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【STG】シューティングゲームで生産職 製品版  作者: 結城明日嘩
宇宙開拓時代(フロンティア)
171/200

150

 大型戦闘機にダメージを与えたものの継戦能力は残ったまま。イカスミも短時間で晴れてしまうので、戦局としてはあまり変化がない。

 しかも相手に楽な相手じゃないと認識されたのか、激しい攻撃から確実に当てるような包囲、十字砲火という戦術になってきている。


「しかも蜃気楼と本体を見分け始めてるな」


 蜃気楼に戦闘力がないと見切られたのか、一度マークしたハミングバードの本体へと火力が集中してくる。本体自体も蜃気楼システムで輪郭を騙したり、残像を残したりで目くらましをかけているが、どこまで効いているのやら。


「お待たせしました、エースの登場でーす」

「下手に突っ込むなよ、回避優先で敵の目を分散してくれっ」


 シーナの操るファルコンが到着。蜃気楼ドローンと拡散ドローンを合わせて5機従えている。小型機とはいえ、拡張コアを搭載しているので火力としては中型機並。機動性では小型機の小回りなので、戦えない事はないだろう。


 俺が蜃気楼ドローンで撹乱したためか、シーナの拡散用ドローンにもあまり注意を払っていないようだった。

 粒子砲を紙一重で避ける動作をした一機が、目の前で拡散した弾を避けきれず、かなりまとまった数を被弾していく。


「深追いはせずに、視界を奪う方を優先だ」

「うう〜、了解です。マスター」


 どのみち拡散粒子砲で、中型戦闘機に致命傷を与える事はできない。相手を撹乱してくれたらそれで付け入る隙ができる。

 隊列が乱れ、片翼を失った大型戦闘機が孤立したのを見て、一気に接近していく。もちろん相手も撃ってくるが、正面からの攻撃ならハミングバードの機動力で避けられる。


「砲門多っ」


 いくら前兆を見ながら避けられるとはいえ、間断なく撃ち込んで来るのは生きた心地はしない。ただ相手としたら懐に飛び込まれたら立場が逆転する。やれるだけはやろうという感じだろう。


「だがミサイルにはやられんよっ」


 BJが作ったジャマーを、ハミングバード本体に搭載し、瞬間的に使用できるようにカスタムしてあった。拡張コアがなせる技だな。

 接近するミサイルを瞬間的にジャミング、目標をロストさせて隙間をくぐり抜けていく。


『What's!?』

「そーりー」

「マスター、発音が悪いです」


 相手の驚いた隙を縫って接敵、相手の旋回性能よりこちらのスライド機動が上回った瞬間、勝敗は決している。

 そのまま特攻は掛けずに腹の下へと潜り込み、接続したままの高速振動剣を突き立てた。そのままスラスターを噴かせて相手ごと回転。そこへ迫っていた中型戦闘機の粒子砲が突き刺さる。


「同士討ちは控えましょう」

「お前もなー」

「俺は味方に当たる時は撃たないよ」


 大型戦闘機を盾に使いながら押し込んでいくと、中型戦闘機も容赦なく撃ち込んでくる。まだコアを破壊しておらず、コックピットも残ってはいるのだが、もう撃破されたという認識なのだろう、容赦がない。

 既にシールドは過負荷を越えて、本体に直撃し始めている。多少は装甲の厚い大型戦闘機でもそう長くはもちそうにない。

 蜃気楼ドローンを戦闘機の影から飛び出させてから、続けて飛び出す。海賊はすぐさま反応して蜃気楼を撃ち、それが囮とみるや即座にこちらへと向きを変えてくる。こちらは最短距離を一気に詰めるべく加速したが、相手の射撃の方が早かった。


 対応の早さはさすがだが、こちらも予測している。正面に向かって次元断層剣を撃ち出すと、次元の歪みで粒子砲がネジ曲がり、直撃コースを外れた。

 相手も一発で仕留められるとは思ってなかったのだろう、続けざまに攻撃してくるが次元断層の壁は越えられない。

 ただ相手と肉薄する頃には、次元断層のエネルギーも尽きる。後はガチンコでやるしかなかった。


 粒子砲の発射を蜃気楼で偽装し、相手が動いた先へと撃ち込む。しかし、これは相手のシールドをかすめる程度で、ほぼノーダメージ。その間に機体を相手の下へと滑り込ませる。

