動きが取れずにいる兵士達。それを横目に誰よりも早く隊長さんとアイネちゃんが行動に移す。
アイネちゃんと隊長さんの攻撃が始まる。
「ストーンショット!」
「剛剣技ブレイクザッパー!」
ここで隊長さんの剣技がクリーンヒットする、なるほどHPが減っていたのは彼の力のようだ。
私も負けてられない。地面スレスレを飛行し、土を集め硬く固めていく。
「アースピュラー!!」
私の魔法に引き寄せらて、土の柱がどんどん大きく硬くなっていく。私の姿が見えないので、大きな柱が自分で飛んでいるように見えているだろう。
「ふーきーとーべー!!」
高速飛行のスピードに乗せた柱をアッシュベアの顔面に衝突させた!轟音と共に柱は砕け土煙が舞い上がる。
私は隠蔽をやめてアイネちゃんの肩に乗って息を整える、思った以上に体力が削られたようだ。
「ラヴィリス様!やりましたね!」
嬉しそうに私に語りかけてくる。周囲の人々は私を珍獣を見るような視線を向けてくる。
あぁ、そういう視線はカンベンして欲しい。
「まだ終わってませんよ。体の大きな殿方は、とてもしつこいようですから」
警戒を解かないように土煙の先を見つめる、先制攻撃で半分くらい削られたら上出来だろう。
風が舞い上がる、アッシュベアの風魔法だ。
『ガアアアァァァァァ!』
咆哮だ、兵士達の足がすくみ動きが止まる。
憤怒の表情でこちらを見据え品定めしている、そして私という敵を認識したようだ、真っ直ぐ私を見据えている。
アッシュベア
LV:72 HP:965/2040 MP:26/139
よし!予定通りダメージが入ってる。
普通ならアッシュベアのスキルのせいで攻撃が通り難いはず、不意打ちで半分まで減らせたのは大きい!
「ストーンマグナム!」
試しに撃ってみると避ける仕草もなく弾かれてしまった。タフネス、魔法耐性、物理耐性、なんて反則的なスキルトリオなんだ!!
アッシュベアがその場で爪を振る!風魔法をまとった斬撃となってこちらに襲いくる!
「ストーンシールド!」
「アースウォール!」
私とアイネちゃんが防御壁を作る。しかし完全に防ぐことはできず破壊されてしまう。
更にアッシュベアは間髪を入れず巨体を躍動させて一瞬で間合いを詰め、凶悪な物理攻撃を繰り出そうとしている。
1人の兵士が足がすくんで動かなくなってしまい、その凶刃を受けてしまった。
鮮血が飛び散り無残な死骸が原形を留めず散らかる。恐怖がこの場に蔓延する。皆の足がすくんでしまい動きが止まってしまう。
私は不屈の精神のおかげですぐに動ける。不味いと思い再び魔法を練って土を変形させる!
「アースソード!」
鋭い剣状にした土を操りアッシュベアに攻撃する。
打撃がダメなら斬撃だ!という安易な考えだったが上手く行った。剣は折れてしまったが刃傷をつけることはできた。
しかし接近したのは失敗だった、私はアッシュベアの魔法範囲内に入ってしまった。
『ガアアア』
風魔法により風が巻き上げられ、私は勢いよく吹き飛ばされてしまった。激しく地面に体を打ちつけられ激痛で体が動かない。
すかさずアッシュベアが追い討ちをかけようと地面を蹴るが、隊長さんが横から攻撃して妨害してくれた。
動けない私は隠れていたリマさんに拾われた。優しく抱えられてアイネちゃんのもとに運ばれた。すかさず治癒魔法をかけられ痛みが和らいでいく。
「こんなに小さな体で・・・」
私を抱えているリマさんが泣きそうになっている、ここは痛いけど平気アピールをしておく。
動けるくらい痛みがとれたので自分で治癒魔法をかける、思考もクリアになってきたのでアッシュベアを観察する。
厄介なのが周囲を攻撃する風魔法だ、アレなら的の小さな私にも攻撃が当たる・・・ふと思う。
「カガミン、MPがなくなると魔法は使えなくなるものなの?」
(ハイ、使えなくなります。再度使う場合は十分な休憩が必要となります)
アッシュベア
LV:72HP:942/2040 MP:20/139
あと20・・・やってみる価値はある気がする。
今回、私は1人で戦っているわけじゃない、トドメまで全部1人でやらなくていいんだ、傷付けば誰かが庇ってくれるし回復もしてくれる。
本来の私のやり方を思い出すんだ。
覚悟を決めた!
「やってやる!」




