10.レッツ!シェイク!シェイク!!
アイネちゃん15歳!伯爵令嬢、異世界人の女の子はとても発育が良い!
さあ、怪我人の女性を見てみよう。顔色が悪く、明らかに毒の症状がでている。
お医者さんじゃないのでわからないけど、出血も酷く服が血で染まってる。・・・ん?よく見たらこれはメイド服!?
リアルでガチなメイドだ!凄い、初めて見た、実在するんだ。
(ラヴィリス様?早くしなくては本当に死んでしまいますよ?)
分かってるって・・・あっ、ちょっと待って。
「リマ!今、治癒魔法をかけるから!」
メイドさんはリマという名前なのですね、そしてアイネちゃん優秀!治癒魔法が使えるのね!
「あ、あれ?血は止まっているのに」
確かに血は止まっているけどリマさんは苦しそうにしている、アイネちゃんが戸惑っている。
どうして?カガミン教えて!
(ハイ、彼女の治癒魔法では傷口は癒しますが、体内にある毒は消えません。本来なら毒を排出してから傷口をふさぐべきでした)
あちゃ〜焦って順番を間違えてしまったか。どうしたらいいんだろう?
(薬の投与による浄化処置しか手段がありません、出血量が多くてもう毒の排出は不可能でしょう)
よし、「薬聖」ラヴィリスの出番だね、カガミンやり方教えて!
私は花薬瓶を取り出した、フォレストウルフの死体から毒の素である血を摘出、彼女らが持つ傷薬を拝借、ついでに水筒の水も貰う。それらを花薬瓶に入れた。
「言われたとおりに入れたよ、これでどうするの?」
(・・・花薬瓶のフタをしっかり閉じたら振って下さい)
「振るの?まんまシェイカーじゃん」
(ワタクシが鑑定していますので良しと言うまで振り続けて下さい)
嫌な予感しかしない!身長15cmの私より大きいシェイカーを振るの?中身が入ってるんだよ?かなり重たいよ?
・・・あっ、そうだ!
(彼女がやっても、薬聖のスキルを持っていないので薬にはなりませんよ)
先回りされた!?夢も希望もないじゃないか!
覚悟をきめてアイネちゃんに説明し、協力してもらうことにした。
「えっとアイネちゃん、今からお薬を作るので、この鏡を私の方にずっと向けてて欲しいのですが」
突然、私に指示されてびっくりしたアイネちゃん、一瞬考えこむも意を決して口を開く、
「あ、あの、助けていただけるということでしょうか?」
うん?疑われている?それとも法外は見返りを要求されると思っているのかな?
「やめとく?」
ちょっと意地悪な返しをすると、焦って取り繕ってきた。
「どうかリマを助けて下さい!お願いします」
今度は素直にお願いされた、最初からそう言ってくれたらよかったのに、でもやる気は出てきた!
よし!やるぞ!レッツ! シェイク!!
シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、
リズムよく
シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、
リズミカルに
シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、
体と同じくらいの大きさの瓶を髪を乱しながら狂ったように振り回す。
(いいですよ〜ラヴィリス様!グッドリズムですよ!ワン ツー ワン ツー!)
あのポンコツ絶対許さねえ!
どれだけの時間シェイクしているだろう、髪はボサボサに乱れ、着ているドレスも乱れ、見た目はとても酷い事になっていた。
どうしてそれが分かるかって?カガミンは鏡なのでいつでも自分の姿が確認できるのさ!
ああ、アイネちゃんドン引きしないで下さい!
リマさん!アナタのためにやっているんですよ?死にそうなのに珍獣を見るような視線を向けないで下さい。
シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、
(ラヴィリス様!あと100回!がんばって下さい!)
よし!あと100回!ラストスパート!!
シャカ、シャカ、シャカ、シャカ、100回!!
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」
(鑑定します・・・成功です、毒浄化薬の完成です)
薬は透明は綺麗な青色をしている。うん!中々の出来映えだね!アイネちゃんに促すと頷いて薬をリマさんに飲ませる。
「ゔゔぅ」
呻き声を上げて悶える。どうしたんだろう?まさか失敗したのか!?
「ま、不味い・・・」
・・・味には配慮してなかったなぁ。
リマさんの容態は良くなっているようだ。呼吸や顔色は良くなっているが、しばらく安静にして欲しいので神樹魔法で木の高い位置に簡易な休憩所を作った。
アイネちゃんからは再び大そうな感謝を述べられた。リマさんは生まれた時から付き従ってくれたメイドさんで家族同然の存在らしい。
それを聞いて素直にアイネちゃんはいい子だと思った。貴族って自分本位でプライドが高くて面倒なものだという先入観を持ってたよ、うん。
その晩、アイネちゃんはボサボサになった私の髪を直してくれた!本当にいい子だ。
私の頭は小ちゃいからやり辛そうだけど、上手にまとめてくれたよ。
あっ、そう言えばこっちに来てから一回もお風呂入ってないや。
臭いかもしんない・・・




