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ちび神様の楽園ダンジョン  作者: もちもち物質
第三章:ダンジョンは世界を飛び越えた!
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ダンジョンハザード*5

 そうして俺達は帰国した。

 国境まではすぐだったし、そこからも車は出せる限りのスピードで走り続け、無事、王城へラペレシアナ様をお届けすることができた。

 ラペレシアナ様はこれから色々報告して、第一王子と組んで、色々と動かなきゃならない。主に、『大聖堂および教会、そして第二王子派閥がダンジョンを利用してこの国を落としにかかってくる可能性について』だな。

 まあ、そういう頭の痛い状況ではあるんだが……俺達は俺達で、一旦、パニス村へ戻ることにした。

 やっぱり、ちょっと長めに空けてたから不安だし。何より、疲れたし。休憩って大事だし。




「ああ、お帰りなさい!」

「ただいまエデレさん!村は大丈夫!?」

「勿論!大丈夫よ。あなた達の不在もしっかり守れたと思うわ!」

 パニス村に到着してすぐ、エデレさんが出迎えてくれた。ミシシアさんがエデレさんに飛びついて、『久しぶりな気がする!』とやっている。よかったね。

「アスマ様も!お疲れ様!」

「ただいまエデレさん!ところで俺を寝かしつけようとしないでくれませんかねエデレさん!」

 そして、俺もミシシアさんの次に抱きしめられてしまった。やわらかもっちり!まるで湯上りのスライム!落ち着いちゃう!そして寝ちゃう!やめてやめて抱き上げないで揺すらないで寝かしつけないで!うわああああ!うわあああああ!


 なんとかエデレさんの催眠術に抵抗して逃げ切った俺は、代わりにリーザスさんを出しておいた。エデレさんは『リーザスさんもお疲れ様!』とにっこり笑ってご挨拶。リーザスさんも、エデレさんの笑顔でちょっと安心したらしく、ほっとした笑顔だ。

 今回の旅ではリーザスさんにも気苦労を掛けたからなあ。まあ、ゆっくり休むとしよう。とりあえず、今日明日くらいは、ね……。


 ……と、思ったんだが。

「で、村の様子は変わり無し?」

「ええ。特には。少なくとも誰かが攻めてくるようなことは無かったわ。……ただ、ダンジョン攻略しようとする人が増えた、かしら」

 エデレさんの言葉を聞いて、俺達は即座に身構える。

 その、『ダンジョンを攻略しようとする人』ってのは……まあ、そういうこと、なんだろうなあ!




「よし。エデレさん。受付簿、見せて」

「分かったわ。ちょっと怪しいと思った人には、色々と話しかけて出身や職業を聞いておいたの。そのメモもあるから見て頂戴ね」

 おお!流石はエデレさん!ありがてえ!

 ……ま、十中八九、大聖堂および教会の連中か、第二王子派閥の誰かか、ってところだろうけどね。情報はあればあるだけありがたいからね!




 エデレさんと一緒にダンジョン前受付に向かって、そこで受付簿を確認。

 ここには、ダンジョンに入場した人達の情報や『ダンジョン内落とし物捜索サービス』の利用者の情報が記してある。それから、ここで販売してる毒消しや傷薬の販売記録だな。色々とデータが揃っててありがてえ。

「えーと、入場日時で見て……成程なー、ここ2、3日、入場目的が『宝石採り』じゃなくて『踏破』の人が多いね」

「そうなのよ。それでいて、ただの冒険者には見えない人も居るものだから気になって。特に気になった人達については、詳細をこっちに記録してあるわ」

 ダンジョン入退場時刻や人数、入場目的なんかを確認してみると、やっぱりちょっと変だね、というかんじ。

 更に、エデレさんが取っておいてくれた記録を確認すべく、そっちにも注目。

「ほー……出身は王都。身なりは冒険者っぽいが、剣が騎士の支給品……ってことは、この一団は第二王子派閥か」

「こっちは杖を持った人達で、かつそんなに強そうじゃない、っていうことだから……大聖堂とか教会とかの人達だね、多分」

「特に特徴の無い一団もあるな。まあ、どちらかが金で雇ったんだろうが……」

 エデレさんがつけておいてくれた記録を見るだけで、結構色々と分かるもんである。

「まあ、ダンジョン踏破者は出てないっぽいから、そこは安心だな」

「教会の人っぽい一団は、入場時刻から退場時刻まで1時間しかないよ!」

「ああ、それはね、どうも『入ってすぐ毒消しを使い切ってしまった』ってことだったみたいね」

「どうしてそうなるの……?ダンジョンに不慣れにもほどがあるんじゃねえの……?」

 ……まあ、色々と分かりすぎて、こう、微妙な気分にもなるが。

 うん……人間には向き不向きってものがあるよ、と、教会だか大聖堂だかの人達に教えてあげたい。




 まあ、彼らがちょこちょこ入場しているってことは、一度迷路を作り替えておいた方がいいだろう。ということで、冒険者達が途切れたところで、一気にダンジョン内を再構築。迷路の道順は全部変えて、罠も仕掛け直しておいた。これで一安心。

