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精霊女王と呼ばれた私の異世界譚  作者: 屋津摩崎
五章 サンクリス皇国編
105/499

105. 大きい顔をしていられるのも今のうちだからな

 とりあえずアイネちゃん達に何があったか聞いてみた。

 やはり皇太子ディルメスが黒幕のようだ、ディルメスの腹心が呪術師バルデンであったこと、第5皇子のマルスの身体を厄災の死霊使いネビルスが乗っ取り復活したことを知らされた。


 ここにいる皇国の大臣達は頭を抱えている、このままでは国が滅亡してしてしまうから仕方のない事かもしれない。

「ディルメスの狙いが地下にある古の神兵?何ですかソレは?」

 つい聞き返してしまった、

「それが何かはわかりません、ただソレを起こすのにアリエッタ様が必要だと言っていました」

 私達のようなスプライトの力が必要?思い当たるふしがない。


「リマさん、マキシムはどうですか?」

 首を横に振っている、どうやら感知範囲外のようだ。

「マーナ?聞こえる?」


『・・・・』


 マーナにも通信出来ない、どうなっているんだ?


(地下深くに何らかの不干渉領域が存在しているようです)


 不干渉領域か、何か嫌な予感しかしない。

・・・おや、シェルさんが黙ってこっちを見ている。


「・・・あっ、忘れてました」


 シェルさんにマーナのエンゲージリングを返すのを忘れていた。

「このまま借りパクされるかと思ったわ」

 本当に失礼な事を言う人だ。


・・・シシリィさんが黙ってこっちを見ている、圧が凄いぞ、

「・・機会があればシシリィさんにも作りますね」

 私は圧に負けた、

「あら〜、催促した訳ではありませんのに〜」

 よく言うよ!ゴメスさんを借りる手前、無碍にできなかった。


「とりあえずアリエッタさんはハズリムさんが一緒に行動しているから大丈夫でしょう。まずは生きている人の避難が先決です」

 私はサティさんが持つ地図を見せてもらう、

「この場所に皇都の外に出る通路があります、奴らの縄張り外に通じる道が掘ってあるのでそこから脱出して下さい」

 私達がやって来た道を細かく教える、地図にない部分まで道筋を書いておく。


「本当かいシャンティ」

「ええ、脱出すると近くに魔導列車があるからそれでベタスルール王国に避難できるはず」


・・・どうしよう、派手に盗んできたことを言えないでいた。


「ラヴィリス様、どうかしました?」

 私の顔色が悪いのにアイネちゃんが気づく、

「・・・実は、その、あの」

 歯切れが悪いながら駅を破壊して拝借した事を説明した、全員が絶句している。


「・・・強盗ですね、ソレ」

 シェルさんが残酷な真実を告げる、

「わっ、私の姿は見られてないので大丈夫ですよ、ただ向こうに着いた時に犯人にされない様に気をつけて下さい」

 私は目を逸らすが冷たい視線が刺さるのがよく分かる、

「・・・何とかなりませんか?」

 すがる様にシェルさんを見る、溜息を漏らしながら皇国の人を見る、

「右大臣様、非常事態なので向こうで説明してもらえませんか?」

 皇国の人は右大臣でしたか、突然話を振られて驚くが真っ先に自分が脱出できる事を悟るとすぐに快諾した。


「さてと問題解決ですね、後はお願いします。私は一回地上の様子を偵察に行ってきますね」

 私は逃げるように地上に向かった、後ろで無責任とか、全然解決してない、とか言われているけど聞こえません!


 皇宮から地上に出て皇都を見る。


 到着してすぐにベタスルール王国に向かったので街並みを見る機会がなかった。飛行船で上空から見た時はとても発展した都市だと思っていた、今は見るも無残な姿に変貌していた。

 さらに進んでいくと、中央広場にある巨大な時計塔に恐竜はいた。


(解析すると感知されるかもしれません)


 カガミンが警告してくれる、昔それで痛い目にあってるから分かってるよ。

「どれだけの人が犠牲になったんだろう」

 食べられた後だろう残骸が落ちている、やるせない思いに駆られる。

 きっとゲートを使えば恐竜は追ってくることは出来ない、だけどゲート以外で脱出すると今回みたいに恐竜は追いかけてこれるんだ。だから私達はゲートを使って脱出しないと駄目だったんだ。


・・・だけど私はアリエッタを責めることはできない。


 私でもあの時手を差し伸べてくれたら喜んでその手を握っていただろう、それだけ追い詰められていたのを私も覚えている。


 我がもの顔で営巣し始めている恐竜を見上げ憎々しい感情がこみあげてくる。

「大きい顔をしていられるのも今のうちだ、私達は負けないからな!」

 私は巣の中を見るため時計塔を上ることにした。

 巣の中は木などを使っており鳥の巣と酷似していた。動かない個体が2体いる、他の3体が巣の材料を運んできている。


「産卵しているの?」


(断定は出来ません、その準備段階と見た方が正しいかもしれません)


 こんなところで産卵なんかされたら困るぞ、そんなことになったら国どころじゃなくて大陸中の危機だ。

 だけどこの状況は使えるかもしれない、集団行動はするけど巣の材料を取りに行くときは単独行動をしている。

 私は単独行動している恐竜の行き先を確認する、偵察を兼ねているようで北、南東、南西に別れている。奴らの行き先で待ち伏せすれば1体ずつ地下に引きずり込めるかもしれない。

「カガミン、どっかに地下に広い空間はある?」

(北に向かった恐竜の方面にドーム状の空間があります。北側の地下には生存者が数名いるようですね)

 地道に1体ずつ倒していこう、それに戦えば相手の強さも知ることができる。



「よし、戻ろう」


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