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【第五部完結】1万5千PV突破 勇者パーティーをリストラされた俺(モブオ)はC級スキルをどんどん集めて、ざまぁ無双する。  作者: 虫松
第六部 反攻編

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第1話 初の拠点奪還(小規模)

霧の海を越えた先に、ガーランド大陸の影が見えた。


かつて逃げ出した大地。

魔王軍の占領地。敗北の記憶が染みついた場所。


上陸地点は、地図にもほとんど載らない周縁部だった。

岩場と低木に囲まれ、魔力反応も薄い。

正面から攻める価値がないと判断された場所。


だが、モブオはそこを選んだ。


最初の接触は、斥候二名だった。

魔王軍の標準装備。

索敵用の魔道具と、連絡用の魔力灯。


「来る」


モブオの一言で、全員が散開する。

陣形は取らない。

陣形を作らないことが陣形だった。


小規模戦闘①

接触 → 分断 → 無力化 → 撤退


斥候が補給拠点跡に近づいた瞬間、

モブオが小さく指を鳴らす。


《スロー+スロー》


広範囲ではない。

足元だけ、時間が重くなる。


「……っ!?」


違和感に気づいた瞬間、

デブリの《守る+》が発動する。

壁ではない。

盾一枚分の硬質魔力。


視界を遮るためだけの防御。


その影から、

モモの《ファイヤー+ファイヤ》二連ファイヤーが飛ぶ。


火力は低い。

だが狙いは違う。


魔力灯。


パチ、と音を立てて照明が消える。


暗闇。

通信不能。


その瞬間、ノエルの《応援》が乗る。


《応援+》

「今は、下がれ」


声は出していない。

だが、全員の判断が一斉に揃う。


撤退。


斥候は無傷のまま立ち尽くす。

何が起きたのか、理解できない。


だが

拠点には近づけなかった。


小規模戦闘②

誘導 → 消耗 → 放棄させる


次は三名。

今度は慎重だった。


だからこそ、モブオは“罠”を張る。


「わざと、足跡を残す」


デブリが眉をひそめる。


「見つかるぞ」


「見つけさせる」


足跡は一本。

森の奥へと続く。


追った魔王軍小隊は、

森の中で《スロー+スロー》を受ける。


時間が、じわじわ削られる。


逃げているのに、追いつけない。

攻撃していないのに、疲れる。


モモの魔法は撃たれない。

デブリも前に出ない。


ただ、応援だけが重なる。


《応援+》

《応援+》


「焦るな」

「今は、戻れ」


小隊長が判断する。


「……撤退する」


戦闘は発生していない。

だが、補給路の安全性は否定された。


小規模戦闘③

初めての“排除”


四度目の接触。

今度は敵が強硬だった。


斥候ではない。

制圧目的の小部隊。


「今回は、逃がさないつもりだ」


モブオが告げる。


「でも全滅させない」


目標は明確だった。


・一人、動けなくする

・他は逃がす


恐怖と情報を持ち帰らせる。


デブリが前に出る。


《守る+移動+守る》


壁が、前進する。

攻撃を受け流しながら距離を詰める。


モブオは《+》を重ねる。


殴る++

乱打ではない。

同じ部位だけを、繰り返す。


膝。

装甲の継ぎ目。


一人が崩れ落ちた。


致命傷ではない。

だが、立てない。


その瞬間、ノエルの《応援》が響く。


《応援+》

「十分だ」


全員が即座に撤退行動へ移る。


残された魔王軍兵は、

仲間を抱えて退くしかなかった。


三日後。


魔王軍は、

その補給拠点跡を放棄した。


理由は単純。


・損害は軽微

・だが、安全が保証されない

・制圧コストが合わない


つまり割に合わない場所になった。


モブオは、崩れた壁に手を置く。


「勝ったわけじゃない」


「でも――」


ノエルが静かに言う。


「戻ってきた人が、使える場所になった」


焚き火が増える。

簡易の結界が張られる。


拠点としては、最低限。

だが、確実に

人間側の足場だ。


この時点で、魔王軍の記録にはこう残る。


「当該地域、制圧困難。

異常な撤退率あり。

敵戦力不明。

だが、継続的活動を確認」


勝っていない。

だが、初の拠点を奪い返した。


それは、モブオ達の反攻の第一歩だった。

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