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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
五章 サンクリス皇国編
114/499

114. 滅亡の魔法

 ディルメスはとんだサイコパス野郎だった。


「貴様らは何があっても許すわけにはいかない」

 ハズリムさんがソハヤを持つ、

「危ない!」

 私はアースウォールで上空からの攻撃を防ぐ、何故か上空で翼竜と戦っていたピースメーカーがここにいる。


「くそっ!やってくれたな!」

 ピースメーカーがこっちに来たということは相手をしていた翼竜もこっちにやってくるということだ。


『丁度いい、コイツの死骸も頂こう』


 ネビルスが翼竜のゾンビで攻撃する、

「いいね先生!僕もコイツの魔石を頂こう!」

 大鬼に命じてバルデンも翼竜に攻撃する。

 ここで私は迷ってしまった。ディルメスを放っておくことはできない、更に翼竜を倒さないといけない、尚且つアイツらに死骸と魔石を渡したくない。


(ラヴィリス様、落ち着いて下さい。魔力の消耗が著しいのでまずは回復に努めて下さい)


 こういう時にカガミンは冷静で助かる、

「アイネちゃん、皆さんにマジックポーションを、私も回復に努めます」

「はい!」

 ハズリムさん達に前線は任せ、私は回復のため一旦後退する。


 カガミン、アイツらをまとめて一気に倒す魔法ってある?


(二つ提案します、一つは深層ログを辿った召喚魔法です、もう一つが隕滅魔法です)


 隕滅魔法?ちょっと見せて・・


・・・うわぁ、隕石を落とすって、この皇都ごと消滅しちゃうんじゃない!?


(隕滅魔法は規模の調節が可能です、そして大地魔法を使える人間がいるのでシェルターで防御できると思われます)


 確かに、これなら一撃で全滅させることが出来るかもしれない。

「ゴメスさん、ちょっといいですか?」

 ゴメスさんを呼ぶとシェルさんやシシリィ夫人達もやって来た、とりあえず今のカガミンの提案を伝える。


「隕滅魔法は伝説上の滅亡の禁術です、正直言って私の魔法で皆を守る事ができるかは甚だ疑問ですな」


 私だってそう思うよ!でもカガミンが可能だって言うからさぁ、

「・・・大地魔法は究極の物理防御を持つ魔法です。私も威力を調整するつもりですし、ゴメスさんの結界魔法と合わせればいけると思うんです」

 ゴメスさんの不足している魔力はアリエッタに補ってもらいつつ、ゴメスさんが結界を展開して隕滅魔法をやり過ごしてもらう作戦だ。


「アナタ、1番の見せ場じゃない!カッコいい姿を見せて下さいね」


 シシリィさんが満面の笑みでゴメスさんの腕をとる、彼女の度胸は大したものだ、しかし当の本人は顔が引きつっている。


「リプリスさん、貴女は私を信じてもらえますか?」

 会議に参加していたリプリス姫に聞いておく、彼女も覚悟を決めた顔でしっかりと頷く、

「サティさん、アリエッタの元に行って今の概要を伝えて下さい、作戦の重要な鍵になります」

 同じく会議に参加していたサティさんにお願いする、

「ええ、分かったわ。前線で戦っている奴らにも伝えておきます」


「私とゴメスさんの準備が少し時間がかかります、それまでバレないように敵の注意を引き付けて欲しい、なのでギリギリまで粘ってもらいたいんです」

 おそらく私の方が魔法の展開が早く終わるだろう、ほとんどカガミン任せだし。

「私は上空からなので確認できます。ゴメスさんが魔法の展開をして避難したら私が起動する形にしましょう」

 ゴメスさんに確認する、ようやく腹を括ったのか力強く頷いてくれた。

「それでは、皆さんよろしくお願いします」


 戦場での簡単な作戦会議を終え、それぞれの役目の為に解散した。


 私は隠蔽を展開し、ドームの最上部まで飛んで行く。

「カガミン、魔法の構築は大変そう?」


(今のラヴィリス様のレベルなら問題ありません、1番の問題は少々時間がかかるので途中で邪魔が入らないことですね)


 初めての魔法だから緊張するけどやってみよう、私はカガミンの指示に従い魔法陣を展開する。

 ここで隕滅魔法について説明する、隕滅魔法は大地属性魔法の中でも最上位カテゴリーに入る大魔法だ。

 本来は地上に作った魔法陣座標に、宇宙から隕石を引き寄せるというとんでもない魔法だ。

 今回は擬似隕石を魔法で作り出して墜落させるという事で、本来の破壊力は出せないが威力を調整できる。

 私は擬似隕石を作るためにドームの天井に空いた穴の中に入り魔法陣を展開する、そこに核の魔石を入れると次々と核に向かって土が集まり出した。

「ここに硬質化の魔法を重ね掛けするのね」

 次々と集まる土を硬く踏み固めていく。


(後は重力加速層と座標層を形成すれば完成です。擬似隕石が大きくなれば発射可能です)


 重力+速度+高さ=威力という多層魔法陣の完成だ、隠蔽で隠してあるけど多層魔法陣は壮観だな。


 一方、前線では三つ巴の戦闘になっていた。


 私はサティさんにダイツーレンをアイネちゃんに渡すようにお願いした、どうやら無事に手渡したようだ。

 おそらく神剣はピースメーカーにも有効だ。アイネちゃんが前線に向かっているのが見える。代わりにアリエッタとテルーさんが後退していきゴメスさんと合流するのが確認できた。

 ゴメスさんも作業に取り掛かっている。シシリィ夫人やシェルさんがゴメスさんを隠すように支援する。


 みんなが頑張っている、ゼル君もシャンティさんもダイスさんも戦っている。


 状況としては翼竜がゾンビと大鬼と交戦しており、ハズリムさん達の相手をピースメーカーがしている。

 やはりピースメーカーにも神剣がきくようだ、上空からでもハズリムさんやアイネちゃんが活躍しているのが見える。

 ディルメスらは遊んでいるのか私がいないことを全く気にしていないようだ。


 私は一足先に準備が整った、見ているだけというのは正直言って辛い。


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