 腹に向かって粒子砲を撃ち込みダメージを重ねるが、中型戦闘機のシールドは厚い。やはり剣でダメージを与えるしかないだろう。

 相手は体勢不利を感じて退避行動にでるが、それで引き離されるハミングバードではない。というか離されるとこっちが負けだ。

 追いかけながらの射撃は、あまり当たらない。操縦に神経がいってるからだろう。距離を詰めて体当たりが一番確実だ。


 進路をクロスさせながら接触を試みるが、なかなか難しい。剣を射出して外せば、回収までの時間で逃げられる。ここはじれったくても体当たりを狙うべきだ。

 戦闘機の武装は基本的に前向きについているので、後方にいる間はこちらが一方的に攻撃できた……中々当たらんけど。

 武器の可動範囲を変えれば、後ろにも撃てるだろうが、バックミラーを見ながら攻撃するようなもので、精度はかなり落ちる。俺も後ろを取らせて攻撃しようかと画策した事があったが、ただでさえ当てられない射撃を鏡越しに当てるなんてできるわけがないと早々に諦めた。

 なので攻撃しようと思えば旋回してこちらに向き直るしかないのだが……。


「それはフウカに散々やられたからなっ」


 進行方向を変えずにその場で旋回、正面を向ける動きを見せたところで、こっちから間合いを詰める。粒子砲の予兆発光で回避しつつ、等速移動になった海賊機へと高速振動剣を撃ち込む。


「何とか2機目……シーナ、そっちは」

「は、話しかけないで、くださっ」


 大型機の狙撃を避けながら、中型戦闘機の相手をしているシーナ。今までの回避能力を考えたら生き残っているだけで素晴らしい。

 俺はすぐさま大型機へと距離を詰めようと動き出したが、半数がやられた時点で不利を悟ったのか逃げに転じた。


「ふひーふひー」

「ぐっじょぶ」


 お疲れのシーナを労りつつ、進路を星系入り口、BJのいる方へ向ける……ハンマーヘッドとドッキングしてからだな。


「シーナはまったり先に行ってくれ、俺はハイドロジェンで追いかける」

「了解です、マスター」


 はてさてBJはどうしてるかな。




 戦場へと向かっていると、要塞砲の火線が走った。そしてレーダーにはノイズが混ざり始める。ジャミングしているのはBJだろうか。相手も海賊だからどっちが使っていても不思議はない。


「何機残ってるんだ?」

「光学観測では6機でしょうか」

「レーダーが無いと拡散粒子砲も使えないか。シーナは外で観測。変化があれば伝えてくれ」

「うう〜、了解です」


 電波で砲身を誘導して輪を通す拡散砲は、レーダーに障害が出ている状況では使えない。シーナを戦力として使うのは危険と判断した。

 ハンマーヘッドを分離して、ハミングバードで戦闘宙域へと入っていく。



「まだ歌ってるのか」


 自曲のレパートリーが尽きたのか、アニメソングを歌いながら戦っている。ボイスチェンジャーで変えた男の声でアイドルソングを歌うのはどうかと思うのだが、基本的には上手いので耳障りではない。


 戦場に近づくにつれて状況が分かってくる。

 要塞砲を撃っているのは、海賊の航行船かと思ったが、大型戦闘機の様だ。その周囲を他の戦闘機が飛びながら攻撃しているのを見ると、あれがBJなのだろう。

 翼を広げた鳥の様な大型戦闘機は、腹の下に抱えた要塞砲を主武装に、厚めのシールドで被弾をものともせずに戦っている。

 対する海賊達は2機一組でBJへと襲いかかっているが、粒子砲では有効打を与えられず、要塞砲にあわてて逃げるといった状況だ。


「レーダーが使えないなら、レールガンで攻めれば良さそうだが」

「要塞砲で薙ぎ払ってますね」

「なるほど」


 レールガンの弾を撃ち抜くにはかなりの精度が必要だが、幅の太い粒子砲である要塞砲なら正面を薙ぎ払うだけでかなりの弾を消滅させられる。

 元々レーダーが使えないので、レールガン自体も目視攻撃なので、ある程度の直撃コースを防げればそうそう当たらないという事だろう。

 しかし、BJの方も海賊達に有効な攻撃はできていないように見える。やはり大振りの要塞砲では戦闘機相手で命中させるのも難しいのだろう。


「あれが海賊の航行船か」


 戦闘機の相手はそこそこに、要塞砲で狙っているのは航行船のようだ。こちらもシールドも厚く、装甲も硬いのですぐに撃沈とはいかないのだろうが、かなり損傷している様に見える。


「しかし、こんな状況。どうやって介入するかね」

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