 ついでに、最奥へ向かうための道にはもうちょい凶悪なトラップを仕掛けておくことにした。これでまた安心。

 そして、パニス村でもスライムがちょっと増えた気がするので、温泉を増設しておいた。これで更に安心。

 ……というところで。


「彼らがここ以前にどこかのダンジョンに潜ったかどうかを知りたいんだよね」

 俺達は、まずそっちから始めることにした。

 ほら、国内にもダンジョンは数多いわけで、その中にはラークの町のダンジョンのウパルパみたいなのが居る訳で……そこらへんが既に攻略されちゃってる、となると、あまりにもあんまりなので、情報が欲しい。そしてさっさとダンジョン攻略して、大聖堂教会あるいは第二王子派の連中からダンジョンを奪いたい!

「あら。だったら聞き出してきましょうか?任せて。私、そういうのも得意なんだ、って最近気づいたの」

 ……そして、頼れるエデレさんはにっこり笑って、そう言ってくれた。

 ああ、なんて頼もしい村長!俺達の村長!我らが村長!エデレさん!ありがとうエデレさん!大好きエデレさん!


「じゃあ、奴らの現在のダンジョン攻略情報はエデレさんに聞き出してもらうとして……他に、調べておかないといけないことってあるかな」

「あっ!私、ウパルパが気になる!ウパルパ、大丈夫かなあ!」

 続いて、心配な点を考えるとしたらやっぱりウパルパ。あいつ、自衛というものができそうにねえからさあ!

「金鉱ダンジョンも心配だな。特にあそこは、国の救貧対策の根幹を成してしまっているから……」

「あー、でもオウラ様はしっかりした人だし、まあ、ウパルパよりは大丈夫そうだよな」

「そ、そうだな。ウパルパよりは……うん」

 ……奪われてよりヤバいのは金鉱ダンジョンなんだが、奪われやすいのは明らかにウパルパの方だと思う。

「じゃあ、ウパルパの方だけでも様子見てくるかぁ……」

「そうだな。まあ、一晩ゆっくり休んで、エデレさんからの情報を待ってからでもいいと思うが……ウパルパの様子は見てきてやった方がいいだろうなあ」

 うん……。

 ……ウパルパの居るダンジョンは、パニス村にも近いわけだしなあ。心配だよなあ。大丈夫かなあ、ウパルパ……。




 そうして俺達は、ゆっくり温泉に浸かって、飯食って、そして早々に寝ることにした。

 エデレさんはその間、食堂に出動してくれて、教会だか大聖堂だか第二王子派だかよく分からない奴らから『最近のダンジョン攻略情報』を聞き出してくれている。夜の間に酒を入れつつそこらへんを楽しく話してもらう作戦らしいので、俺達は明日の朝、その報告を受けてからウパルパの元へ向かうことにする。


 ということで、ゆっくり眠って、翌朝。

「エデレさーん!どうでしたかー!」

「ちょっとは分かったわよ。まとめておいたからこれを見て頂戴ね」

 エデレさんの元へ向かうと、我らが頼れるエデレさんは、既に昨夜の情報をまとめておいてくれたらしい。ありがたく、拝読。

「……えーと、東の方のダンジョンが攻略済み、なのか。ってことはそこはすぐ潰しにいかねえとな……」

「それから、南の方もそうみたいだね!」

 ひとまず、俺達ができる限り早く潰しに行かねえといけないダンジョンの情報は手に入った。既に教会だの大聖堂だの第二王子派だのが攻略しちゃったダンジョンって、それ即ち、今すぐこの国を、もしかしたら世界だって破壊できるかもしれないものであるので。

 国を亡ぼすのに武力なんて要らないんだよなあ。貨幣経済をぶっ潰すような……金を超大量に出すとか、病原体をバラ撒くとか、そういうのだけでも国は亡ぶ。そして、それらはダンジョンにとっては朝飯前、ってことだ。

「止めないとな」

「ああ。同時に、油断できない敵だ、ということでもある」

 リーザスさんの言葉に頷き返しつつ、俺はエデレさんのまとめ情報を読み漁って……。

「……ウパルパのところは、『これから行く』のか……」

 そんな情報を得た。


 ……大変だ。

 ウパルパを、守らなければ!



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― 新着の感想 ―
守られる系ヒロイン、ウーパールーパー! ウパルパのダンジョン水没させちゃえば、邪魔な人間サクッと始末出来ちゃいそうですね。 ウパルパが陸化してなければ…
危険から守るために、ウーパーの隣にサカバンバスピス配置しときましょう!かわいさに戦意を無くすことでしょう
大変だ!待ち構えて魔改造しなきゃ!
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