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第14話 ベーグルデン祭り

 私たちは新鮮なお魚を食べたり観光したりしてお祭りまでの期間を楽しく過ごした。


「見てみてアジの干物が並んでる」

「こっち、すごいカマスよねカマス」

「ヒラメかなカレイかな」

「赤い魚、タイがあるよタイ」


 マナ王女はお魚探検ツアーにご満足いただけたようだ。

 魚屋通りで陳列されている魚を見たり、干物屋で干されている魚を眺めたり、となかなか楽しそうに見て回った。

 けっこう魚の名前なんかも知っていて二人で盛り上がった。主にマナが名前とか知識んかを披露して私が聞き役に回った。魚の違いなんてあまり知らなかったから思った以上に興味分かかった。

 今度は話相手になれるようにもう少し詳しく勉強してもいいかもしれない。


 そうして祭りの本番の日がやってきた。


「わたくしはマナイス王女。国王に代わりましてフードファイト。ベーグルデン名物、フィッシュバーガーの早食い選手権、ここに開催を宣言します」

「「「うぉおおおおお」」」

「紅百合騎士団だあ」

「いいぞおお」

「がんばれー」


 マナが開始の宣言をするといろいろな声が聞こえた。

 すでに一昨日、予選が行われて、壇上には勝ち抜いた選手十名が控えている。

 マナイス王女が手を振ると、きゃあああと黄色い声とうぉおおおという野太い声が聞こえてくる。

 私たちは紅百合騎士団の赤いミニスカ制服を着て貴賓席に並んでいた。


「でははじめ!」


 どーん。


 マナが合図をしてドラが鳴り響き開始の合図を告げた。

 選手の前にはできたてのフィッシュバーガーが置かれていた。

 つぎつぎに口を動かしバーガーを食べる選手たち。

 こちらまでなんだか食べたくなってしまう。


 白身魚の大きな切り身に衣をつけて揚げてある。

 それをたっぷりのタルタルソースをつけて丸パンにはさんであった。


 どんどん食べていく参加者たち。

 すでにベテランのお兄さんもいるらしく余裕の表情で食べつくしていく。


「あと5分です」


 アナウンス係のお姉さんが残り時間を告げる。

 参加者の食べるペースがラストスパートへ入った。


「がんばれ~~」

「いけいけ~」

「いいぞっ」


 声援も大きくなって大盛り上がりだ。


「時間終了です」


 どの人もかなりの数を食べている。

 優勝はがっちりムキムキの男の人、三番の選手だった。


「三番のアラキン選手の優勝です」

「わあああ」

「すごい~~~」

「おめでとう」

「おめでとうございます」


 小休止が取られすぐに表彰式の準備に入った。


 マナが壇上中央へと進んでいく。

 反対側からは優勝者の人が前で出てきた。


「優勝はアラキン選手です。おめでとうございます。優勝トロフィーと金貨二十枚をお受け取りください」

「ありがとうございました」


 優勝者がトロフィーを掲げてみんな見せる。


「「「おぉおおおおおお」」」

「ひゅーひゅー」

「姫さまとだなんて羨ましいぞ」

「おめでとう~~」

「「「おめでとう」」」


 一層声援が送られた。

 優勝者が壇上から降りていき、それをマナ姫が見送った。

 最後にマナ姫が優雅に一礼をして壇を降りた。


「えへへ、上手にできたかな?」

「とってもしっかりできていましたよ、マナ」

「ありがとう、クリス」


 こうして私たちの出番が終了となった。

 それでホテルに戻ったのだけど、紅百合騎士団長がマナ姫その人だと知った上流階級のエルフさんたちがくるわくるわ。

 順番にホテルに挨拶しにやってきた。


「あはは、今日は私モテモテだわ」

「そうですなぁ。マナ姫の美貌も世に知れ渡っていいことですね、まったく」

「はああ」


 ちょっと私もマナ姫もお疲れだった。


「そろそろ、お夕飯にしましょう」

「そうですね」

「もちろん、私たちもフィッシュバーガーにしましょう」

「あのフードファイトのですか?」

「そう。すみませ~ん」


 大きい声で呼ぶと外からメイドさんが駆けつけてきた。


「どうされましたか?」

「お夕飯、フィッシュバーガーが食べたいのだけどメニューにありますか?」

「もちろんですよ。この街の名物ですからご注文いただくことも多いです」

「ありがとう。じゃあそれ私二つ食べる! クリスちゃんは?」

「じゃあ私も二個ください」

「かしこまりました。合計でフィッシュバーガー四つですね」

「はい」


 しばらく待ったら持ってきてくれた。

 食堂もあるが個室で食べることもできる。


「いただきます……えっとね」

「いただきます。どうしました、マナ姫様?」

「あーんして」

「ふふふ、いいですよ」


 私はフィッシュバーガーを手に持つとマナ姫の口に向ける。

 小さなお口を精一杯大きく開けてぱくりとかぶりつく。


 もぐもぐもぐ。


「美味しいっ」

「それはよかったです」

「えへへ」

「それでは私もマナ姫に食べさせてもらおうかな」

「お、やる? いいよ」


 今度はマナ姫が私にハンバーガーを口に向けてくる。

 それにかぶりつく。


「んぐんぐ、美味しいです」

「よかった」


 こうして順番に食べさせあった。

 後は面倒なのでハンバーガーを入れ替えて自分の分を食べる。


「ごちそうさまでした。お腹いっぱい」

「ごちそうさまでした。ボリュームもあって美味しかったです」


 ニコニコと二人で笑いあう。

 とても楽しく名物というフィッシュバーガーを食べられた。

 これもまたいい思い出になりそうだ。


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